特別企画

黄色い絵文字の意図は「ありえない肌の色」

Unicodeコンソーシアム会長、マーク・デイビス博士に聞く

「黄色い絵文字」は誰が決めたのか?

 少し前の話になるが、4月9日にAppleはOS XとiOSのアップデートを配布した。そこには多くの変更が含まれていたが、なかでも波紋を呼んだのが絵文字フォント(Apple Color Emoji.ttf)のデザイン変更だ。人間を表す多くの絵文字が、全体にどぎつい黄色に塗り替えられた(図1)。どれも比較的頻度の高い絵文字だったので、しばらくの間この変更に戸惑うユーザーの声がネット上にあふれた。

図1 iOS 8.2(上)と新しい同8.3(下)の絵文字フォント比較。フォントのバージョンは、上が10.0d3e2(2014-06-05)、下が10.0d27e3(2015-03-16)

 誤解もあるようだが、黄色い絵文字そのものはAppleの独創ではない。同社は文字コードの規格としてUnicodeに準拠している。これを制定しているのがUnicodeコンソーシアムだ[*1]。これはApple、Google、Microsoftなど、アメリカ西海岸のIT企業を中心に構成された標準化団体。同コンソーシアムは文字コード規格だけでなく、文字を実装するための技術レポートを多く発行している。黄色い絵文字はその1つ、Unicode Technical Report #51「Unicode Emoji」(以下、UTR #51と略)で提案されている[*2]

 ただし、UTR #51は近く発行予定のUnicode 8.0に合わせて審議中であり、現在公開されているのはドラフト版だ。実際に「この文書の位置づけ」(Status)として以下のような断り書きがある(原文英語、UTR #51関連の訳はすべて筆者、以下同)。

この文書はいつでも他の文書によって更新、置き換え、もしくは廃止の可能性がある草案である。この文書の発行はユニコード・コンソーシアムによる承認を意味しない。安定した文書ではないので、策定中であることを記さずに参照することは適切ではない。(UTR #51 Status)

 「黄色い絵文字」は、この「適切ではない」実装の結果と言える。では、なぜAppleは無理をしてまでドラフトを実装しなければならなかったのか? 同社はその理由を公表していないが、アメリカでは2013年ごろからiPhoneに搭載された絵文字の人種多様性(Diversity)への不満が高まっていた。2014年3月には同社国際広報担当副社長(当時)ケイティ・コットン氏がメディアへのコメントの中で、自社の絵文字に人種多様性の問題があることを認め、対応を約束している。

 こうした経緯を考えれば、「黄色い絵文字」が、人種多様性に一刻も早く対応しようとしたものであることは間違いないだろう。

ますます重要性が高まるUTR #51

 もっとも、絵文字を実装しているのはAppleだけではない。AndroidのGoogle、Windows 8.1のMicrosoft、そしてTwitterなど、今やプラットフォームベンダーにとって、絵文字は欠かすことのできないコミュニケーション手段だ。彼等も遅かれ早かれ人種多様性への対応を考えなくてはならない。実際にWindows 10 Insider Preview版に実装されている絵文字でも、UTR #51に基づいた民族多様性への対応が進められているようだ[*3]

 そこで、UTR #51について詳しく話を聞こうと、共同著者の一人、マーク・デイビス博士にインタビューを申し込んだところ快諾を得た。同氏は創立以来のUnicodeコンソーシアム会長でもある。Apple、IBMを経て、現在はGoogleの国際化部門に在籍している。ソフトウェアにおいて言語や国の違いによらず、統一された使い心地を提供することを国際化というが、彼はこの分野を作ってきた巨人だ。そうしたカリスマエンジニアが、どのような経緯でUTR #51を策定することになったのか、彼の話に耳を傾けてみたいと思う。

 なお、翻訳はGoogle国際化部門、桃井勝彦氏にお願いした。同氏は2008年に日本の携帯絵文字をUnicode/ISO/IEC 10646に提案した人でもある。インタビューは、デイビス博士の住むスイス・チューリッヒ、桃井氏の勤めるアメリカ・マウンテンビュー、そして筆者の住む三浦半島を結んで、4月10日に行われた。奇しくも2日前にAppleのアップデートが行われたばかりというタイミングだった。

携帯絵文字を収録するためUnicodeそのものを大きく変更

質問:日本の携帯絵文字をUnicodeに入れようというプロジェクトが始まったのは2007年だそうですね。Google国際化部門の同僚として桃井さんから相談を受けたとのことですが、その当時のことをお聞かせください。

