特集

申請者が減ったマイナンバーカードは今が取得のチャンス<前編>

第2弾マイナポイント2万円還元、e-Tax+青色申告で個人事業主はさらにお得

 サラリーマンの人は昨年(2020年)から年末調整の申告書がガラっと変わった。これは2020年に大幅な税制改正が行われたからだ。個人事業主にも税制改正の影響はあり、2020年分からe-Taxで確定申告をしないと、青色申告特別控除の額が65万円→55万円に減額された。そのe-Taxで注目されるマイナンバーカード。昨年の今ごろはマイナンバーカードの申請から交付に「3カ月以上」と告知する自治体があるなど渋滞が発生したが、現在は申請者が減少し、交付までの期間は短縮傾向。マイナンバーカードの取得は今がチャンスだ。今回は最新のマイナンバーカード事情や取得方法、パスワードに関する注意点など、マイナンバーカードにまつわるさまざまな情報を前後編に分けてお届けしよう。

[目次]

  1. 第2弾マイナポイント2万円還元、e-Tax+青色申告で個人事業主はさらにお得(この記事)
    -マイナンバーカードの申請は減少傾向
    -各自治体の交付までの期間は短縮傾向、昨年の3カ月以上が今年は3週間に
    -2万円還元? どうなるマイナポイント第2弾
    -さらに個人事業主はe-Taxで確定申告をすると控除額10万円アップ
    -e-Taxで申告すると毎年2万5000円~4万円お得
    -e-Taxで申告する方法は「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」
  2. マイナンバーカードの申請は簡単、パスワードに注意しよう(別記事)
    - マイナンバーカードの申請、最初に準備するのは「申請書ID」
    - 「申請書ID」が分からないときは
    - 顔写真は盛りすぎに注意
    - マイナンバーカードの申請は簡単、お勧めはスマホから
    - 「顔写真がないんだよね~」という人は
    - 忘れたころに「交付通知書」が届く
    - 暗証番号(パスワード)は注意深く設定しよう
    - さぁマイナンバーカードを受け取りに行こう
    - 混雑が始まる前に

マイナンバーカードの申請は減少傾向

 グラフを見ていただこう。これは総務省が公表しているマイナンバーカードの交付状況から、人口に対する交付枚数率をグラフ化したものだ。青線が交付枚数率=普及率で、執筆時点で最新の令和3年(2021年)12月1日現在、39.9%=約4割となっている。赤い棒グラフは前月からの伸び率を表している。

 令和2年(2020年)3月1日以降は毎月1日に交付状況が公表されている。それ以前は数カ月ごとの公表だったので、伸び率に関しては月割りでグラフ化している。細かな点を付け加えると、12月1日現在と公表された数値をグラフ横軸は12月としているが、実質は11月分の交付枚数の集計と思われる。また、申請から交付までの期間は、以前は3週間程度、昨年は自治体によって3カ月以上、現在は短縮傾向となっている。例えば今年9月に申請して11月に交付されると、グラフ上は12月のデータとなるため、時間軸に関しては申請と交付にズレがある点を考慮して見ていただきたい。

 青線、赤棒グラフを見ると、2020年春ごろから勢いを増したことが分かる。覚えているだろうか。昨年の春、新型コロナウイルスの第1波が訪れ、10万円の特別定額給付金の申請でマイナンバーカードに注目が集まり、すでに取得している人が忘れてしまったパスワードの更新のため役所に殺到した。2020年9月から始まったマイナポイントも追い風になり、交付枚数率はグッと角度を変えて上昇した。

 マイナポイントの対象が2021年4月末申請分のマイナンバーカードまでだったためか、今年6月交付分(グラフでは7月)をピークに伸び率は急速に下降している。昨春からのマイナンバーカードブーム?は一段落した感がある。

マイナポイントは今年4月末申請分で終了した(出展:マイナポイント事業)

