今週も後半からはゴールデンウィークに入る。ということで、今回は、連休の旅行計画に役立つサイト特集をお届けする。といっても、海や山や温泉や海外に出かけるような人は、すでに何カ月も前に予定を立てているだろう。また、海や山や温泉や海外に出かける計画を今から立てようというのも、ちょっと苦しい話だ。そこで今回は、メジャーな観光スポットに行かなくても楽しめ、今からでも十分に間に合う旅行テーマを提案したい。
世の中には変わった人がたくさんいるもので、一般的には観光スポットとさえ認識されないようなところを好んで見て歩く人がいる。そういった人のWebサイトも多く、見ているうちに、海や山や温泉や海外に行かなくとも、十分に楽しい旅行が実現できるのだということをひしひしと感じる。
今回は、その中からおすすめの10の旅行テーマを紹介していく。ちょっと不思議なものばかりだが、その魅力は、海や山や温泉や海外にも決して劣らないものばかりだ。まだ、ゴールデンウィークの旅行計画がない人は、ぜひ、この中から行き先を見つけて欲しい。
「大勝軒というと、どこに行っても見かけるほど、いろいろなところにありますね」と書いているのは、「ラーメン太郎」という、ラーメンファンのWebサイト。作者が実際に行ったことのあるラーメン店を紹介しており、「大勝軒」というコーナーで「永福町系列の大勝軒」についてリストアップ。そのうち何軒かについて作者自身のレポートを掲載している。「大勝軒のラーメンというと、煮干しだしのラーメンを想像してしまいますが、最近それだけではないことがやっとわかってきました」とのことで、一口に大勝軒と言っても、なかなか奥が深いことがわかる。
「インターネットタウンページ」で検索したところ、大勝軒と名の付くお店は全国に60件。東京や埼玉を中心に、秋田、大分、徳島などにも分布している。中には普通の食堂や仕出し店なども含まれているようだが、多くはラーメン店か中華料理店。ここを目的地とすれば、なかなか素敵なグルメツアーが計画できるはずだ。
なお、他の食べ物についても同じパターンが考えられるが、ある程度品目が限られていて、かつ各店の味の違いを楽しめるという点で、“大勝軒”はうってつけのテーマだと言える。
一部の例外を除いて、それ自体が旅行の目的になることはない道路。しかし日本には、有名観光地にも匹敵する道路が存在する。“点線国道”だ。
例えば、国道のトンネルが工事中などで開通していない区間が、実は非常に細い道で結ばれている場合がある。国土地理院の地図では、道幅が1.5m未満の道が点線で表わされるため、このような国道を“点線国道”と呼ぶのだそうだ。
そんな点線国道の魅力を伝えるのが、「日本特異点紀行」というサイトだ。点線国道のある場所を回り、そのレポートを「点線国道の旅」というコーナーに掲載している。例えば、青森県竜飛岬の国道339号は、なんと徒歩でしか通行できない“階段国道”だ。民家のすき間をぬう、こんな路地が国道か?と不思議に思うが、きちんと「国道339」と記された逆おむすび型の標識が立っている。国道というと、道幅が広く交通量も多いというのが普通のイメージだが、その常識をくつがえすインパクトだ。
なお、この階段国道は、それを売りにして観光地として整備されている珍しい例なのだそうで、誰でも簡単に通行することができる。しかし、多くは「ほとんどけもの道」だったり「通行禁止」ということなので、実際に訪れるのは体力が要るかもしれない。
ところで、ご存じのように国道には番号が付いている。日本の国道に関する総合情報サイト「National Roads in Japan」によると、現在507号まであるということだ。これを走覇したいと思うのは不思議なことではないだろう。そんな人は「国道写真館」を参考にチャレンジしてみることをおすすめする。
定年退職後、健康のために歩くことを趣味にしていた男性が、ある日突然、いつものように訪れた神社で“狛犬”の存在に気付いた。「この獣像をなぜ狛犬と呼ぶのか。狛犬は、何処からやって来たのか等々の疑問が次から次へ湧いてきて、ついに、狛犬に魅せられて『狛犬を追い求める男』になりました」と言うのは、「猪子芳明の狛犬ギャラリィ」の作者である。このサイトでは、徳島県鳴門市にある狛犬を紹介しているが、「標準狛犬」や「狐のこまいぬ」「顎髭のある狛犬」「尾道型狛犬」など、狛犬と言っても、よく見るといろいろなタイプがあることに驚く。
意外なことに、狛犬ファンはけっこういらっしゃるようで、狛犬専門のWebサイトもかなり見られる。落語家の三遊亭円丈師匠が会長を務める「狛研」のサイトが有名なところで、風変わりな狛犬を紹介する「面白こまいぬ」(「あわれ!発泡スチロール狛犬」など)や、狛犬を見に行く時のノウハウや写真の撮り方などを解説する「How To こまいぬ」などのコーナーが用意されている。
