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【イベントレポート/Jupiter Consumer Online Forum】

サービス料金は限りなくゼロに近づく
@HomeのJermoluk会長兼CEO基調講演

■URL
http://www.jup.com/events/forums/cof/

 インターネットの最新トレンドに関する会議「Jupiter Consumer Online Forum」がニューヨークで3月1日から3日まで開催されている。Jupiter Communications主催による今年で6回目のこの会議には、@HomeのTom Jermoluk会長兼CEO、Yahoo!のJerry Yang Chief Yahoo!、USA NetworksのBarry Diller会長兼CEOの基調講演の他、約60人の業界エグゼクティブが登場。インターネットとテレビの融合や、ケーブルモデムなどの高帯域幅、コンテンツやプラットフォームの変化などに関するパネルディスカッションが開かれている。

●広告ベースの無料サービス提供へ

Tom Jermoluk
@HomeのJermoluk会長兼CEO
 初日の基調講演を行なった@HomeのTom Jermoluk会長兼CEOは、デジタルセットトップボックスがもたらす高帯域幅とインタラクティブ性により、テレビとWebはシームレスに統合し、I-Commerce(オンラインショッピング)や広告の重要なプラットフォームになるという展望を語った。同社はケーブルモデムによる高帯域幅のインターネットアクセスを提供しており、加入者は1998年の5万人から今年初めには30万人に伸びている。

 Jermoluk氏は「テレビを見ているとき、記録したい情報がすぐに画面から消えてしまって悔しい経験をしたことはないだろうか。インタラクティブテレビだと、コマーシャルを見ている途中で製品に興味があればクリックするだけでいい。必要なデータが出てきて、欲しければクリック一つで製品が購入できる」と語る。同氏はこのような使いやすさがコンシューマの購買行動を促進するとし、「ペイパービューの注文率は、従来のような電話注文ではなく画面上のボタンをクリックするだけでいい場合、電話注文の4倍になる」と語る。

 また、このようなI-Commerceや広告による収入の増加が、サービス料金を引き下げることになるとし、「サービス料金は限りなくゼロに近づくことになるだろう。@Home加入者は現在、40ドルの月額料金を支払っているが、広告ベースの無料サービスも提供する予定である」と語った。同氏は「広告主にとっては、6,500万人(@Homeの筆頭株主であるケーブル会社、TCIの加入者)の最大規模のデータベースを得ることになる。さらにリッチメディア、インタラクティブ広告、広告の効果測定によりターゲットをさらに絞ることができる」と語る。

 現在、ケーブル回線は米世帯の98%まで浸透しているが、高速ケーブルアクセスとPCを持っている世帯は700万世帯とまだ少ない。Jermoluk氏は今年、100万人の加入者を見込んでおり、3月8日に完了する予定のExciteの買収により、3年以内には500万から1,000万人の加入者を達成すると見込んでいる。同氏は「家庭でのインターネットアクセスは今後ますます増えていくだろう。我々はテレビやPC、ページャー、ハンドヘルドPC、電話などすべてのデバイス、すべての家庭にシームレスな高帯域幅のアクセスを提供する」と語った。

●PCとテレビの融合は何をもたらすか?

discussion Steve Perlman
パネルディスカッション「Marrying TV
To The Internet--Why Bother?」
WebTV Networksの
Steve Perlman社長
 初日のパネルディスカッション「Marrying TV To The Internet--Why Bother?」では、WebTV NetworksのSteve Perlman社長、Network ComputerのMitchell Kurtzman CEO、General InstrumentのDavid Robinson幹部副社長などがインターネットとテレビの融合によるプラットフォームの変化に関して議論を行なった。

 WebTVのPerlman氏は、インターネットとテレビの融合により“バーチャルチャンネル”が実現すると語る。「従来のテレビは、見たい番組があればその時間にテレビの前にいなければならなかった。しかし、新しいWebTVのデジタルセットトップボックスは自分の好きな時間に好きな番組が見られる、いわゆる“バーチャルチャンネル”を提供する」と語った。デジタル衛星放送サービスのEchoStar Communicationsとの提携による新しいWebTVボックスには8GB以上のハードディスクドライブが内蔵されており、オンデマンドの番組視聴が実現するという。

 パネリストはそれぞれ異なるバックグラウンドを持っていたものの、基本的には高帯域幅プラットフォームはユーザーのWebもしくはテレビ体験を豊富にするもので、一つのプラットフォームではなくさまざまなプラットフォームが共存するだろうということで見解が一致した。Robinson氏によると、2000年にはすべてのケーブルボックスにはケーブルモデムが搭載されているという。

 一方、インターネットとテレビの融合によるコンテンツの変化に関する講演「Reinventing Television」では、JupiterのConsumer ContentでGroup Directorを務めるMark Mooradian氏が「高帯域幅に対応したコンテンツで今後重要になる分野はリッチメディアやビデオだと考えられていたが、調査により、ユーザーの求める機能は電子メールや検索、ニュース情報提供などのユーティリティ機能であるということがわかった。とくに、高帯域幅やつなぎっぱなしの環境で、電子メールやチャットの使用頻度が飛躍的に高まるという結果が出ている」と語った。同氏によると、今後はテレビのコンテクスチュアルな機能とインターネットのユーティリティ的な側面を合わせたコンセプト“Utilivision”がキーワードになるという。

('99/3/2)

[Reported by HIROKO NAGANO, NY]


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