各自治体の交付までの期間は短縮傾向、昨年の3カ月以上が今年は3週間に

 昨年の春からマイナンバーカードの申請者が急増し、昨年の今ごろは交付まで2~3カ月待ちの自治体が見られた。今年の春夏をピークに申請者が減少したためか、自治体の処理体制が充実したためか、現在は期間が短縮されている自治体が多い。例えば昨年「3カ月以上」とウェブサイトに掲載していた東京都世田谷区は、現在は細かく日付を掲載し、概ね申請から3週間ほどで通知書を発送している。

昨年は「3カ月以上」だった東京都世田谷区
東京都世田谷区、最新は11月26日申請分は12月16日には通知書を発送となっている

 他の自治体も最大約3カ月だった江東区は約2カ月、川崎市も昨年の3カ月~3カ月半が今年は1~2カ月程度となっている。昨年から変化のない自治体も見られるが、本当に期間が短縮されていないのか、ウェブサイトが更新されていないのかは不明だ。

 おそらくマイナンバーカード交付のピークは過ぎたと思われ、自治体の大渋滞は解消されつつある。後述するマイナポイント第2弾が始まると申請する人が増えることが予想されるので、今がマイナンバーカード取得のチャンスだ。

 Twitterにはこんな感じのコメントも散見される。

「2週間ちょっとで交付通知書が届いてびっくり」
「発行まで1カ月ぐらいと書いてあったのに、半月で交付通知書が届いた。役所最高!」

 予想外に交付通知書が早く届く自治体もあるようなので、多くの自治体で交付までの期間は短縮傾向と考えて間違いないと思われる。

 青色申告の個人事業主は、すぐにマイナンバーカードの申請をすれば、2022年3月にはマイナンバーカードを利用したe-Taxで確定申告(2021年分)ができるだろう。

2万円還元? どうなるマイナポイント第2弾

 新政権のさまざまな政策のうち、18歳以下への10万円の給付が現金かクーポンかと話題になる影で、ほとんどの国民が恩恵?を受けられるマイナポイント第2弾もジワジワと進んでいる。「マイナポイントって何?」という人にザックリとした説明をしておこう。

 国はマイナンバーカードの普及とキャッシュレス決済の促進のため、マイナポイントなるキャンペーンを実施した。第1弾は今年2021年4月末までにマイナンバーカードを申請した人が対象で、昨年2020年9月1日から2021年12月31日(まもなく終了)までにマイナポイントを申請し、2万円の買い物やチャージをすると、その25%、上限5000円のマイナポイントが還元されるというものだ。

 具体例を挙げよう。筆者の場合、マイナンバーカードは2019年に取得済み。マイナンバーカードとスマホ決済のPayPayを紐付けたので、PayPayに銀行口座から2万円をチャージ。すると、PayPayから5000円が残高にチャージされた。

PayPayの画面。マイナポイント5000円獲得となっている

 紐付ける相手はスマホ決済だけでなく、電子マネー、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどでもOK。紐付けできる事業者が限られるのでリストで確認していただきたい。

 政府は2022年度末(2023年3月末)までにほとんどの国民のマイナンバーカード取得を目指している。現在の交付枚数率が約40%で残り1年チョット……かなり厳しい印象だ。前述のグラフでもマイナポイントの効果は現れているので、さらに強化されたマイナポイント第2弾が始まる。マイナポイントのウェブサイトにもすでに第2弾の告知が掲載されている。

 第2弾は3本立てとなり、3つ合わせると2万円が還元されることになる。

  1. マイナンバーカードを新規に取得した人に最大5000円相当のポイント付与=終了した第1弾と同じ
    (マイナンバーカードをすでに取得した人のうち、現行マイナポイントの未申込者を含む)
  2. 健康保険証としての利用登録を行った人に7500円相当のポイント付与=新規
    (すでに利用登録を行った人を含む)
  3. 公金受取口座(預貯金口座)の登録を行った人に7500円相当のポイント付与=新規

となっている。

 1.は終了した第1弾と同じ内容。「国は親切だなぁ」と思うのは、すでにマイナンバーカードを取得済みの人で、「2021年4月末までに申請・取得してまだマイナポイントを受け取っていない人」「2021年5月以降に申請・取得し第1弾の対象外の人」も対象となる。2022年1月1日から開始予定だ。