データベース系では「日本全国こま犬ライブラリ」が充実している。「カッパこまいぬ」や「かっこいい洋犬型!?」の狛犬、「類人猿顔」の狛犬、「しっぽがかわいい」狛犬、「まゆ毛がすごい」狛犬など、全国各地の狛犬を都道府県リストや地図から検索できる。
350点の狛犬画像を収録しているという「タヌパック狛犬博物館」では、「狛犬を訪ねる旅」として、狛犬めぐりの紀行文を掲載している。この連休に狛犬を始めようという人は、このコースを参考に見て歩くのもいいだろう。
有名な神社は観光地としても人気があるが、ちょっと視線を変えるだけで、そうではない近所の神社にも見所があるものなのだと実感できるだろう。
わが国の名所・旧跡の中で、なくてはならないジャンルが“神社仏閣”だ。世界遺産にもなる貴重な歴史的・文化的建造物もあるが、中には、どう見てもそうは見えないところもある。「珍寺大道場」は、秘宝館チックなものや“バブル暴走系”など、全国のB級でおポンチな“珍寺”を集めたサイトだ(一部、寺でないものもある)。
どういうものがあるか、見出しをいくつか挙げると、「オヤジの執念と妄想がつくりあげた地底の小宇宙!」(群馬県/洞窟観音)、「音と光のハイテク曼茶羅!凄い!」(秋田県/田沢湖大観音)、「インド中国なんでもござれの宝石大好きハイブリッド寺院」(福岡県/成田山久留米分院)など、その数は70件以上にも及ぶ。紹介文では歴史的な背景まできちんと解説されているのが、かえってオカシイ。読みごたえも十分だが、やはり実物を見なければその珍寺さ加減は実感できないだろう。ぜひ、連休中にでも訪れたいものである。
「鉄塔 武蔵野線」という小説・映画がある。少年がある日、送電線の鉄塔に書いてある「81号」という数字を発見し、どこかにあるはずの1号鉄塔に思いをめぐらす。そして夏休み、送電線を辿って1号鉄塔まで冒険の旅に出るというものだ。鉄塔に魅せられるという感覚は、一般的には理解しがたいかもしれないが、考えてみれば、東京タワーやエッフェル塔だって同じような形をしている。送電線の鉄塔にもその要素がないとは言えないのだ。
「みそがいのこれはこれは」というサイトでは、「そこに鉄塔がある」というコーナーで鉄塔の写真を多数掲載している。ゴジラのような形のもの、千手観音のようなもの、古い鉄塔の隣りに作られた新しい鉄塔など、さまざまな形の鉄塔があり、見ているだけでも楽しい。さらに、茨城県のある鉄塔に付いている「猪苗代新幹線711」というプレートの写真もある。「福島は磐梯山の麓、猪苗代湖のあたりから、はるばる電気を届けに来ているわけです。711基の鉄塔を経て」とのこと。もちろん、これだけ多いと1号鉄塔まで辿っていくのは無理かもしれないが、近所にある鉄塔を散歩がてら、ちょっと辿ってみる程度なら楽しいかもしれない。
なお、最初に紹介した映画の公式サイトが「鉄塔調査隊」として公開されている。鉄塔の種類や作り方を解説した「鉄塔に関する基礎知識」や「武蔵野線全鉄塔名鑑」などのコーナーが用意されている。
さて、鉄塔と同様にインダストリアルな建造物でおすすめのものを二つ紹介しよう。“水門”と“ガスタンク”である。こちらも、普段は意識して見ることはないシロモノだが、あらためて注意して見ると、なかなか面白い形をしているのがわかるだろう。「Floodgates」というサイトは、その名の通り、作者が撮影した水門写真を多数掲載しているサイトだ。その数は350点以上で、写真自体もなかなかきれいだ。水門の種類や“樋管”との違いなどを解説したコーナーや、水門に関するコラムなども読むことができる。一方、ガスタンクの写真を集めているのが「ガスタンク2001」。関東を中心に収録されており、「タンクの数」「ツヤ」「寂しさ」という項目で評価している。
廃線歩きのガイドブックや、廃墟をテーマにした写真集が多数出版されるなど、廃れたものへひかれる人が増えているようだ。インターネットでも、廃墟や廃線を愛する人のサイトが多く見かけられる。廃線はまだしも、廃墟を紹介したガイドブックはないと思われるので、これらのサイトは有力な情報になる。
廃墟に関するオンラインマガジン「廃虚ファン」では、「廃墟巡礼」のコーナーで随時レポートを更新している。写真も多く掲載されており、これを見るだけで、廃墟の魅力が伝わってくるはずだ。掲載基準として、有名なものは除外し、比較的新しい廃墟を中心にとり上げているということだ。
一方、鉄道の廃線については「Rail & Bikes」が充実している。東京と埼玉の廃線跡を自転車でツーリングし、豊富な写真を交えながらレポートしている。トンネルや橋梁が残っていて、明らかに鉄道があったことがわかる場所もあるが、ほとんど遺構が残っておらず、たとえ教えられても、かつて鉄道があったとは思えない場所もある。実は、廃墟跡は以外に身近にあるようだ。関西方面の廃線跡については「まにあっく・阪神」の「あばんだんエクスプローラー」というコーナーが詳しい。鉄道関連サイトでももちろん、廃線に関する情報は多く入手できる。
