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【レポート】

電子マネー「スーパーキャッシュ」体験レポート:バーチャルモール編

■URL
http://www.s-cash.gr.jp/

■電子マネー「スーパーキャッシュ」体験レポート:リアルモール編
/www/article/1999/0414/superc.htm

 本誌14日号でお伝えしたとおり、国内の銀行とNTTが推進する電子マネーの共同実験「スーパーキャッシュ」がスタートした。スーパーキャッシュは、NTTが開発したICカードを用いた電子マネー。14日号では、新宿のデパートや駅ビルなど現実の店舗での「リアル実験」のレポートをお伝えしたが、引き続き、今回はインターネット上のショッピングモールの使用レポートをお伝えする。

■どうすればバーチャルで利用できる?

 電子マネーの発行は、東京三菱、第一勧業銀行、三和銀行など国内の24銀行がそれぞれ行なう。対応している支店にそれぞれ申し込むことになるが、申し込み時に、バーチャルでの実験も希望する旨を申し出ると、先着1万名までに、ICカードリーダー、アダプター、専用ソフトが貸与される。専用ソフトはWindows版のみだ。

 ほかに、WWWブラウザーが必要になる。マニュアルには、IE3.0xおよび4.01以下、Netscape Navigator 3.0xおよび4.04以下をサポート(平成11年1月現在)と書かれている。今回は、IE4.01 SP1を使用した。

 なお、以下すべてインストールやカードリーダーの接続が完了している状態として、話しをすすめることにする。

■まずはWWW上から「スーパーキャッシュ」のチャージを体験

 買い物をするには、あらかじめ電子マネー「スーパーキャッシュ」をICチップにチャージしておく必要がある。14日号でレポートしたとおり、チャージ機能つき公衆電話や対応銀行などでもチャージできるが、そのために新宿にでかけるのは面倒なもの。WWW上からもチャージできるので、これを活用しよう。チャージ機能つき公衆電話の場合などと同様に、この場合もあらかじめ(スーパーキャッシュを申し込み時の)銀行口座に残高があることが前提だ。

 まずは、スーパーキャッシュのトップページから、申し込んだ銀行をクリックしよう。今回編集部では、三和銀行のカードを利用した。チャージできる時間は、銀行によって違うが、三和銀行の場合は平日8時~24時、土・日・祝日は8時~20時となっている。

 「チャージ」をクリックすると、ICカードの挿入を求められるので、10秒以内に入れる。規定の秒数を過ぎると、再度やりなおしになってしまうので注意しよう。次に銀行口座の暗証番号を入力し、認証されるとチャージ金額を入力できる。電子マネーの残高はすぐにわかるが、口座にいくら入っているのか照会する機能はないので、あらかじめいくら持っているのか頭にいれておいたほうがよい。残高と入力した金額に不足がなければ、入力した金額(上限10万円)がチャージされる。不足していれば、その旨が表示されるので、再度金額を入力する。チャージそのものは非常に簡単だ。


■「スーパーキャッシュ」対応ショップを探すのにひと苦労!

 次に、買い物するショップを選んでみよう。今回は、パソコン関係のもので何か変わったもの…たとえば面白いマウスなどをコンセプトに、商品を探すことにした。
 スーパーキャッシュのホームページには、現在利用できるバーチャルショップがリンクされている。加盟店の一覧が見られるほか、実験に参加している6つのバーチャルショップにもリンクが貼られている。

 まず、加盟店の一覧を見たのだが、実はこのリストだけでは具体的に何を扱っているショップなのか、いまひとつ分からなかった。そこで、6つのバーチャルショップを一つずつ回ってみることにした。

 一通り回ってみたところでは、ショッピングモールによって、スーパーキャッシュに対応しているショップをトップページに明記しているところと、特に明確にしていないところが見受けられる。どのショップでも使えるのかと思って商品を決定し、いざ支払う段階になってから「スーパーキャッシュ」に対応していないことがわかり、がっくりきてしまうことが何度かあった。また、対応しているショップが書かれていても、ページをたどってみると「SETのみに対応です」と書かれていたり、一覧表には載っているはずの店が紹介されていなかったりと、これが意外とアテにならない。システムのトラブルで、スーパーキャッシュの扱いを停止しているモールもあった。なかなか前途多難である。

