■URL
http://www.nttdocomo.co.jp/i/
NTT移動通信網株式会社(NTTドコモ)が2月22日からサービスを開始した「iモード」。広末涼子が出演している新聞広告やテレビCMなどを目にした人も多いだろう。iモードは、対応の携帯電話端末だけを使って、電子メールやホームページの閲覧のほか、モバイルバンキングやチケット予約、占いなどのコンテンツサービスが利用できるというサービスだ。
発売から約10日を経て、ユーザーからの反応や今後のiモードの展開について、NTTドコモのモバイルマルチメディア推進本部ゲートウェイビジネス部部長 榎 啓一氏(写真)にお話を聞いてみた。
●「売れているという感じがします」ウォッチ編集部(以下W編):実際に「iモード」のサービスが始まりましたが、市場の反応はいかがでしょうか?榎氏:1週間で約5,000台位売れました。端末販売数イコール契約数なんですが、1人か2人、契約しないで端末だけを買ったお客さんがいるようです。間違えてるか忘れてるかわかりませんが(笑)。販売機種に関しては、現在富士通製の1機種(デジタル・ムーバF501i HYPER)のみです。もう2機種を順次発売する予定ですが、現状1機種だけでその販売数ということです。
対応機種は、まだ量販店では売っていなくて、支店とドコモショップのみで売っているんです。販売チャネルでいくと量販店が100だとすると、支店/直営店は数パーセント。基本的には量販系で買っていただく場合が多いので、そういう狭いチャネルで売れているところをみると、1週間に5,000台というのは売れているという感じがします。また、ネットワークのアクセスを見てると、我々が想定するよりもかなり多くアクセスされていて、通信カラオケのリクエストなんかもあるみたいです。
提供するコンテンツ的には、各社工夫しています。例えばJALやANAなどはそれぞれ会社のロゴマークをGIF画像を使って出していたり、新聞各社もニュースの見せ方をそれぞれの方法で工夫しています。しばらく使っていると、iモードに合ったインターフェイスが決まってくるんだろうと思います。
W編:一般ユーザーが情報提供しているページというのもあるのでしょうか?
榎氏:我々が思っているより早かったんですが、現在10個くらい出てきています。それは、HTMLの良さだと思ってます。「まぐまぐ」も専用のページを作ってますね。あとは、タクシー料金を調べられるページとか。結構、ドコモが提供しているポータルサイトと比べて遜色ないんです。ほかに「iモード投稿サイト」というページでは、端末についての様々な意見が寄せられています。
W編:それらのページはどれくらいあるのでしょう?
榎氏:僕らがお願いして登録してもらっている訳ではないので、数はわかりません。社内で人海戦術で検索エンジンを使って見つけるしかないです。
W編:そのうちiモードコンテンツ専門のディレクトリサービスができるかもしれませんね。
榎氏:そう思います。やりたいという話も実際あるんですよ。iモードで何が見えるかということがわからないとお客さんは買ってくれません。それで、モバイルバンキングや占いのサービスを提供しているんです。
最初のうちはドコモのサイトが一番アクセスが多いのは当然です。綺麗に作ってるし効用があると思うので。その後は、ユーザーの皆さんが、これまでパソコンに提供していたコンテンツを「iモード」にも出したいというようになればよいですね。今後、iモード用のホームページ提供ビジネスというのがあり得るかもしれません。本人の顔写真をGIF画像で載せたりとか。
企業向けのPIMサービスというのもありだと思います。メールのフィルタリングサービスとか。すでにノーツやExchangeと連携させる「プーマ」がでてます。それくらいできれば普通のビジネスマンの8割の仕事はiモードで済んでしまうと思います。
●「iモードでインターネット人口は増えると思います」
●取材を終えて●榎氏:次は何を狙うかというと、ブラウザーをバージョンアップできるようにしたいですね。もし載ればですが「Java」や「Jini」なんかもいいと思います。最初は汎用的なブラウザーを載せておいて、一工夫したい人には専用のブラウザーが用意されるとか。次はそういうのができるといいなと思ってます。
あと、iモードは、電話番号の後ろに@以下を付けることでJ-PHONEの「SkyWalker」とメールのやりとりができます。パソコンもポケットボードもいやだという人が、@以下を加えれば、別のキャリア同士でもやりとりできるね、ということになると思うんですよ。
ほかに、例えばタレントさんのページを開くとしますよね。そうすると、http~というのを打ち込むのはいやだなと思いながらも、そのぺージを見たいという欲望から、わからないながらもURLを打つようになると思うんです。そうすると、別な理由の欲望から、URLを入力するということと@以下を入力するということが習慣になる。すると、そういったユーザーの何割かは、これで満足できないからインターネット/パソコン側に上っていくと思います。大きな画面やキーボードでページを見てみたいという人が出てくると思います。
そういう意味で、従来のパソコン型のインターネットから見ると、iモードが「撒き餌」になりますね。自然発生的に、何人かはパソコンを買ってみようかと。これで、インターネット人口は増えると思います。よく、10円メールやポケットボードと競合するのではないかと質問されますが、そうではないです。ある程度は食い合いますがトータルでパイは広がると思っています。
W編:iモードは基本的なコンセプトはあくまで「携帯電話」なのでしょうか?カーナビのサービスも実験もやってますが、今後、PDA型とかポケベル型になるといったことはありえるのでしょうか?
