MP3が、よくも悪くもメジャーになり、音楽ファイルをインターネット上でやりとりすることが特殊なことではなくなってきた。これから紹介していくように、MP3ファイルをダウンロードして再生したり、反対に世界に向けて自分の作ったMP3データを発信することは、インターネットユーザーには難しいことではない。しかし、その手軽さゆえに、MP3が違法コンテンツとして問題になっているのが事実である。
今回は、そういった面を踏まえながら、合法的にMP3を楽しんでいくために役立つサイトを紹介する。
ご存じのように、MP3は、音楽著作権の侵害など違法的な利用が問題になっている。しかし、だからといってこの技術自体は違法なものではないし、MP3化された音楽ファイル自体にも違法か合法かの区別があるわけでもない。利用の仕方しだいで、合法ファイルにも違法ファイルにもなってしまうのだ。
では、どんな利用がよくてどんな利用方法がダメなのか? 冒頭から堅い話題になるが、優れた技術であるMP3を悪者にされてしまわないためにも、MP3を利用する人は最初にこのことを理解しておく必要があるだろう。まずは、MP3と著作権との関わりについて解説しているサイトをピックアップした。
音楽著作権に関しては、すでに米国では損害賠償問題に発展するほど、違法なMP3サイトが問題になっている。この訴訟の原告ともなった米国レコード産業協会(RIAA)のサイトにも、ネット上の音楽ライセンスについてFAQコーナーが設けられている。
また、MP3に限らず、ネットワーク上の法律問題については、弁護士の岡村久道氏のホームページ「サイバースペースの法律」でも詳しい解説を読むことができる。MP3と著作権についても触れているので参考になるだろう。
さて、パソコンでMP3を楽しむには、いくつかのソフトが必要だ。MP3ファイルを再生するプレーヤーのほか、自分でMP3ファイルを作成する場合にはWAVファイルなどをMP3ファイルに変換するエンコーダー、MP3ファイルの曲名情報などを管理するタグエディターなどが必要になる。また、CDの曲をMP3ファイルにする場合は通常、CDの曲データをWAVファイルなどのパソコン用データに吸い上げるCDリッパーも必要だ。中にはこれらの機能を統合したものなどもあり、入手可能なソフトは多種多様だ。
ここでは、これらMP3ソフトの紹介や比較、利用にあたってのノウハウなどを紹介しているサイトをピックアップした。MP3ソフトは、オンラインで提供されているものが多く、これらのサイトからリンクをたどって簡単に入手できる。
このほか、MP3ソフトやファイル作成のノウハウについて解説しているサイトとしては、「.mp3実験室」や「楽しむ実用MP3講座」などがおすすめだ。
また、海外にサイトになるが、アップグレード情報などをいち早く知りたい人は「Daily Updated MP3 Software」にアクセスするといいだろう。プレーヤー、エンコーダー、CDリッパー、プラグイン、ユーティリティなど、カテゴリーごとにありとあらゆるMP3ソフトについて最新バージョンへ、ダウンロードリンクが張られている。
手持ちのCDをエンコードしてパソコンで再生できるというだけは、MP3のありがたみはないだろう。やはり、データの圧縮率の高さは、インターネットでのやりとりで生きてくる。それゆえ、市販のCDをMP3化してネットで公開したり、タダで新曲が手には入るといって違法ファイルに手を出すユーザーが少なくないのも事実だ。
しかしその一方で、有名アーティストがあえてMP3を使って曲をネットで公開したり、アマチュアバンドが活用している例もある。むしろ、MP3が生きるのは、こうしたCDでは手には入らないような音楽や、今まで知る機会もなかったアーティストの作品がネットを通じて手に入ることだろう。ここでは、そんな“合法MP3ファイル”の手に入るサイトをピックアップしてみた。
こういった、MP3ファイルを集めたサイトのほかにも、個人のホームページなどでも、自作曲を公開している方も多い。
そういったファイルを探すのに役立つのが検索エンジンだが、違法ファイルまで多数ヒットしてしまうのが難点だ。MP3ファイル用のサーチエンジンとしては、Lycosが提供している「MP3 Search」があるが、ヒットしたサイトの95%は違法サイトと言われて問題になっている。RIAAがデータベースからの削除を要請しているという。
これに対し、合法サイトの中からのみ、曲名やアーティスト名でMP3ファイルを検索できるサーチエンジンが「Noisebox」だ。
ネットを通じて世界中のマイナーな音楽が入手できるのなら、当然その逆も可能。MP3の普及により、自分の作った曲を手軽に世界に発信することができるようになった。そのもっとも簡単な方法は、自分のホームページにファイルを掲載することだが、せっかくなら、もっとアピールできる方法でやってみてはどうだろうか。
まず、考えられるのは、MP3の専門サイトに登録することだ。個人のホームページと異なり、世界中からのアクセスがある。思いもかけない国のユーザーにも聴いてもらえるかもしれない。
次に考えられるのがストリーム配信だ。MP3プレーヤーのWinAMPで有名なNullSoft社は、MP3のストリーム配信が行なえる「SHOUTcast」というソフトを公開している。
SHOUTcastは、WinAMPと組み合わせて使用する。パソコンにWinAMPの2.06以降、WinAMP用の「SHOUTcast DSP Plugin」、「SHOUTcast server」の3つをインストールすることで、自分のマシンのWinAMPで再生している曲が、そのまま世界中のリスナーにストリーム配信できる。さらに「Live Input Plug-in」を使えば、DJやトークなどのライブ放送も可能になるという。インターネットに接続しているパソコンなら、ダイヤルアップ環境でも気軽にストリーミングの放送局になれるというもので、非商用利用なら無料だ。
なお、自分でSHOUTcastサーバーを立てる際は、設定により、SHOUTcast Direstoryに自動的にリストアップされるようにすることも可能だ。そうすれば、知り合いだけでなく、より多くの人に聴いてもらえるチャンスが生まれるだろう。ただし、その場合はIPアドレスも公開されることをお忘れなく。
SHOUTcastについての説明は、上記のサイトを読めばだいたいわかると思うが、ユーザーの体験談なども参考になるだろう。「MP3 TIDALWAVE UG」は、MP3関連のデイリーニュースを掲載しているサイトだが、「SHOUT castでゴー!」というコーナーを用意。SHOUTcastの導入手順や設定、操作方法についてわかりやすく説明している。
('99/3/15)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]