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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2007年5月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまでレポートしていきます。

 なお、本連載中ではとくに断り書きがない場合、リンク先は中文サイトとなります。ご注意ください。


中国メディアがプロバイダー料金の高さを訴える

 中国のプロバイダーの利用費が平均収入と比べて、また他国と比較してもあまりに高いことを中国のIT系Webメディアは5月の間ずっとこぞって取り上げた。ある中国メディアが独自に100KB/秒あたりのプロバイダー料金を算出したところ、ドイツは0.52$、アメリカは0.49$、韓国は0.08$、日本は0.07$、中国では北京を例にとれば1~3$程度という結果となった。

 他の中国メディアもこれに追随し「中国人は先進国に比べ給料が10倍以上安く、プロバイダー料金は先進国に比べ10倍以上高い」と非難した。特に中国人がもっとも気にしている国である日本の速度が比較にならないほど速く、また所得に比べ費用が非常に安いことから、日本のインターネットインフラ事情を紹介する記事が多数掲載された。

 連日の中国メディアの批判に、中国政府信息産業部は「中国のプロバイダー料金は市場にあった適正な価格」とコメントし、「中国のプロバイダー代は高すぎる」という批判に反論している。



シマンテックのソフトで中文版Win XP SP2マシン数百万台が起動不可に

 シマンテック製のセキュリティソフトが、Windows XP Service Pack2(SP2)簡体字中文版のシステムファイルを誤って削除し、システムが起動できなくなってしまう問題が大きな話題となった。問題の事象は5月18日の午前1時から午後2時半の間に更新された同製品で、Windows KB924270のパッチをあてたWindows XP SP2簡体字中文版をスキャンすると発生する。これにより「数百万台規模のPCが被害にあった(中国メディア)」。その原因を同社は「昨年に比べレポート数は5倍に増加したため」とコメントしており、チェックミスが引き起こしたことを暗に示した。

 簡体字中文版だけで問題が発生し、日本語版を含むそれ以外の言語のOSでは発生しない。そのため各中国メディアは「シマンテックは中国市場を軽視している」と非難。それに対して後日同社は中国市場に研究開発センターを将来設けるなど、中国市場に力を入れる、という弁明をした。

 中国のセキュリティベンダーの江民科技は、シマンテックによって被害を被った企業に対し、安価でセキュリティソフトを提供するキャンペーンを実施。同時に今回の問題に関するホットラインを緊急開設し、シマンテックユーザーの取り込みを図った。

 問題が起きてからしばらく経過した後も「賠償問題はどうなるのか?」などと各中国メディアが記事で問題にしている。そんな中、今回の件でファイルが全部なくなったとして1人のユーザーがシマンテックを相手取り、北京の海淀法院にデータ損失による財産損失費、交通費など計5万元(約80万円)の損害賠償請求の提訴を行なった。


オンライン取引による盗難被害で、銀行に有罪判決【5月10日】

 2003年に重慶の中国農業銀行の重慶市内の支店に同銀行利用者が12万元(約192万円)の貯蓄を行なったところ、口座開設の2003年10月25日から29日までの4日間で12万元が3回に分けてインターネットバンキングを通して、赤の他人に盗まれていたことが判明した。

 これに対して、銀行側が盗まれた預金を保証しなかったことから、利用者は銀行に損害賠償を求めて提訴。裁判所はこの日、「銀行が利用者に預金と利子を支払え」という、利用者側の全面勝訴となる判決を下した。


中国網通、北京五輪に専用高速ネットワーク提供を明言【5月11日】

 中国の北半分で主に展開する通信キャリアの中国網通(China Netcom)は、来年に開催を控える北京オリンピック専用の高速ネットワークを構築し、各国の報道向けに提供すると発表した。

 また、ホテル向けにも、多国語に対応した設定不要のブロードバンド接続サービスおよびマルチメディアターミナル、テレビ通信システムを開発し提供するという。


Yahoo中国が組織再編。さらに本土化でシェア獲得を目指す【5月15日】

 Yahoo中国は組織再編を発表し、社名も中国雅虎(中国ヤフー)と改名した。中国本土化施策の一環で、より中国に根ざしたサービスや製品をすばやくリリースすることができるようになったという。親会社でB2Bで知られる「阿里巴巴(アリババ)」や、ヤフーもこれについて同意をしている。