このほか、廃墟の香りがするものとして、今ではほとんど見かけられなくなった国内の鉱山をとり上げた「日本の金属鉱山」や、おなじく油田の写真を掲載した「首長竜の終焉~日本油田'96~」もおすすめだ。
一方、廃墟とまではいかなくとも、都会の中には開発から取り残され、そこだけ時間が止まってしまったような場所がある。「東京真空地帯」では、そのような古い街並みを記録している。
姫路城や大阪城などのお城は、今風とは言えないまでも、れっきとしたメジャー観光地だ。しかし、それとは対照的に、現在はお堀も石垣も天守閣も残っていないような“お城”に興味を持つ人々もいる。
「城跡へ、行け」というサイトは、その名の通り“お城の跡”を訪問し、写真で紹介しているサイトだ。石垣が確認できるものはいいが、お城らしい遺構が全く確認できず、今ではただ土が盛り上がっているだけにしか見えない場所もある。戦国時代以降のお城のイメージしかない人にはどうも信じがたいが、それでも城跡だというのだからインパクト大だ。このほか「有馬一族の城」というサイトでも、全国の城跡について、遺構の状態が掲載されている。
なお、お城一般の情報に関しては「お城めぐりFAN」が充実している。
廃墟・遺跡系が二つ続いたが、ある意味で同じ系統なのが“デパートの屋上”である。かつては、観覧車やお猿の電車などが設置されにぎわっていた“小さな遊園地”も、今ではなかなか見かけられなくなった。それでも、いくつかのデパートでは子供向けの遊戯施設など残されており、子供が楽しめるかどうかは別として、大人にとってはノスタルジックな気分に浸れるいいスポットとなっている。
「親子の東京遊び場マップ」というサイトでは、「屋上遊園地ガイド」というコーナーで、東京にある7つのデパートについて屋上の施設を紹介している。メリーゴーランドがあり、スナックコーナーも充実している西武池袋店は星5つの最高評価。蒲田東急プラザでは、なんと、今でも観覧車が残っているそうである。紹介されているのは6店だけと寂しい限りだが、遊園地はなくなっても、盆栽売場やペットコーナー、釣り堀などのあるデパートも多いので見逃せないスポットになりそうだ。なお、このサイトでは公園や水族館、無料展望室なども紹介している。
自然のスポットからは、“洞窟”をピックアップしたい。見所はたっぷりあるにもかかわらず、やはりその暗いイメージのせいか、閉所に対する恐怖感からか、いまいちメジャーにはなれない観光スポットの一つだ。
日本観光鍾乳洞協会のサイト「洞穴サミット」を見れば、メジャーどころの鍾乳洞はだいたいカバーできるだろう。しかし、日本にはもっと多くの鍾乳洞や洞窟がある。「洞窟探検隊のページ」では「日本全国の洞窟リスト」が掲載されており、観光用に公開されているところはもちろん、一般には入れない鍾乳洞や洞窟についても情報を得ることができる。写真はないが、所在地や連絡先、入場料金、洞窟の延長距離など、かなり詳しいデータが掲載されている。
洞窟探検隊のほかにも、洞窟探検を行なっているクラブのサイトも多く見受けられる。観光鍾乳洞以外も見てみたいという人は連絡してみてはどうだろうか。なお、洞窟についての学術的な情報などは「日本洞窟学会」のサイトを参照するといいだろう。
“戸越銀座”というのは、東京都品川区にある、いわゆる“地元の商店街”である。全長1.6kmにわたり、400軒もの商店が並んでいる。
ところで、銀座の公式サイト「銀座コンシェルジェ」に掲載されている、銀座通連合会事務局長・石丸雄司氏のエッセイ「私の銀座風俗史」によると、昭和42年の時点で全国に銀座と名の付く場所が420ヶ所もあったという。その後も増加し続け、“○○銀座”という名前は、商店街の代名詞にもなった。今でこそ、新しく“○○銀座”と付けるような商店街はなくなっただろうが、それでも膨大な数の“銀座”が日本中に存在している。その元祖が、戸越銀座なのだ。
もちろん、ここでは、戸越銀座に行けと言っているのではない。そんな、銀座と名の付く全国の商店街を見て歩くことを提案したいのだ。こういった庶民的な商店街には、普通わざわざ足を運ぶことはないが、自分の地元とはまた違った“地元の商店街”の雰囲気が楽しめるはずだ。
「商店街」は、全国各地の商店街サイトのリンク集。銀座探しに役立ちそうだ。また、「WNN-Tokyo」にある「東京の商店街」では、戸越銀座をはじめとする商店街の様子を紹介しており、TwinVQでメッセージも用意されている。
('99/4/26)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]