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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2006年10月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーにレポートしていきます。


ならずものソフト、反対への動きさらに強まる

 中国のインターネット業界では10月中ずっと、「ならずものソフト」と呼ばれる、Webサイトを訪問した時などに半強制的にインストールされるソフトが話題となっていた。

 中国の各IT系メディアはこぞってならずものソフト叩きを行ない、またネチズン主体の「反ならずものソフト聯盟」は、ならずものソフト関連企業数社を相手取って提訴に踏み切った。提訴された企業には、CNNIC(中国ネットワーク情報センター)や中国電信(中国のNTTにあたる電信キャリア)などの大物も含まれる。

 10月25日には、ならずものソフトの公開停止を要求する「反ならずものソフト裁判」ついに開廷するに至った。この裁判はその話題性から、多くの中国ネチズンの注目を浴びている。

 一向に収束しそうにないならずものソフト騒ぎだが、10月17日には中国情報産業部が「近い将来ならずものソフトのガイドラインを制定し、問題のソフトに対し法的制裁を加える」という発表を行なっており、政府としても規制をかける意向を明らかにしている。



中国政府お墨付きの動画サイト開設【10月8日】

 ブロードバンド化が進む中国で、動画配信サイトがいくつも立ち上がっている中、中国政府も「宣講家(http://www.xj71.com/)」という動画配信サイトを立ち上げた。内容は中国による宣伝ものなので堅苦しいのだが、中国政府内でもコンテンツのブロードバンド化は進んでいる。


IMの盗難IDで儲ける業者の存在が発覚【10月9日】

 中国では、IMソフト「QQ」は国民的と言えるほどの人気ソフトだ。その人気ゆえに、QQに関しては、中国のIT系メディアなどで、IDとパスワードなどの個人情報が盗まれたというニュース、IDを盗む新たな方法、新たな悪質ソフトの手法などが「今月のウィルス情報」のように頻繁に紹介される。

 そうした中、盗んだIDで金儲けする業者の1つの形態が明るみに出た。中国全土にいるQQ関連の個人情報を盗む悪質な業者から、IDひとつにつき2~3元(30~50円)で買い取り、本来のID所有者に10元で転売するというビジネスだ。

 業者は盗んだIDを常時オンラインにし、本来のIDを所持するユーザーが一切アクセスできないようにする。本来のユーザーが別IDを使って、メインのIDを調べるとオンラインとなっているので、ユーザーは不審に感じIDの主にチャットで連絡すると「返してほしかったら口座に10元を振り込め」といったメッセージが来るのだそうだ。IMがPC普及のキラーソフトとなっている地域ならではの悪質な犯罪といえよう。


QQ、ケータイIMのPICAに対し“許可なき寄生”で提訴【10月10日】

 QQの話題をもうひとつ。QQを運営する騰訊は、ケータイIMのPICAを運営する「掌中無限信息技術有限公司」に対して500万元(8,000万円弱)の損害賠償請求を行なった。

 PICAは同社のIMユーザー同士でコミュニケーションが取れるだけでなく、QQとMSN Messengerの両IMのユーザーともコミュニケーションが取れるというもの。PICAは2004年末にサービスを開始し、現在のユーザー数は400万人を越える。その一方で、2005年以後QQのユーザーは激減。PICAとQQは同種のサービスであるうえ、QQはPICAに対し許可していないのに、PICAはQQのシステムに不正侵入し勝手にQQのユーザーを取り込んだとして、QQ側はQQのソフトウェアの著作権侵害と顧客リストの侵害を理由に提訴した。

 訴訟沙汰に発展したものの、被告であるPICAは「インターネット上ではあらゆるサービスがお互い繋がって当然。どのサービスを選ぶかはユーザーが決めること」と中国メディアにコメントしている。


中国初のネット上のサービス名称での著作権違反訴訟【10月9日】

 北京万維天空科技公司が、中国大手ポータルサイトの捜狐を提訴した。北京万維天空科技公司では、捜狐は北京万維天空科技公司の提供するサービスにそっくりなサービスを提供しており、さらに捜狐のサービス中の固有名詞もそっくりなため、利用者が混乱を起こし誤解を招きかねないとしており、「反不当競争法」違反でサイトでの謝罪、賠償金300万元(5000万円弱)、訴訟手続き費用などを請求する訴訟を起こしたもの。法律家によると、この手の訴訟は中国初だという。。現在、中国初のネット上のサービス名称に関する著作権の法律はない。10月30日開廷。


3大ポータルサイトの一、網易がデザインをリニューアル【10月12日】

 中国の3大ポータルサイトと言われるのが新浪(http://www.sina.com.cn/)、捜狐(http://www.sohu.com/)、網易(http://www.163.com/)の3サイトだ。このうちの1つ、網易(NetEase)がWebデザインをリニューアルした。