 具体的には、組織再編で誕生した「BBS及びニュース事業部」「検索事業部」「通信事業部」の3事業部それぞれが独立して製品やサービスの開発を行なうという。


中国のネット利用者、未婚で恋人もいない率が高い【5月28日】

 MSN中国とiUserSurveyは中国のホワイトワーカーのインターネット利用者を対象に、生活とインターネットに関する調査を行ない、その調査結果を発表した。

 調査によると、回答者は大都市に集中し、特に北京(23.7%)、上海(22.1%)、広州(21.1%)の割合が高く、また地域別でも上海を中心とする華東地区(35.3%)、北京を中心とする華北地区(28.6%)、広東省を中心とする華南地区(24.1%)の沿岸部が多数となった。年齢別では半数以上が25歳以上30歳未満となり、一方で36歳以上の回答者は7.4%にとどまった。インターネット利用者統計の結果でもそうだったが、中年以上の利用者は少ない。

 また中国人全体と比べ、ホワイトワーカーのインターネット利用者は、未婚で、恋人もいない人の割合が大きく、また仕事の圧力もある。そのためか「精神状態が悪い(28.1%)」「感覚が崩壊している(8.1%)」と回答した人が少なくなく、精神的に不安定な人の割合が比較的大きいということも判明した。


百度と中国の有力なコンテンツベンダーが戦略的提携【5月29日】

 アイドルオーディション番組「超級女声」や韓国ドラマの「チャングムの誓い」など人気の番組を次々と配信し、中国のテレビ局としては異彩を放つ「湖南衛視」と検索ポータルで最大シェアを持つ百度が、幅広い分野における戦略的提携を結んだ。両社はともに「ネットとテレビの融合を前進する」という旨のコメントをしている。具体的には、百度は湖南衛視のコンテンツに関するBBSやブログスペースなど特設ページを開設し、湖南衛視は百度に同社のコンテンツの配信権を与えるなどを挙げている。

 百度も湖南衛視も中国の中で時代を先取りし、支持を得た企業だけにこの意味は大きい。これを機にネットとテレビの融合が一気に進んでいくのではないか、と専門家は分析している。


株バブルけん制の影響? 中国政府財政部サイトが落ちる【5月30日】

 株バブルといわれる中国だが、5月30日に上海と深センの両株式市場で、2月の世界同時株安以来となる大幅な下落を記録した。原因は、中国財政部が同日より株取引にかかる印紙税の税率を一気に従来の3倍にあたる、取引額の0.3%へと引き上げたため。これがきっかけとなったのか、中国財政部サイトはサーバーダウンで一時的にアクセス不能となった。

 サーバーダウンの原因について財政部からの公式見解は出ていないが、多くの中国メディアが「この政策に腹を立てたハッカーがサイトを攻撃したのではないか」と推測している。


CCTVのニュース番組で百度のクリック詐欺問題が紹介される【5月30日】

 中国の国営放送の中でも中央放送局に位置するCCTV(中国中央電視台)のニュース番組「新聞30分」で、百度のクリック詐欺問題が取り上げられた。百度のクリック詐欺とは、Googleで言えば、Google Adwordsのような有料のキーワード広告に関する問題で、一般には2つの問題が指摘されている。

 1つは、企業がライバル企業の名前で検索して、出てきた広告を多重クリックして広告を掲載した企業に無駄に広告費を支払わせる問題。もう1つは、表示された広告が詐欺まがいのサイトで消費者が被害を被ったという問題だ。

 番組中では、この後者の問題を取り上げた。番組の中で、オンラインゲームのタイトルをキーワードに、検索結果のページで一番上に表示された広告のページをクリックしたところ、中国の禁止するリアルマネートレード(RMT)を行なうサイトが表示され、取引を行なったところ騙され、600元(約9,600円)の損害を被った消費者の例を紹介した。

 全国ネットのCCTVのニュース番組に問題提起されることで、百度にとっては相当なイメージダウンは免れない。インターネットを利用したことがない人々もマイナスイメージをもってしまった。中国の各メディアはこの番組の報道に「百度の信頼が揺らぐ危機」と報じている。4月に百度日本のアダルトコンテンツのフィルタリングの甘さが原因で、中国当局により遮断されたばかり。現在百度は中国において逆境に立たされている。


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  http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2007/06/06)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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