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今、話題の「オンライン飲み会」入門!【設定から応用まで】 ~コロナの憂鬱を吹っ飛ばせ~

 新型コロナウイルスの影響で出勤や外出が制限され、自宅で過ごす時間が多くなっている昨今、出かけたくても出かけられない状況を楽しむために、インターネットを使ったさまざまなイベントが生み出されている。その中で最近人気を集めているのが オンライン飲み会 だ。

Zoom飲み会の模様

 オンライン飲み会といっても、実際には参加者が自分でお酒や食べ物を用意して自宅で飲むだけ、なのだが、ポイントは複数人が参加できるビデオ会議サービスを使うこと。自宅にいながら友達と集まって飲み会を楽しむことができる。

 ビデオ会議サービスはさまざまなサービスが提供されているが、筆者がオンライン飲み会を開催する中で「オンライン飲み会で使いやすい」と感じているのがZoomだ。サービスとしてはいくつか試してみているが、Zoomが使いやすいと感じているのは以下の理由だ。

- 参加人数がほぼ無制限
- ユーザー登録不要で参加できる
- ビデオチャットを楽しむ機能が充実

 Zoomは無料アカウントでも最大100人まで参加できるため、飲み会の参加人数を気にしなくていい。また、ユーザー登録を行うことなくPCならブラウザで、スマホならアプリをインストールだけで参加できるハードルの低さはありがたい。さらに、参加者とビデオ会議を楽しむための機能やサービスが充実していることで、飲み会がより楽しくなる要素も備えている。

 なお、Zoomは無料かつ3人以上のユーザーで利用する場合、40分という時間制限が設けられている。40分を超えても自動で延長されるケースもあるようだが、突然チャットが終了してしまうことのないよう有料プランに加入しておきたい。

 有料プランは最も安価な2000円のプランでも時間無制限でのミーティングが可能。飲み会の場所代と思えば十分に安いし、PayPayなどのコードレス決済を使って参加者から会費を集めてもいい。Zoomで飲み会をするなら有料プランに加入は必須といっていいだろう。

主催者はあらかじめ飲み会用設定を忘れずに

 Zoomはユーザー登録すれば簡単にビデオ会議を始められるのだが、飲み会はもちろんオンラインでのミーティングを円滑に進めるためには事前に設定しておいた方がいい項目がいくつかある。以下、オンライン飲み会のために筆者がお勧めする設定を挙げておく。これらの機能はブラウザから設定変更が可能だ。

ブラウザから設定を変更

・ホストの前の参加
 主催者が飲み会開始に間に合わない場合、参加者だけで先に飲み会を始めることができる。なお、この機能は「待機室」と排他になっているため、利用したい場合は待機室がオフになっているかを確認しよう。

・共同ホスト
 ホストは参加者のマイクをミュートにしたり、ホストのみ画面を共有できるようにするといった設定が可能なほか、参加者の名前をホストが変更することもできる。共同ホストをオンにしておくと、参加者にもホストの機能を共有することが可能だ。

・バーチャル背景
 こちらは後述するが参加者の背景を自由に変更できる機能。Zoomを使ったオンライン飲み会の醍醐味とも言える機能なので、オンになっているか確認しておこう。

・「ブラウザから参加する」リンクを表示します
 Zoomは前述の通りブラウザからでも利用できる。動作が重い、Chromeなど一部ブラウザでないと音声が利用できないなど制限は多いものの、どうしてもアプリがインストールできない人がいる場合は有効にしておこう。

・ミーティングのライブストリーム配信を許可
 レアなケースかもしれないが、オンライン飲み会の模様をFacebookやYouTubeで配信したいという時にはこの機能をオンにしておく必要がある。Facebookで特定のグループのみに配信ということもできるので、参加はできないけれど話は聞きたい、という人のためにいつものメンバーにだけ配信する、という使い方が可能だ。

ミーティングは即時開始とスケジュールの2通り

 これらの事前設定が終わったら飲み会のためのミーティングを設定する。ミーティングは即時に開始するか、後日開催するためのスケジュールを設定するかの2通りが可能。即時に開始する場合はブラウザやアプリからミーティングを開催し、発行されたURLを参加者に送るだけでいい。

ブラウザからは「ミーティングを開催する」を選択
アプリからは「新規ミーティング」を選択

 スケジュールを決める場合は、件名や開始時間、パスワードなどの設定を済ませるとURLが発行され、後の流れは即時に開始する場合と変わらない。

 なお、個人ミーティングIDはユーザーごと固有のミーティングIDのため、飲み会のような使い方ではミーティング後とIDが発行される自動生成がお勧めだ。

ブラウザでスケジュールを設定する場合は「ミーティングをスケジュールする」を選択
アプリは「スケジュール」を選択

 PCでの初回参加時は、マイクやスピーカーのテストを行うかの確認画面が表示される。参加したはいいが音が聞こえない、相手に聞こえていないという状況を防ぐためにも事前にテストしておこう。このテストはミーティング参加後も利用可能だ。

ミーティング参加時に音声のテストが可能
スピーカーとマイクをそれぞれ動作確認できる
画面下部「オーディオに参加」の横にある矢印マークからいつでもテストが可能

 参加者の表示は、マイクで話している人だけ表示するスピーカービューと、全員を1画面に表示できるギャラリービューの2種類。パソコンは画面上部、スマートフォンの場合は横スライドで画面を切り替えられる。

全員が画面に表示されるギャラリービュー
話している人を自動で認識して表示するスピーカービュー
スマートフォンのスピーカービュー
横スライドでギャラリービューとスピーカービューを切り替えられる

 画面の共有は、PCならアプリや画面単位、スマートフォンの場合は画像やドキュメントのほか、ブラウザで画面を共有することも可能。チャット機能でテキストによるコミュニケーションも可能になっており、話題になっているサイトをURLで送るといった使い方もできる。