 そのため、バーチャルショップのテナントすべてがスーパーキャッシュに対応しているわけではないことを頭にいれておいたほうが良いようだ。いくつかのモールのサポートに電話をしてみたところ、支払う画面で決済手段を選ぶときに「スーパーキャッシュ」が出てこなければ未対応という返事が多かった。結局のところ、それで見分けるのがしかないようだ。

 こんな状態では、欲しい商品をざっと探すのは、なかなか難しい。もちろん、品揃えはいろいろとあるのだが、「スーパーキャッシュで払う」となると、とたんに限定されてくる。単に趣味で買うのなら支払方法にこだわらなくてもよいのかもしれないが、今回はスーパーキャッシュで買う必要がある。結局、何時間もモールをさまよった結果、手前味噌で恐縮だが「インプレスダイレクト」で見つけたフルーツ色のUSBマウス(Mac/Windows)を購入することにした。

■いよいよ購入!しかし…。

 「インプレスダイレクト」のページから、6色あるフルーツカラーマウス「Uni Mouse」を購入することにした。クレジットカードで購入する場合と流れはほとんど同じ。インプレスダイレクトのIDなどを打ち込む。決済の選択部分で「スーパーキャッシュ」を選び、あとは流れに従って進めていけばよい。

 しかし、肝心のスーパーキャッシュの決済の部分で、プラグイン(専用ソフトに含まれる)で表示されるはずの「スーパーキャッシュ」の画面が出てこない。かなり悩んだ末、自社サイトなので、技術担当に見てもらったところでは、うまくプラグインが作動していないのではないかとのこと。

 IEの場合、セキュリティ関係のバグの関係で、WWWブラウザーのバージョンによっては、たまに決済時のプラグインの画面が表示されないことがあるのだそうだ。マイクロソフトのページでIE4.01/SP1用に公開されている「Untrusted Scripted Paste」の問題修正プログラム(ja3214.exe)をインストールすると治る場合もあるという。

 そこでさっそくパッチをインストールをしてみた後、再度チャレンジしてみると、無事プラグインの画面が表示された。

 ちなみに、周辺の人を見てみると、マニュアルでサポートされていないIE5やNetscape Communicator 4.5でも問題なく動作しているようだ。


■「スーパーキャッシュ」は普及するか?!

 あらかじめ電子マネーをチャージしておくということは、感覚的に商品券やプリペイドカードを買うのと同じだ。現在は、現金とともにクレジットカードでの決済が主流だが、クレジットカードには「後払い」という大きな特徴があり、しかもマイルや各クレジットカードの「ポイント」がついてきたりする。最近では、各デパートのクレジットカードだと割引特典などもある。そう考えると、やはり電子マネーにも、いくら分チャージするといくらトクする、といったような特典が欲しいと思う。

 数回は新しいものを試してみたい気持ちから試すかもしれないが、現在のままで生活に根づくかとなると、少々疑問が残る。

 また、パソコンで使う場合は、ICカードリーダーを取り付けたり電子財布ソフトをインストールしたりと、少々手間がかかる。最初、なかなかICカードリーダーが認識されなかったり、WWWブラウザーをインストールしなおしたりと、戸惑ってしまった。ものめずらしさもあって、多少の失敗も乗り越えようと思ったが、単にちょっと試してみたいだけならば挫折してしまいそうな気もする。もっとやさしいマニュアルや、使い勝手の向上などを期待したい。

 そうした欠点はあるが、インターネットでの買い物も、実在の店の買い物もできるという点は魅力的だ。しかもNTTの技術を利用しているだけあり、公衆電話も使える。やはり、1枚のカードで複数のことができるのは大変便利だ。財布のカードを減らすためにも、ぜひ、さまざまな場面で使えるようになると非常に助かる。個人的には、JRの切符が買える(さらにはイオカードのように改札も通れる)など、交通機関も対応するとなると、現金の必要性が減り、大幅に使い勝手が向上するように思う。

('99/4/16)

[Reported by junko@impress.co.jp]


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