DDIポケット電話グループが2月18日に開始した、PメールやPメールDXなどの通信に特化したPHSサービス「文字電話」。モデムやパソコンなどを必要とせず、専用端末だけでメールをやりとりしたりできるというものだ。相互での音声通話はできない代わりに、基本料金が980円~と従来のPHSよりも低めに設定されている。通話料金は、メールの送信で見てみると、DXメール(直接通信)の場合で1通おおよそ10円程度。インターネットメールなど、センター経由通信の場合は、30秒10円だ。電波の状況にもよるが、どちらの場合でも数秒で送れることがほとんどだ。
対応端末は、現在のところ東芝から「TEGACKY」(写真上)、トミーから「手書きPiPi」(写真左)の2種類が発売中だ。どちらも手のひらサイズの小さい端末で、実売価格は4,800円程度。どちらも、本体についているダイヤルや付属のペンで画面をクリックして操作する。なお、4月下旬よりカシオからも対応端末「Me-tel(メーテル)」が発売される(本誌3月3日号参照)。現在の端末と機能を比べると、3色カラー液晶が搭載されるなど大きく機能強化されており、期待できそうな端末だ。
今回は「文字電話」の機能を中心に、対応端末「TEGACKY」での使用レポートをお伝えする。
端末を買ったのは、サービスが開始されて数日後。実は、メッセージを送る相手がいないと買っても仕方がないと思い、すぐには飛びつかなかったのだ。そんな矢先、友人が買おうと思っていると言い出した。それがきっかけで突然物欲が上昇。なんとかその日の閉店30分前、新宿ヨドバシカメラに駆け込んだ。
が、この端末を利用するには、DDIのPHS契約と同様の手続きが必要になる。端末に電話番号を焼き付ける時間が必要なので、契約時に「今日お渡しできるかどうか…」といわれてしまった。結局のところ、無事受け取れたのだが、手続きにおよそ30分ぐらいは必要になるとのこと。時間に余裕をもって買いに行くのがよさそうだ。
なお、ヨドバシカメラで販売されている文字対応端末は「TEGACKY」の一種類のみ。「手書きPiPi」はキディランドなどおもちゃを扱っているショップを中心として販売されており、ヨドバシカメラなどの量販店では扱っていないらしい。ちなみに、編集部の周辺では「手書きPiPi」を持っている人が少なめで、今持っているとかなり自慢できる。
端末の電源を入れると、「TEGACKY」では8つのメニューが表示される。PメールとPメールDXなど、サービス名が書かれており、サービスの違いを知っていなければ少々戸惑ってしまいそうだ。ちなみに、Pメールは、Pメール対応端末どうしで最大20字までのカタカナ・英字・数字・記号が送れるというもの。一方PメールDXは、漢字も送信できるほか、手書きメモの送信や、文字数も1,000文字まで対応。さらに対応端末どうしでの通信はもちろん、インターネット経由でのメールの送受信などにも対応している。
メールの送受信件数(容量)は、最大1,000件まで可能。ただし、これは題名と本文を合わせて25字程度の場合で、1,000文字程度の場合は約80件とのこと。手書きメモが多いと、また若干違ってくる。実際に使ってみた感じでは、手書きメモのやりとりが多い場合、50件弱でメモリがいっぱいになる。
文字電話ではメールの受送信以外にも、文字で芸能情報や天気などの情報が受け取れる「情報サービス」、音声で競馬情報などが聞ける「情報ダイヤル」などもあって意外と実用的。ちなみに、文字電話では相互の音声通話はできないが、端末上から電話をかければ、先方からの声だけは聞くことができる。
このほかにも、αメール、ポケベルの送信、簡単なスケジュール機能、アドレス帳の機能が付属している。
文字電話対応端末では、端末からオンラインサインアップで自分の好きなアドレスを取得できるようになっている。オンラインサインアップは、メニューから選んで送信ボタンを押すと、センターに接続し、メニューに従って操作する。自分の名前から希望アドレスを送ったところ、一般的な名前のため、空いているアドレスを見つけるのに何度かセンターとやりとりをしたが、それでも取得するまでの時間は数分程度。こうした可能性も考え、あらかじめ、アドレス候補をいくつか考えておくといいだろう。登録が終わると、「<任意名>@pdx.ne.jp」というアドレスが発行され、DDIのPメールDXセンターを通して、インターネット経由のメールを送受信できるようになる。