デイビス:Gmailで当時進行中だった絵文字の実装に関して、Unicodeのサポートを担当する私たちのグループに、キャット(桃井氏)とダリック・トンが文字コードの処理を相談してきました。このグループでは私とマーカス・シェレールがダイレクトにUnicodeコンソシアムとともにさまざまな問題のために働いていました。Gmailは内部的にUnicodeを使っています。そこで、一番良いアプローチは絵文字にも正規の符号位置を与え、Unicodeに組み入れることだという結論になりました。

質問:絵文字を収録するために、どんな難しさがあったでしょう。

デイビス:ずっと以前からUnicodeにはツァップ・ディングバッツなどのシンボル類が入っています(図2)。しかし、そうした「テキスト・スタイル絵文字」(テキストで使われるモノクロ絵文字)と、日本の携帯絵文字のような「emojiスタイル絵文字」(テキストではないカラー絵文字)の境界線ははっきりしていませんでした。

図2 1991年からUnicodeに収録されているツァップ・ディングバッツ。(The Unicode Consortium, “The Unicode Standard, Version 1, Volume 1” Addison-Wesley Co. 1991.)

デイビス:Gmailや他の製品がすでに絵文字を文字として扱っていたので、単なる画像やアイコンとしてテキストに挿入するような手法は使えませんでした。以前からの「テキスト・スタイル絵文字」は、自分自身の固有の色を持っていません。これと「emojiスタイル絵文字」との違いに対処するには、1)Unicodeにおける絵文字全体の種類を広げること、その上で、2)固有の色をともなって使用される「emojiスタイル絵文字」を追加することでした。こうして、色という属性を持つ文字を収録するために、スコープを拡張する必要が生じました。

質問:実際にUnicodeの内部で絵文字について検討を始めた時、メンバーの反応はどうでしたか?

デイビス:Unicodeコンソーシアムのメンバーには、さまざまな企業や組織がいます。なかには絵文字を収録すべきではないと考えた人々がいたことも確かです。そうした人達の大きな関心は、なにを収録し、なにを収録しないかという境界線でした。いったん絵文字に門戸を開放すると、際限なく雑多なイメージを収録しないといけなくなるのではないかと危惧を抱いたのです。そこで私たちは、明確に追加すべき絵文字を定義し、Unicodeのバージョン一つ一つについて、追加する数を限定していくという方針を作りました。

質問:当初、絵文字の収録目的は携帯絵文字との互換性確保、つまり日本での使用しか想定されていませんでした。ところが今や世界中で絵文字が使われるようになっています。これは、あなたにとって意外なことでしたか?

デイビス:私たちは絵文字が世界中でこんなに人気が出るようになるとは思いもしませんでした。しかし、長期的には絵文字を画像でやりとりする、より柔軟なアプローチが実現することを望んでいます。最近ではLINEやFacebookのアプリケーションにおける「スタンプ」のように、画像のやりとりが可能になっており、そうした変化が確実に起こっていると言えるでしょう。しかし、未来は得てして予想がつかないものです。ですから絵文字を大量に追加するのではなく、むしろ必要に応じて少しずつ追加することでニーズに応えることにしたのです。未来になにが起こるか予測できない状況では、それが最も堅実な方法だと私は信じています。

Apple副社長がした「約束」の影響

質問:Apple副社長ケイティ・コットン氏(当時)は、Unicodeコンソーシアムとともに絵文字を改訂すると約束しました。コンソーシアムにとって、彼女がした約束の影響は大きかったのではないでしょうか?

デイビス:私たちは、それ以前に問題に気付いていました。Unicodeにおける絵文字のオリジナルの意図は、肌の色に関してはあくまでニュートラルであるということでした。しかし、一部のベンダーが本物らしさのために、特定のリアルな肌の色を使い、さらに彼等は日本の携帯絵文字の絵柄をお手本にしたので、相互運用性に支障が生じ、コンソーシアムの調整が必要になりました。シンプルさと互換性とのバランスを備えた解決案を考えつくために、私たちは何カ月も審議しました。そのゴールがUnicode 8.0で収録することになるemojiモディファイア(後述)です。

質問:Apple副社長の発言よりも前に、問題に気付いていたということですね。それは、具体的にいつからなのでしょうか。

デイビス:その質問に答えるのは難しいのですが、ただ言えることは、問題があるということは最初から認識していたということです。しかし、絵文字がUnicodeに収録された当初は、ベンダーがリアルな肌の色調にすることは分かりませんでした。したがって、ユーザーがどのようにこの問題に反応するかは未知数でした。