ブラウザやパソコンの画面を共有できる
スマートフォンからの画面共有

 飲み会から退席する場合はブラウザやアプリを終了するだけ。主催者の場合はミーティングそのものを終了するか、自分だけ退出することもできる。なお、ホストが退出してもミーティングは継続できるが、可能であればホストを事前に共有しておくといいだろう。

ヘッドセットやマイクでコミュニケーションを円滑に

 ここからはZoom飲み会をより楽しむための応用的な使い方を紹介したい。

ソニーの「SBH82D」。耳の穴を塞がないタイプで装着時の疲れも少ない

 機材面でお勧めしたいのが ワイヤレスヘッドセット

 パソコンだけでもZoomは利用できるものの、パソコンから音を出していると家族に迷惑だったり、パソコンから出ている音をマイクが拾ってハウリングを起こす、ということもあるため、ヘッドセットはとても重要だ。

 有線でなくワイヤレスをお勧めするのは、有線だと酔っ払ったときにケーブルがあるのを忘れてパソコンや回りの物をひっくり返してしまう恐れがあるから。また、ミーティングに比べて長時間に渡る可能性の高い飲み会では、ヘッドフォンよりもヘッドセットのほうが負担が少ない。

 筆者のお勧めは、ソニーの「SBH82D」。耳の穴を塞がないタイプのため、ミーティングの音と自宅の音を両方同時に聴き取れる。1万円を切る価格という手頃感もありがたい。

 余裕があればマイクも用意したい。オンラインミーティングでは音質が悪いと聞いている方にもストレスがかかりがちなことに加えて、前述の通りワイヤレスヘッドセットでマイクを使っていると、トイレで席を外したときにうっかりマイクを切り忘れて……という事故も起こりかねない。

 飲み会だけでなくリモートワークのビデオ会議にも役立つ製品なので、これを機に導入しておくとオンラインミーティングの効率を高められるだろう。

仮想背景やSnap Cameraで飲み会を盛り上げよう

 冒頭で説明したとおり、Zoomではオンライン飲み会を楽しむためのさまざまな機能やサービスが提供されている。これらを活用すると、オフラインの飲み会とはまた違ったオンラインならではの楽しみ方が可能だ。

仮想背景

 Zoomの標準機能として用意されているのが仮想背景という機能で、カメラに映る自分の背後を好きな画像に差し替えることができる。自宅飲みであまり自宅を見せたくない、という時にも便利だが、自分のお気に入りの画像などを設定すると飲み会の話題にもつながる。

 最近ではさまざまな企業がZoom用壁紙を提供しており、そうした壁紙を利用するのもいいだろう。

 なお、仮想背景機能はデュアルコア2GHz以上(i5/i7またはAMD相当)プロセッサを搭載したPC、というスペックが要求されており、低スペックのPCではこの機能を利用できない。
 その場合、多少手間はかかるものの緑色の布など物理的なグリーンスクリーンを用意し、仮想背景の機能で「グリーンスクリーンがあります」にチェックを入れれば仮想背景を利用できる。

Snap Camera
男性の顔を女性に変えるエフェクト

 仮想背景と合わせて使いたいのが「Snap Camera」。これはWebカメラにさまざまなエフェクトを反映できるアプリケーションで、男性が女性になったり、キャラクターになったりと映像で遊ぶことができる。

 筆者の回りでは「化粧を落とした後もこのSnap Cameraを使えば気にならない」と女性にも好評だ。また、Snap Cameraと仮想背景を組み合わせることもできるため、「自分の顔と部屋の両方を出さない」ということもできる。

オンラインだからできる楽しさや「ゆるさ」が魅力

 最後に、筆者がいくつかのオンライン飲み会に参加する中で体験した課題についても共有しておきたい。

 オンライン飲み会最大の課題は「終わるタイミングが難しい」ということ。お店の閉店時間もなければ終電も関係ないため、気がつくといつのまにか深夜に……ということも多い。もちろん時間に余裕があれば何時まででも楽しんでいいのだが、参加者に負担をかけないよう「飲み会は参加も退出も自由」というのを周知しておきつつ、目安となる終了時間も決めておくといい。

 また、これはお酒が好きな人だけの課題かもしれないが、注文を待つ必要もないため飲むペースが早くなることもある。飲み会が盛り上がると終了時間も延びるため酒量は増えがちだ。次の日が辛くならないよう、お酒の量はあらかじめ決めておくこと、そして適宜水を飲むよう心がけるのがお勧めだ。

 こうした課題に加えてマイクの音が聴き取れない、話すタイミングが他の人とかぶってしまうなど、リアルの飲み会にはなかった難しさもあるオンライン飲み会だが、オンラインだからこその魅力も多数存在する。

 その1つが場所を問わないということ。リアルの飲み会はどうしても近くに住んでいる人中心になってしまうが、オンラインなら日本はもちろん海外の友達でも気軽にアクセスできる。転勤や引っ越しなどで遠く離れた友達とも気軽に飲むことが可能だ。

 飲み会参加のハードルの低さも特徴だ。リアルの飲み会では基本的に飲み会以外のことはできないが、オンライン飲み会なら「ながら」でも参加できるし、途中からの参加もハードルが低い。ワイヤレスヘッドセットで飲み会の音を聞きながら家事や仕事をこなしつつ、余裕ができたら会話に参加、というゆるさもオンライン飲み会ならではのスタイルと言えるだろう。

 物理的に会うことができない以上、リアルの飲み会とまったく同じ環境を再現できるわけではないが、むしろオンラインだからこそできる新しい飲み会の形を試してみてはいかがだろうか。