なお、インターネット経由以外のメールは、センターを通さず、直接相手の番号に電話をかけて通信する。この場合はメールが直接端末に届くため、センターへメールをとりにいく必要はないが、相手が圏外の場所にいる場合などは送れない。一方インターネットメールの場合は、相手がどんな場合でも送信できるが、メールはセンターに蓄積されるため、受ける側が自分からセンターへとりにいかなくてはならないのが面倒なところ。オプションサービス(端末から申し込める)で、着信通知を受け取ることもできるが、一通につき10円かかかる。
実は、インプレス社内では猛烈な勢いで文字電話対応端末が増殖中なのである。しかも、女性を中心に受けている。すでに仕事などで毎日たくさんの電子メールをやりとりしている環境にいながら、それでもこの端末がはやる理由は、とにかく手軽でおもしろいからだ。特に、ユーザー同士でペンで書いた手書きのメモが送れるところが楽しい。
もちろん文字も打てるのだが、ソフトキーボード風の一覧をクリックして操作しなければならないので、はっきりいってかったるい。遊び仲間に送ると割り切っていることもあり、手書きメモの送信が周囲でよく利用されている。手書きメモは、96×43ドットの画面で、6枚まで送れる。文字や絵などを描いて送るのは、簡単で楽しい。ちなみに、インターネット経由でも手書きメモを送れるが、その場合相手には、6枚分の画像が並んだ一枚の画像となって添付ファイル(BMP)で送られる。逆に、インターネットからPメールDXユーザー宛に送る場合は、192ドット×130ドット以内のモノクロ画像で、BMPファイルで送る。
なお、独自のアイコンやフレームも自作できる。トレードマークに、メッセージの最後に独自のアイコンを入れるのも楽しいものだ。
インターネットでは、PメールやPメールDX向けのメールマガジンもいくつか出ているようだ。オススメは「[ClubPDX]」。ニュースダイジェストや天気、友達募集など情報がバランスよく毎日配信されてくる。
数日使ってみて驚いたのは、地下鉄の中や駅の中など、携帯電話が苦手とする場所でもかなり使え、しかも動いていながら通信ができることも多いことだ。電車での移動中もかなりの確率で送受信できたし、発車する前後、到着する前後ぐらいの速度であればほぼ確実だった。しばらくPHSを使っていなかったのだが、いつのまにか大幅に改善されていたようで驚いた。
ただ、TEGACKYの操作は、慣れれば問題ないのだが、感覚的に使いやすいとは言えない。送信するためのボタンや、ひとつ前のメニューに戻る場合のボタンなどがわかりにくい。私の場合、マニュアルを見なければ送信までこぎつけなかった。また、バックライトがついているので、暗いところでも液晶画面は見やすいが、操作するメニューボタン部分は液晶でないため、操作しにくい。
あと、ちょっと困るのが、端末を「マナーモード」にしていても、★送信するときに「ピポッ」と音がすること。勤務中にこっそり送信する場合でも、わかる人には、わかってしまうのだ。
★この件については、読者の方からご指摘をいただき、適当な電話番号に電話をかけた状態で、「↓」キーもしくは本体左にあるダイヤルを回すと、通話音量をオフにすることができ、音は完全に消えることが判明いたしました。ご指摘ありがとうございました。
このところ、パソコンなしで電子メールを使ってみたい、という人は増えているようだ。ポケットボードは実売価格で1万円以下とお手軽だが、NTTドコモ以外の携帯電話は対応していない。コミュニケーションパルはおおよそ3万円で、少々敷居が高い。TEGACKYでは、メールの保存量など、機能的はこうした端末にかなわない面もあるが、プロバイダーへの契約手続きも必要なく、手軽さは抜群だ。
ただし、この文字電話、基本的には友人が持っていないとつまらない。買ったけど送る相手がいないという方は、07066433203(PメールもしくはPメールDXユーザーのみ)までどうぞ。できる限り、お返事させていただきます。
('99/3/4)
[Reported by junko@impress.co.jp]