UTR #51で民族多様性への対応はどう規定されているのか

 ここからインタビューは核心に迫っていく。しかしその前に、UTR #51では人種多様性への対応をどのように規定しているのかを確認しておこう(記述は執筆時点で最新の2015年5月14日ドラフト第11版に基づく)。

 その要点は、デイビス博士の話にも出てきた「emojiモディファイア」と呼ばれる特殊な符号を使うところにある。この符号は単独では色見本のように表示されるが、対象となる絵文字の直後に置かれると、絵文字と結合して特定の肌の色調(skin tone)を持った1文字に変化する。モディファイアは5種類あり、それぞれに肌の色調が割り振られている(図3)。濃度の区分はフィッツパトリック・スケールに基づく。これは皮膚医学で広く使われている太陽光への皮膚の反応の分類だ。これをUTR #51は、肌の色調の分類に転用した[*4]

図3 5種類あるemojiモディファイアと、それぞれに割り振られている肌の色調

 このemojiモディファイアが、どのように振る舞って肌の色調を変化させるのか、以下にまとめてみた(図4)。

図4 emojiモディファイアの基本原理。なお、図中⑤、⑥で「汎用」(generic)の色として黄色、青、灰色が例示されているが、インタビュー当時の2015年3月22日ドラフト8版では黄色のみが例示されていた。Appleの実装もドラフト8版を参照したと考えられる。

 emojiモディファイアは、すべての絵文字に作用するわけではない。例えば肌の部分を持たない絵文字は無関係だということは容易に分かるだろう。他にもUTR #51では、肌を持つ絵文字の中から2つのセットを選定している。最小限度対応すべきプライマリー・セットと、必要に応じて対応すればよいセカンダリー・セットだ(図5)。

図5 emojiモディファイアの対象となる、2つの絵文字セット。文字の例示はUTR #51と同様、カラーは「Apple Color Emoji.ttf」(iOS 8.3)、モノクロは「Symbola.ttf」を使用した。ただし、Unicode 8.0で追加予定の文字は画像を使用している

emojiモディファイアはどのように規定されたか

質問:emojiモディファイアの策定にあたって、どのような試行錯誤があったのでしょうか。

デイビス:私たちは、まず民族多様性を表現するレベルを何段階にすべきか、そして自分たちが選択した色調のために参照すべき外部標準について検討しなければなりませんでした。私たちは結局フィッツパトリック・スケールに基づく5つの色調を使うことになりました。

 続いて、私たちは肌の色調ごとに新しい絵文字を大量に符号化すべきか、それとも結合の手法を使い、少数の符号を組み合わせることで複数の肌の色調を表現するかを選択しなければなりませんでした。より柔軟な方法を使うことで大量の文字を符号化せずに済み、古いシステムでも優雅に処理できるので、私たちは結合の手法を選択しました。

 Unicodeには結合の手法として、バリエーション・セレクタ、リガチャー・モデル、そしてフォーマット・キャラクタのように、複数のモデルがあります(図6)。既存のシステムとの互換性が最も高かったので、新しいemojiモディファイアはリガチャー・モデルを採用しました。これなら、たとえユーザーのシステムがモディファイアを見られないくらい古くても、基底文字の後に何かの文字、例えば「空白の箱」を見ることはできるでしょう。

図6 Unicodeにおける3種類の結合モデル。①と③は不可視の結合文字を使用する。①はフォントが対応していれば必ず結合する。②は結合文字を使わず、特定の並びになると結合する。③はさまざまな種類があるフォーマット・キャラクタのうち、文字を接合するU+200D(ZERO WIDTH JOINER)を例に挙げたが、やはり特定の並びになると結合が発生する。このうちemojiモディファイアは、可視であり、特定の並びで効果を発し、結合文字でもないので、②のリガチャー・モデルに属する

黄色い絵文字だけがジェネリックではない

質問:最近、AppleのiOSとOS Xのアップデートがされました。そこで改訂された絵文字に対して多くの日本のユーザーが強い違和感を訴えました。これについてお聞きする前に、このアップデートにUnicodeコンソーシアムはどのように関係しているのでしょう。

デイビス:Appleのアップデートに関して言うことはありません。関係がありませんので。多くの人が理解していないと思うのですが、Unicodeコンソーシアムの標準は、各々のベンダーが自由に実装してよいことになっています。コンソーシアムが実装にかかわることはありません。

質問:今回のAppleのアップデートは、結局、UTR #51で提案された黄色い色に対する違和感が日本中に広がったということだと思います。となると、UTR #51で黄色い肌をジェネリック(汎用)に指定したこと自体が、失敗だったのではなかったでしょうか?