 民間のクレジットカードで「新規申し込みで8000ポイントプレゼント」などの広告を目にするが、クレジットカード会社は過去にカード取得済みの人に還元することはないと思われ、タイミングを逃した人にも還元する国は親切と思いつつ「どうせ延長されるから、急がなくても大丈夫」と国民に思われてしまうのは「商売っ気がない」「商売センスがない」とも感じられる。

 2.はすでに始まっているマイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録を行った人を対象に7500円のポイントを付与するもの。これは第1弾のマイナポイントを受け取った人、健康保険証の利用登録を済ませた人も対象となる。要するにマイナンバーカードを取得した全ての国民が対象ということだ。2022年春以降に開始と噂されているが、時期は未定だ。現状は対応する医療機関が少ないと聞くので利用価値は低そうだが、7500円もらえるのは悪くない話だろう。

 3.は令和4年度中(2022年4月~2023年3月)に運用開始を目指す公金受取口座登録制度で、マイナンバーカードと預貯金口座を国に登録すると7500円のポイントが付与されるもの。公金受取口座登録制度が始まっていないので、いつ口座登録の受付が始まり、いつマイナポイントが付与されるかは不明だ。これもマイナンバーカードを取得した全ての国民が対象となる。

 念のために説明すると、2020年春の10万円の特別定額給付金の際に、国や自治体は個人の預貯金口座を把握していないために給付に時間を要した。この反省を生かし、マイナンバーカードと公金受取口座を登録する制度を進めることとなった。

 ただ、この公金受取口座登録制度は炎上案件になりそうな予感がする。「給付金を受け取る預貯金口座を1つ登録してね」というもので、メインの口座でなくても大丈夫。新たに口座開設したものを登録してもOKだ。全ての口座を登録しろ、旦那さん・奥さんに内緒のネット銀行の口座を晒せ、マルサの女(←古)や黒革の手帖に出てくる他人名義の隠し口座を登録せよ、という話ではない。

 それでも口座登録が始まると「資産が国に知られる」「脱税の摘発に利用される」「資産が凍結される」など誤解、曲解、悪意のある情報が流れ、それだけがSNSで拡散されそうだ。そもそも脱税用の口座を持っているサラリーマンは世の中にどれくらいいるのだろうか。

 マイナポイントをもらっていない人は合計2万ポイント(円)、筆者のようにすでにマイナポイントを受け取った人は1万5000ポイント(円)が付与される予定だが、2.と3.はだいぶ先になるかもしれない。

マイナンバーカードって持っていると役に立つ?

 こうした原稿を書いていると、知人から「マイナンバーカードって必用? 持っていると役に立つ?」と聞かれることがある。筆者は「サラリーマンの人はなくてもいいんじゃね」と答えることが多い。実際には生活スタイルなどによって、必用だったり役に立ったりする人はいると思う。例えば免許証もパスポートもなく、顔写真のある証明書を持っていなければマイナンバーカードがその代用となるので、新規クレジットカードの受け取りの際に本人確認に使用できる。通院する医療機関や薬局が対応していれば健康保険証とお薬手帳を持ち歩く必用がなくなる(らしい)。

 運転免許証とマイナンバーカードの一体化は、警察庁の資料には令和7~8年と書かれているが、管政権時代には令和6年度末(2025年3月)までに実施としている。はたして……。

 比較的身近な利用例としては、住民票の写しなどがコンビニの端末で取得できることだろうか。「過去数年、住民票とか取りに行ったことがない」という人にはメリットに感じられないが、役所が遠かったり頻度が高い人は便利と感じるだろう。

 ただし、マイナンバーカードを持っている全ての人が、自治体が発行する証明書をコンビニで取得できるわけではなさそうだ。筆者が住民票を置く名古屋市のウェブサイトには「本市において、コンビニ交付は導入しておりません」と書かれている。調べてはいないが、名古屋市は全国の政令指定都市で唯一対応していないらしい。ということは、コンビニ交付は国が行うのではなく自治外ごとに対応するサービスで、住民票を置く自治体によってサービスが受けられないかもしれない。名古屋市の住民税の税率が低いことに感謝はしているが、コンビニ交付に反対しているらしい河村市長には「金メダルかじってる場合じゃないでしょ」と言いたくもなる。

