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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年6月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。


中国のネット利用者、2011年に6億人を超える

 中国の調査会社である易観国際(Analysys International)は6月17日、「中国インターネット年度総合報告2007-2008(中国互聯網年度総合報告2007-2008)」を発表。その中で2011年までに、中国のインターネット利用者は6億人に、インターネット市場規模は1375億元(約2兆1500億円)にそれぞれ達することを予測した。

 2007年末の時点で、中国のインターネット利用者は2億1000万人、インターネット市場は405億元(約6300億円)となっている。同報告によれば、2007年の405億元規模のインターネット関連市場のジャンル別シェアでは、「オンラインゲーム」が市場の28.0%、「eラーニング」が12.7%、「オンラインショッピング(B2C)」が11.3%、「検索広告」が9.3%、「企業間取引(B2B)」が8.7%、「WEB広告」が8.3%、「インスタントメッセンジャー」が7.4%、「オンライン旅行予約サービス」が6.3%となった。

中国の調査会社「易観国際(Analysys International)」は、2011年までに、インターネット市場規模は1375億元(約2兆1500億円)に(グラフ上)、中国のインターネット利用者は6億人に(グラフ下)、それぞれ達すると予測した

6月はYouku.comなどの動画共有サイトの今後が話題に

 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は6月17日、中国における動画サイトの利用者についてまとめた「2008年中国ネットワーク動画市場と動画サイト利用者行為研究報告」を発表した。発表によれば、動画サイト利用者は昨年末の時点で1億6000万人で、利用者は娯楽がため見る傾向があるとしているという。

 6月はこのほか、優酷網(Youku.com)をはじめとした動画共有サイトの話題が特に目立った。特に、年初からスタートした「動画共有サイトは許可証を取得したサイトのみで運用できる」という新ルールのもと、未だ発行されていない優酷網や土豆網などの中国でも特に有名なサイトが、いつになったらライセンスを所持するかというのが、大きな話題となった。

 コンテンツを管理する中国広電総局が6月中旬に発表したライセンスの発行リストでは、各テレビ局や新聞社、それに民間企業では新浪、捜狐、網易などの主要ポータルサイト5サイトの名前が並んだ。

 しかし、優酷網や土豆網はリストに載っておらず、インターネット利用者らは、成り行きを見守っている。中国メディアですら、やきもきしていることが感じられる記事を報道した。一方で「すでに優酷網はライセンスを取得したようだ」と報じる中国メディアもある。

 そんな中、優酷網に対し米国の投資会社Brookside Capital Partners、Sutter Hill Ventures、Farallon、Maverick Capitalからあわせて3000万ドル(約31億5000万円)の資金の投資と、1000万ドル(約10億5000万円)の設備投資があったことが6月末に明らかになった。

 優酷網は、6月中旬に100のコンテンツホルダーと提携関係を結び、合法的なコンテンツを提供すると発表した。発表によれば、コンテンツベンダーの中にはワーナーブラザーズやEMIやユニバーサルなどの大手も含まれているという。

 資金力を手に入れた大手ポータルが合法コンテンツ配信に乗り出す一方で、無許可コンテンツでの訴訟も後を絶たない。以前にも中国のコンテンツホルダーから、無許可でコンテンツを配信したとして、340万元(約5300万円)の損害賠償請求を受けていた動画共有サイト「六間房」は、「無許可でコンテンツを配信した」として、またも中国のコンテンツホルダーに訴えられている。



中国からのYahoo! JAPANのアクセスが一時的に禁止される

 6月13日から17日にかけて、中国からYahoo! JAPANへのアクセスができなくなった。

 中国に駐在、留学などで長期滞在する日本人は多く、かつ日本人のインターネット利用者の多くが利用するYahoo! JAPANの突然のアクセス禁止だけに、すぐに多くの中国在住日本人の間で情報交換が行われた。通常、中国からのアクセス禁止の話題は国境なき記者団をはじめとした外国の団体やメディアなどから発表されることが多いが、今回は利用者の多いYahoo! JAPANのアクセス禁止ゆえに、在中国の日本人の報告により日本の様々なメディアで迅速に取り上げられた。