デイビス:UTR #51の意図としては、ジェネリックな色を黄色と定義したのではなく、一つの例として黄色を挙げただけです。ユーザーが実際に使っている絵文字の肌の色が現実にいる人間のものと一致しない、そのように見えないということが重要なのです。

 先ほども言ったように、Appleが採用した色についてのコメントはできません。Unicodeコンソーシアムの立場から言いますと、UTR #51の意図を適切に理解するならば、黄色ではなくて、例えば紫色とか、SF映画『アバター』のような青色とか、あるいは(アニメ『ザ・シンプソンズ』の)ホーマー・シンプソンのようなオレンジ・イエローにしてもよいわけです。

注記:なお、UTR #51では汎用を表す肌の色の他、髪の毛の色についても言及している。2015年3月22日ドラフト8版では黒髪(dark hair)が推奨されている。Appleが今年2月に配布を開始したiOS 8.3ベータ2は、これに基づき汎用を表す絵文字として黄色い肌と黒髪が採用されていた。ところが中国の一部ユーザーからこの「黄色い絵文字」に対する人種的な反発が見られた[*5]。2カ月後の正規版では髪の毛も黄色に変更されていたが、これは中国で見られたような反発に対処する目的があったと思われる。一方、UTR #51の方は、2015年5月1日ドラフト9版以降、特定の髪の毛の色を推奨しないよう変更された。

質問:UTR #51のジェネリック(汎用)な肌の色として黄色を挙げている部分は、変更される可能性はあるのでしょうか。

デイビス:繰り返しますが、黄色は単なる一例です。例えばこの後に青や、オレンジなど例を追加してもいいと思っています。意図は人間の皮膚の色とは分からないような色を選んでほしいということなのですから。UTR #51はドラフトなので、これからも変わります。あなたの言った、一つの色しか例示されていないという問題点は良いサジェスチョンですので、これはUnicode技術委員会(標準を審議する部署。略称UTC)の絵文字小委員会に持っていって検討したいと思います。

注記:図4キャプションにもあるように、これらの回答は2015年3月22日ドラフト8版を前提にしている。8版は汎用の肌の色として黄色だけが例示されていた。インタビュー後に改訂された2015年5月1日ドラフト9版以降は、黄色、青色、灰色の3色の例示に変更されている。なお、Emojipedia Blogの報道(前掲の注釈3)によると、Windows 10 Insider Preview版では、ジェネリックな絵文字は灰色にされているようだ。

フォントデザイナー向けの勧告を構想中

質問:UTR #51で追加候補のリストを見ると、さまざまな会社や個人がUnicodeコンソーシアムに絵文字の追加要求をしていることが推測できます。民族多様性に関するアップデートを考え合わせると、今や絵文字はたくさんの人々の感情をかき立てているように思えます。

デイビス:絵文字に関して現在の私たちの主な目的は、既存のセットに関する互換性の問題に着手すること(後述)、そして高い使用頻度を持つであろう文字を追加することです。私たちは新規追加に関して、かなり慎重に推進します。どんな絵文字が必要かということについて、人々は明らかに興奮しています。しかし私たちはすべての人達を安心させることはできません。

質問:モディファイア以外の問題として、例えばiPhoneからAndroidに絵文字を送った時に形が変わる、つまり実装間のデザインの違いが大きいことが挙げられます(図7)。この問題に関してはどんな対処を考えてますか。

図7 実装間で大きく異なる絵文字のデザイン(UTR #51 “Draft Emoji Data (Full)” より作成http://unicode.org/draft/emoji/charts/full-emoji-list.html)左から順に、ID、符号位置、Unicode例示字形、Apple、Android、Twitter、Windows 8.1、Gmail。比較すると違いが大きいことが分かる。例えばAndroidの顔文字は平面的な円形ではなく、穴から顔を出した架空の生き物。また3、6、28は水滴の位置や数が違う

デイビス:現在、UTCの絵文字小委員会でやっているのは、互換性を意識して例示字形を変更したり、あるいはアノテーション(絵文字の意味を表すキーワード)[*6]を分かりやすく変更したり、実装上の推奨事項を追加するようなことをしています。それが、現在私たちがデザインの違いに関してとっている対策です。一つ大きな問題だったのは、Androidの毛の生えたハートの問題ですが[*7]、幸いにも最新のAndroidのリリースではハートの色や形やデザインが変わり、問題は解決しました。今後やらなければならないのは、フォントデザイナーに向けた推奨文書です[*8]。これは規格という形式ではなく、より柔軟な推奨です。