 ここにきて注目されているのが、新型コロナワクチン接種証明書アプリだ。ワクチン接種をしたことがマイナンバーカードと紐付けられているので、アプリをインストールし、マイナンバーカード取得時に設定した暗証番号を入力、マイナンバーカードにスマホを重ねて読み取ると接種証明書が発行される。ワクチン接種時にシールを貼ってもらった接種券は証明書発行に不要だ。これも、「ワクチン接種証明書が必要」という人は、マイナンバーカードを持っていてよかったと感じられるだろう。

新型コロナワクチン接種証明書アプリのインストール画面
マイナンバーカードが必用です、となっている
マイナンバーカードの読み取りが終わるとすぐに接種証明書が発行される
筆者は使い道が思いつかないが、取り敢えず証明書はゲットできた

 マイナンバーカードが役に立つか否かは人それぞれ。次項で紹介する青色申告をする個人事業主は「取得した方がよい」と思うが、サラリーマンの人はマイナポイントを獲得する以外にメリットがないかもしれないのが現状だろう。

さらに個人事業主はe-Taxで確定申告をすると控除額10万円アップ

 冒頭に記載したように2020年(令和2年)に税制改正があり、サラリーマンも個人事業主も影響のある基礎控除が改正された。2019年までは個人事業主、サラリーマン、パート、アルバイトなど収入のある人の基礎控除額は全て38万円。2020年から一部高額所得者を除き48万円となった。控除額が増える→納税額が減る=減税だ。

 個人事業主(フリーランス)で、青色申告をしている人が受けられる「青色申告特別控除」の額は、2019年分までは郵送、e-Tax、申告会場など提出方式にかかわらず65万円だったが、2020年分からは、e-Tax提出以外の人は65万円から55万円に減額となった。ここだけ見ると増税となる。

 基礎控除の10万円増があるのでプラスマイナスゼロとも言えるが、気分的にはスッキリしない人もいるだろう。ただし、e-Taxで確定申告を提出した人は青色申告特別控除額が従来と同じ65万円。基礎控除が48万円になるので、基礎控除と青色申告特別控除を合計すると控除額は10万円増えることとなり、減税となる。

 増税なのか減税なのか、合計した控除額が増えてありがたいと思うのか、青色申告特別控除が減ってズルイと思うのか、感じ方は人それぞれだと思うが、今年2021年春に確定申告をした2020年(令和2年)分からはこのルールがスタートしている。付け加えると、白色申告の人は基礎控除が38万円から48万円となったので減税されている。

「青色申告特別控除」の改正イメージ。e-Taxで確定申告を行えば控除額が増え、減税となる(国税庁の資料を加工して掲載)

e-Taxで申告すると毎年2万5000円~4万円お得

 青色申告の人がe-Taxで申告した場合の減税額などを確認しておこう。青色申告特別控除の額が10万円増えることで影響があるのは、所得税、住民税、国民健康保険だ。所得税は、課税所得の額が増えると税率が上がる累進課税。住民税の税率はほぼ全国一律10%なので1万円。国民健康保険は自治体により計算方法に差はあり、上限額もあるが、おそらく10%程度と思われ1万円くらい。

 所得税の税率のうち多くの個人事業主が該当する部分を計算すると

課税所得税率控除額10万円増による減税額
195万円以下5%5000円
195万円超 330万円以下10%1万円
330万円超 695万円以下20%2万円

 青色申告の人がe-Taxで確定申告を行うと、所得税、住民税、国民健康保険を合算すると、所得税の税率5%なら2万5000円、税率10%なら3万円、税率20%なら4万円お得となる。税制の改正がなければ、これが毎年続くので、青色申告でこれまで“e-Taxスルー”をしてきた人は、できるだけ早くe-Taxに切り替えたい。

 クラウド会計ソフトシェア1位の弥生が提供する「やよいの青色申告オンライン」ならセルフプランの価格は初年度無料、次年度以降は税込8800円と業界最安値(筆者調べ)なので、新規に導入しても減税分で元は取れる。