榎氏:例えばPHSに載せたり、ポケベルに同報配信するという形はあろうかと思いますが今のところ現実には動いてないです。カーナビで言うと、トヨタや日産がそれぞれ情報サービスをやっていて、いずれも苦戦しているようです。なぜかというと、回線交換で切れやすいという問題とコンテンツ的に何が当たるかわからないという部分だと思います。
iモードを立ち上げたことで、何が魅力的なコンテンツかがわかるようになると思います。その先に、情報配信という面でポケットベルというチャンネルもあればPHSというチャンネルもあるとは思っています。ただ、具体的な計画として今あるのは、カーナビです。
iモードは、ビューワーとして利用されたりして、ポケベルに毛の生えたようなものです。やはり本当にメールをやりたい人は、鞄にはノートパソコンなりメールの読める端末を持っているはずです。ベースにはiモードがあって、本当に深くやるときはパソコンを使うと。
iモードは、魚釣りでいうと「撒き餌」だと。iモードが、インターネットの世界を制覇することは絶対ない。でもインターネットを広めるのには役立つであろうと思ってます。
W編:コンテンツ的にはどうなっていくのでしょう?
榎氏:従来のインターネットユーザーは、パソコンが一番好きな人で、お小遣いのほとんどをハードウェアにつぎこんだりする人が主な対象だと思います。でも、例えば銀行などサイトを構える人達は、パソコンにだけお金をつぎ込む人だけじゃなく広い対象を狙っているんです。そういう意味で言うと、iモードによって、テキストとはいえインターネットへの入り口が開けば、コンテンツを出す人にとって非常にうれしい。
例えばパンフレットに「こちらは携帯で見られるライトなサイト」「こちらはパソコンで見るサイト」と書いて商品紹介ページのURLを載せたりというやり方もあると思います。それで、コンテンツを出す側が気合いが入ってくると、それを見る人もおもしろいから気合いが入る。それを入り口に、ユーザーがパソコンのほうにも移っていくと。
現在は、ドコモでは真面目なコンテンツを提供していますが、今後はもっと様々なタイプのコンテンツが色々なところから出てくると思います。
W編:ありがとうございました。
なお、榎氏に教えていただいた「iモード対応サイト」を以下に紹介する。まだiモード自体サービスを開始したばかりということもあり、どのページも現段階では情報が少ない。しかし、iモードのサイトでは、対応タグなどiモード対応ホームページの作り方について簡単に解説しているので、対応ページの作成に挑戦する人も増えていきそうだ。
■まぐまぐ
http://www.mag2.com/i/
■タクシーデータベース
http://www.fromtokyo.com/i/
■折り畳み自転車BD-1のページ
http://www.cup.com/onohiroki/i/
■日本のミュージカル情報
http://www2.biglobe.ne.jp/~morris/musical/i/
■個人のホームページ(奥村晴彦氏)
http://www.matsusaka-u.ac.jp/~okumura/
■個人のホームページ(電大放送藤田氏)
http://www.1j.clubk.dendai.ac.jp/tbc/tbc-i.html
('99/3/3)
[Reported by okiyama@impress.co.jp / masaka@impress.co.jp]