質問:現在、絵文字の例示字形のデザインやアノテーションの変更案を公開レビューを実施中ですね(図8、すでに4月27日で終了)[*9]。この変更案がそのまま実施されると、日本人が今まで使ってきた携帯絵文字との違和感が大きくなることが懸念されます。

図8 取材当時、公開レビューが行われていた例示字形・アノテーションの変更案の一部(“PRI #294 Background: Emoji Glyph/Annotation Recommendations”)。1F624の「ノート」を見ると、変更による日本の混乱が心配されていることが分かる。右端のコラムがインタビュー後に公表された審議結果(“Summary of Unicode 8.0 actions resulting from PRI 294“)。1F624は変更しないことになった

デイビス:この公開レビューの目的の一つは、フィードバックをもらいたいということなので、あなたはもちろん、誰でもフィードバックできます。絵文字には、世界中の人に意味を正しく伝えたいという課題があります。ところが、そのためにデザインを変更すると、日本での意味が変わってしまうかもしれない。そこで、なるべく日本でも世界でも使えるようなデザインを模索することが重要だと考えています。

注釈

[*1]……Unicode Consortium
http://unicode.org

[*2]……Draft Unicode Technical Report #51 “Unicode Emoji” 2015-05-14
http://www.unicode.org/reports/tr51 なお、UTR #51は「Unicode Technical Report」(略称UTR)というタイプに属するが、UTRは技術仕様(specification)ではなく、有益な情報提供を目的とする。したがってUTR #51も技術仕様のようになにかを「規定」(define)するのではなく、あくまで「提案」(suggest)する内容となる。詳細は以下を参照。Unicode, Inc “About Unicode Technical Reports” 2014-08-22 (http://www.unicode.org/reports/about-reports.html

[*3]……“Windows 10 Emoji Changelog” Emojipedia Blog 2015-05-4
http://blog.emojipedia.org/windows-10-emoji-changelog

[*4]……Australian Government “Fitzpatrick Skin Type”
http://www.arpansa.gov.au/pubs/RadiationProtection/FitzpatrickSkinType.pdf

[*5]……ITTOUSAI 「アップル、絵文字に人種と肌の色の違いを導入。iOS 8.3 / OS Xベータから」(Engadget日本語版、2015-02-24)
http://japanese.engadget.com/2015/02/23/ios-8-3-os-x/

[*6]……Draft Emoji Annotations
http://unicode.org/draft/emoji/charts/emoji-annotations.html

[*7]……Android 4.4(KitKat)では、U+1F49B YELLOW HEARTが多数の毛が生えた特異なデザインだった。以下を参照。qvarie「ユニコード6.0以降で使用できる絵文字(ハート編)」(世界の特殊文字ウィキ、2015-01-30http://seesaawiki.jp/w/qvarie/d/%a5%e6%a5%cb%a5%b3%a1%bc%a5%c96%2e0%b0%ca%b9%df%a4%c7%bb%c8%cd%d1%a4%c7%a4%ad%a4%eb%b3%a8%ca%b8%bb%fa%28%a5%cf%a1%bc%a5%c8%ca%d4%29

[*8]……インタビュー後に確認したところ、ここで語られている「推奨文書」の原型こそが、この後の質問で取り上げられる「絵文字の例示字形のデザインやアノテーションの変更案」とのことだ。詳細は注釈9を参照。

[*9]……“PRI #294 Background: Emoji Glyph/Annotation Recommendations”(http://www.unicode.org/review/pri294/pri294-emoji-image-background.html)。なお、本文にあるように、今年4月27日にこの公開レビューは終了し、その検討結果が公開されている。以下を参照。Peter Edberg “Summary of Unicode 8.0 actions resulting from PRI 294” 2015-05-06(http://www.unicode.org/L2/L2015/15151-pri294-actions-for-8.0.txt

【記事訂正 2015/6/1 19:25】
 以下のように訂正します。Twitterにおける@mandel59氏からの「フィッツパトリック・スケールを〈日焼けの度合いを識別する基準〉とするのは不正確ではないか」との指摘に対応しました。(https://twitter.com/ogwata/status/604454982230745088

訂正前:
これは皮膚医学で広く使われている、日焼けの度合いを識別する基準だ

訂正後:
これは皮膚医学で広く使われている太陽光への皮膚の反応の分類だ。これをUTR #51は、肌の色調の分類に転用した

小形 克宏

文字とコンピューターのフリーライター。2001年に本誌連載「文字の海、ビットの舟」で文字の世界に漕ぎ出してから早くも15年が過ぎようとしています。知るほどに「海」の広さ深さに打ちのめされる毎日です。Twitterアカウント:@ogwata