胡錦濤国家主席、インターネット上でネチズンと対談

 6月20日の午前中、人民網の「強国論壇」という掲示板で、胡錦濤国家主席がネチズンとネット上で対談を行った。同氏が人民日報社に訪れて行われたもの。

 その後報道された対談のレポートでは、「毎日インターネットをしていますか?」「掲示板上の意見を見ていますか?」「総書記が参加して感動しました」といったインターネット利用者の書き込みと同氏の返答をこれについて紹介した記事の中で紹介している。


ナレッジコミュニティによるプライバシー侵害が問題に

 中国では「人肉検索」と呼ばれる、日本で言えば「はてな人力検索」や「Yahoo!知恵袋」などのナレッジコミュニティにより、プライバシーの侵害が起きていると、複数メディアが問題提起している。中国におけるナレッジコミュニティでは、「百度知道」が最もメジャーだが、最近始まったグーグル中国による同様のサービスが猛追している。

 中国のメディアは、「ナレッジコミュニティを使って、気に入らない特定個人のプライバシーを暴くことが頻繁に起きている」と警鐘を鳴らしている。モラルの改善を訴えると共に、ナレッジコミュニティで質問してよい質問と悪い質問は何かについて考えるべきだと提案している。


iPhone 3Gの登場でiPhone(初代)が中国で急騰

 中国では、個人対個人のオンラインショッピングサイト「淘宝網」などで、中国国内で使えるように改造したiPhone(初代)が非正規流通している。iPhone 3Gが6月9日に発表されたことで、iPhone(初代)の販売量が少なくなるという噂が流れ、iPhone(初代)の平均販売価格が日本円換算で1万2000円以上急騰した。

 中国未発売のiPhoneの正規販売については、多くのインターネット利用者が興味を持っており、iPhone 3Gが発表された6月は、中国でいつどこの会社からiPhone 3Gがリリースされるのかという話題で賑わった。


2007年のノートンセキュリティソフト事件の裁判に判決

 2007年、ノートンの中国語版セキュリティ製品の正規版または海賊版を利用するユーザーが、同社製品をアップロードしたところ、OSのファイルを間違って消してしまい、多くのパソコンが起動できなくなってしまった事件があった。

 このとき、同製品の正規版を利用していてパソコンが動作しなくなってしまった広州の一利用者がノートンを相手取って1644元(約2万5500円)の損害賠償を請求した裁判で、6月30日に判決が下された。判決は、被告のノートンが、原告の市民に248元(約3850円)の損害賠償を行うというもの。原告の広州市民はこれを不満とし、控訴する予定だという。


セキュリティソフト販売で新たな課金方式

 6月12日、セキュリティソフトベンダーで知られる瑞星は、「瑞星ダウンロードカード」を使った同社のソフトウェア販売を開始した。瑞星のサイトから同社のセキュリティソフトをダウンロードし、このカードに書かれた番号を入力することで、同ソフトの利用が可能になるというもの。このカードは雑誌や飲料を販売するキオスクで販売される。

 ビジネスソフトでは新しい取り組みだが、オンラインゲームのチャージでは、キオスクでの同様のカード販売が普及している。オンラインゲームでは既にこの方法が普及して課金が当たり前となっているが、ビジネスソフトについては海賊版が普及する中、この方法は消費者に受け入れられるかが注目される。


Webサイト上での虚偽の企業宣伝で罰金

 6月28日、北京市の扉販売企業が同社Webサイトにおいて虚偽の自社宣伝をしていたことが、市民の通報により判明。北京市順義工商局の分局が同社に対し5万元(約80万円)の罰金を支払うよう命じた。

 同社は、2004年に開始した同社Webサイト上で「1999年12月にISO9001を取得」と記載したが、そもそも1999年の時点では、同社は設立すらしていなかった。



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(2008/07/09)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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