 以前は3大ポータルサイト全てが足並みを揃え、画面一杯にびっしりと文字と広告を載せていた。ところがリニューアルした網易はシンプルなデザインに変わり、一昔前のスペックのPCでもWebブラウジングが軽快にできるようになった。広告掲載量を減らしてでもユーザーが利用しやすいWebサイトのデザインを提供するというこの姿勢は、大手ポータルの行動だけに、今後中国のポータルサイトのデザイントレンドを変える可能性もある。追随するサイトが出るかどうか、注目されるところだ。


銃を持った男、ネットカフェ利用料金250円を使い逃げ【10月13日】

 ネットカフェを長時間利用したのち、店を出る際銃を従業員に向け、利用料金を支払わないという、食い逃げならぬ使い逃げをした男が逮捕された。舞台は内陸の雲南省昆明市の1時間2元(30円強)のネットカフェで、男は8時間オンラインゲームなどを利用した後、利用代金16元(約250円)を支払わずに店を出ようとしたところを、店員に止められたため銃を突きつけてそのまま逃走。犯人は沿岸部の江蘇省出身の31歳の男だった。


Flash大好きな中国で中国最長Flash動画公開【10月16日】

 中国人はFlashが大好きだ。どれくらい好きかというと、Web上で飛び交うのはもちろん、テレビ番組ではFlashを利用したお笑い番組や、音楽のプロモーションビデオがあるほど、Flashが大人気なのだ。そんな中国で、再生時間が70分という、中国最長記録を樹立したFlash動画が公開された。名前は「大話G遊」。少林サッカーでお馴染みの張星馳氏の映画「大話西遊」のパロディだ。検索サイト百度で大話G遊をキーワードに検索すると、既に多くのサイトで上映されているのを確認することができる。この長尺Flashを制作したスタッフは、中国人6人だという。


中国の祝祭日に活動するウイルス、45万台のPCに感染【10月16日】

 中国では10月の1週目は国慶節で1週間休みとなり、いわゆるゴールデンウィークだ。しかし、アンチウイルスソフトメーカーの江民によると、この期間だけでも、13,145種ものウイルスが動作を開始し、これにより中国全土で45万台のPCがウイルスに感染したと報告している。感染数上位20のウイルスの内訳はトロイの木馬(中国語で木馬):ワーム(同蠕虫)=5:2となっている。


百度、まだまだ続く広告主からの訴訟沙汰【10月27日】

 検索サイトの百度で、「推広」と呼ばれる検索結果の一番上に表示される広告を巡って、ここ半年ほど広告主から提訴され、複数の訴訟沙汰となっている。10月も2件、広告主からの提訴された。推広とは、キーワードを検索することにより表示される、いわゆるキーワード広告を挿す。1クリックに対しての支払い金額が高ければ高いほど上位に表示されるという仕組みだ。

 これがなぜ訴訟になるかというと、広告主が百度から請求される広告料金に納得がいかないケースがあるためだ。10月25日には、北京中北衛科癌症医学研究院が百度に対して、主にライバルの同業者が行なうと言われている、推広リンクへの大量のクリックを受けた賠償として250万元を百度に請求する訴訟を起こした。

 また、10月27日には、内陸の河北省のある企業が、百度の推広の支払い金額が実際と則していないとして、河北省の裁判所に提訴している。


国際的イベントの巨大街頭広告にAV女優の画像でネットは祭り状態に【10月31日】

 上海にほど近い蘇州市で開かれた「世界健康都市聯盟大会」で、日本のAV女優の画像が、大会の巨大看板に利用されていることが中国ネチズンの通報により発覚。看板の巨大写真が急遽取り外された、と著名ポータルサイト「網易」は伝えた。看板に利用されたAV女優の画像は、中国のWebサイトでよく流れているものなのだそうだ。

 このニュースの感想欄には、通常の人気ニュースとは比較にならないほどのコメントが集まっている。中国ネチズンは日本のAV女優について誰が好きかなど熱く語り、さながら日本のネット上の祭り状態のようだ。

 中国では、猥褻な内容はサーバーに置くのも御法度だし、海外のコンテンツを置くサーバーへも中国からはアクセスできない仕掛けがあるはず。だが、これだけ多くの中国のネチズンが日本のアダルトコンテンツを見ているのもまた現実なのである。


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  山谷剛史の海外レポート
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
  中国のネット人口は1億2,300万人、回線はADSLが主流に
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/21/12742.html
  ワールドカップで盛り上がった中国インターネット
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2006/11/08)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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