先月25日に日本法人の設立を発表したUUNET Technologies社(本誌2月26日号参照)。3月1日には、アジア太平洋地域の拠点となるUUNET香港の設立が発表された。
米UUNETのJohn Sidgmore会長、UUNETアジア・パシフィック社のMarc Sheldonマネージング・ディレクター、ユーユーネットジャパンの杉山逸郎社長らに、今後の日本市場での展開についてうかがった。
Q:日本でもファシリティベースのISPとして活動するとのことだが、バックボーンはどうやって構築していくのか?
Sidgmore:今の計画では、他国でやってきたのと同じ方法でバックボーンを構築していくつもりだ。これまでも色々と買収してきたが、機会があればその時に評価していく。どこと関係作りするかについては、まだ決まっていない。
Sheldon:もちろん親会社のMCI/WorldComの回線も使うし、NTTや日本テレコムなどの回線も使っていく。それらの中からベストなところを選ぶ。
Q:個々のアクセスラインは他社に依存するということに?
Sidgmore:これは日本のみのことではないが、自前の回線を持っていない地域についてはそうなる。しばらくはNTTに大きく依存することになる。
Q:UUNETの強みは?
杉山:1つは、グローバルネットワークに繋がっているということ。2つ目は、日本ではまだ細いところを使っている企業が多いので、中域と高域についてコスト・クオリティの両面で魅力的なサービスで提供したい。営業体制も直販中心にスタートしているので、最適なネットワークを構築できるのではないかと思う。企業向けの技術インフラを中心にやっていくので、クオリティや何かあったときにモニタリングできる能力など、差別化できるのではないかと考えている。
Q:ターゲットは?
杉山:1つはISP、いわゆるファシリティベースということ。2つ目は大企業。このエントリーポイントとしては、多国籍企業の日本に入ってきているところ、日本企業でこれから世界に出て行こうとしているところがターゲットになる。
Q:ずばりOCN対策は?
杉山:特に対OCNというのはない。特に企業ユーザーへのアプローチとしては、我々の強みとなるところから入っていく。値段の勝負になるのかどうかは分からないが、基本的には我々が思っているサービスを適切な対価で提供したい。ISPについては、グローバルネットワークというところで差別化できるだろう。
Q:今年度の日本への投資規模は?
Sidgmore:個々の国々への投資額というのは明らかにしていない。MCI/WorldCom全体としては65億ドル。その半分の30億ドルがインターネット事業と国際事業に注ぎ込まれる。そして、その半分の15億ドルがインターネット事業に投資されることになっている。ただ、MCI/WorldComが構築した光ファイバー網をUUNETが使うというように、インターネット事業に対する投資と、その他の通信事業に対する投資というのは厳密には区別できないところもある。
Q:アメリカとは対照的に日本はかなりの不況だが、投資を回収できるのはいつごろ?
Sidgmore:短期的なリターンを求めようとして日本市場に投資しているわけではない。この業界においてリターンを考えると、最低でも3年はかかる。'94年に巨額な投資を行なったが、2年間は利益が出ないという状況だった。世界第2位の経済大国で、同じく世界第2位のコミュニケーション市場を抱える日本で成長できる機会は大いにある。
Sheldon:日本は不景気だが、そうであればこそ、日本の市場というのは質の高いサービスを求めている。インターネットの利用によりコストが下げられるというわけだ。
('99/3/1)
[Reported by yuno@impress.co.jp]