「インターネット白書2009」で見る最新動向(3)

コミュニティサイトで他人にプライバシー晒され不快に思う2.9%

 インターネットの利用実態について統計データなどをとりまとめた「インターネット白書2009」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレスR&D、定価:7140円)が6月18日に発売された。INTERNET Watchでは、その内容の一部を3回にわたって紹介する。今回は、セキュリティ関連の動向を取り上げる。

 個人ユーザーの利用実態調査は、自宅からインターネットを利用している13歳以上を対象に、gooリサーチで4月17日から23日まで実施。性別や年齢層、1週間あたりのインターネット利用時間別人口構成比などに合うよう条件抽出し、3332人の有効回答を得た。

 また、企業の動向については、国内企業のWeb担当者などを対象に、gooリサーチで4月22日から29日まで調査。インターネットを利用している企業の業種別・雇用者規模別・雇用者数構成比に可能な限り整合するように抽出し、2565人の有効回答を得た。

フィルタリングサービスの利用率は7.2%、2008年と大差なし

迷惑行為の被害経験、全体的に2008年より若干減少

 個人ユーザーに対して、インターネット上におけるセキュリティ被害や迷惑行為の経験を複数回答で尋ねたところ、「ウィルス」が22.8%で最も多く、次いで「個人情報の漏洩」が9.0%、「スパイウェア」が8.9%、「自分のプライバシー情報の流用」が3.2%、「誹謗・中傷・デマ」が2.9%などだった。

 コミュニティサイトで他人に自分のプライバシー情報を掲載された経験の有無については、「掲載されたことはない」の76.9%、「わからない」の15.6%が多かったが、「掲載されたことはあるが特に何も思わない」が3.0%、「掲載されたことがあり、不快や不安に思ったことがある」が2.9%あった。

 また、ファイル共有ソフト使用率は、「Winny」3.6%、「LimeWire」2.7%、「WinMX」2.1%、「Share」1.7%が上位だった。共有・転送しているファイルの種類にいては、「音楽」63.8%、「動画」51.2%、「イメージ」23.5%、「アプリケーション」17.7%などが多い。使用ソフト、共有ファイル種別ともに比率は2008年とほぼ同じだ。

 個人のセキュリティ対策では、「ウイルス対策ソフトの利用」65.3%、「心当たりのないメールには反応しないようにしている」57.3%、「迷惑メールは振り分けの設定するなどして、開かないようにしている」46.8%、「怪しげなサイトのURLにはアクセスしない」41.0%などが多かった。また、フィルタリングサービスの利用率は7.2%で、2008年の7.6%から大きな変化は見られなかった。

コミュニティサイトで他人に自分のプライバシー情報を掲載された経験・意識フィルタリングサービスについては、利用していないユーザーが大半を占める

社内でのネット私的利用、Web閲覧やメールなど制限なしが半数

 企業のセキュリティ被害では、「被害にあった」は27.3%で、主な被害内容としては、「内部の人間によるウイルス感染」13.0%、「不正アクセスによるウイルスやワームによる被害」9.6%などが多かった。

 企業のセキュリティ対策では、「ウイルス対策と教育」が61.8%で最も多く、次いで「セキュリティー・個人情報保護体制・教育」が52.8%、「社外からの機材持ち込み制限」が34.9%、「社内からの機材持ち出し制限」が34.9%、「Web閲覧制限」が30.8%、「USBメモリやCD-Rなどによるデータの持ち帰り制限」が29.9%など。

 今後取り組む予定のセキュリティ対策は、「特になし」31.9%、「わからない」24.4%といった回答以外では、「シンクライアントの導入」が8.8%、「USBメモリやCD-Rなどによるデータの持ち帰り制限」が8.5%、「無線LANのセキュリティー強化」が8.3%、「社外からの機材持ち込み制限」が7.5%、「Web閲覧制限」が7.4%などだった。

 インターネットの私的利用について、「特に制限していない」とする回答は、「Webサイト閲覧」で49.6%、「メールの送受信」で52.9%、「インスタントメッセンジャー」で44.1%。フィルタリングやモニタリングなどで物理的な制限を行っている比率より高かった。また、取り組んでいるセキュリティ対策の効果に「非常に自信がある」は3.9%、「自信がある」は21.4%だった。

 2009年の情報セキュリティ関連投資は、「わからない」が30.5%で、次に「5万円未満」が16.8%、「10万円未満」が9.8%など。次年度の情報セキュリティ関連投資は、「わからない」42.8%、「今年度並み」31.4%に次いで、「減少の予定」が15.1%、「増加の予定」が10.6%だった。「増加の予定」は2008年から5.2ポイント減っており、「減少の予定」が上回った。インプレスR&Dでは、不況の影響の表れとしている。

セキュリティー被害の内容、「被害なし」「わからない」の回答が多い

社内のネット私的利用の制限情報セキュリティ関連への投資額

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(野津 誠)

2009/6/25 11:05