 オミクロン株の感染が来年2022年2月~3月にどこまで広がっているかは予想が難しい。自宅のPCからe-Taxで申告すれば、確定申告提出会場やそこまでの電車の密を避けられるメリットもある。

e-Taxで申告する方法は「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」

 e-Taxで申告する方法は「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」がある。2019年1月から国税庁は個人納税者のe-Tax利用をより便利にするためシステム改修し、「マイナンバーカード方式」「ID・パスワード方式」の利用が可能となった。以下の図のように、これら2つの方式により、従来方式に比べe-Taxのハードルが低くなった。

2019年1月から「マイナンバーカード方式」「ID・パスワード方式」の利用が可能となった(国税庁の資料より)

 聞き慣れない「ID・パスワード方式」を説明しよう。マイナンバーカードの普及が進まないため、暫定的な方式として誕生したのが「ID・パスワード方式」だ。「ID・パスワード方式」は、発行された「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のIDとパスワードを利用して、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる電子申告を行うことができる。当初は3年後に廃止と言われたが、マイナンバーカードの普及が進んでいないので、しばらくは継続されそうだ。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は最初に提出方法を選択する

 筆者は2019年にID・パスワードを税務署に行って発行してもらい、「ID・パスワード方式」でe-Taxによる確定申告を行ってみた。それをふまえて「ID・パスワード方式」のメリット/デメリットを考えてみたい。

「ID・パスワード方式」のメリットは

  • マイナンバーカードが不要
  • ID・パスワードはどこの税務署に行っても即日発行できる
  • ICカードリーダーライターが不要
    などが挙げられる。

 デメリットは

  • 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から申告しなければならない
  • 「確定申告書等作成コーナー」は手入力
  • 青色申告ソフトのデータをそのまま送ることができない

などだろう。

 現在主流の青色申告ソフトを利用している人は当たり前だと感じていると思うが、クラウド取り込み、アグリゲーション機能などに対応している青色申告ソフトはさまざまな入出金データを瞬時に取り込むことができる。具体的には銀行口座の入出金、クレジットカードの支払い、モバイルSuicaの履歴、スマホ決済の支払い……などなど、売上や経費はほとんど手入力が不要となった。

 一昔前のように領収書の束を見ながら、1月電気代、2月電気代、JR渋谷~新宿、タクシー代、ETC東名川崎~御殿場……などとキーボードを打つ必要はない。以前は現金のみだった百均や郵便局の支払いもデータで取り込める時代となった。加えて勘定科目も水道光熱費、旅費交通費、消耗品費などに自動仕訳をしてくれるのが現在の青色申告ソフトだ。以前は数日を要した経費の記帳が、今は数時間になったと感じている。

 ハイブリッドな方法として、青色申告ソフトで確定申告書や決算書、損益計算書などを印刷し、それを見ながら国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で手入力による申告をするという手もある。これならば、青色申告ソフトのクラウド取り込み機能などを活用した時間短縮ができる。

 しかし、2019年に実際にハイブリッドな方法でやってみた印象は「転記するより郵便ポストまで行った方が早いなぁ」だった。このとき、筆者は入力ミスをした。「やっと転記作業が完了した」と思ったら1カ所間違ったため、貸借対照表の左右が合わずエラーとなった。どこを間違ったか探すのに時間を要したのも「ID・パスワード方式」=手間がかかる印象となった。

 2020年からは「マイナンバーカード方式」で申告し、「郵便ポストに行くより早い」と感じている。最新の青色申告ソフト+マイナンバーカード方式+e-Taxの組み合わせは、個人事業主が避けられない確定申告というハードルを桁違いに低くしてくれるだろう。

 前編はここまで。次回後編では、実際にマイナンバーカードを申請する方法、パスワードに関する注意点など取得方法について説明したい。

「INTERNET Watch」ではこのほかにも、サラリーマンと個人事業主がぜひ読んでおきたい税金に関する記事を多数掲載しています。まとめページ『サラリーマンと個人事業主の税金の話』よりご参照ください。