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【集中企画】

単純なゲームが、けっこうハマる!
オンラインソフトで始めるピンボール入門



 ピンボールがどういうものか、知らない人はまずいないだろう。盤上を転がり落ちてくる鉄のボールをフリッパーで打ち返し、ターゲットに当てたり、レーンを通したりすることで得点を稼ぐゲームだ。デザインの違いはあるものの、操作に使うのは、基本的に左右のフリッパーを動かす2つのボタンだけ。極めて単純なゲームだ。
 しかし、誰でも“遊び方”を知っているこのゲーム、楽しんでプレイしている人は少ない。ビデオゲーム全盛の現在では、あまりにも古めかしい機械に見えるせいか、それとも運任せのゲームだと思われているせいもあるかもしれない。
 今回は、そんな“食わず嫌い”の方に、あえてピンボールで楽しんでもらおうという企画。実際に触ってみれば、ピンボールは意外にハマるゲームだということに気付くはすだ。連休が長すぎて困っているという人は、ぜひ、この機会に始めてみよう。

●家でも楽しめるデジタルピンボール

 街のゲームセンターではめっきり少なくなったピンボールだが、PC用の“デジタルピンボール”では未だに根強い人気があり、多くのソフトがリリースされている。今、ピンボールをやるなら、これを利用しない手はない。
 ここではそんな中から、製品のプレイアブルデモやフリーソフトなど、手軽に楽しめるピンボールゲームを紹介する。デモ版はプレイ時間が限定されているものがほとんどだが、それでも製品版と同様のプレイが楽しめる。また、シェアウェアやフリーソフトのタイトルも、製品版ほどの機能はないが、シンプルなゲームだけに息抜きなどには最適だろう。

 ところで、ひと口にデジタルピンボールと言っても、タイトルによって指向性が大きく異なる。大きく分けると、“リアリティ指向型”と“ビデオゲーム型”に分けられる。リアリティ指向型は、バンパーやターゲートの動き、ボールのふるまいなど、現実のピンボールと同じように再現しようとしているものだ。「Pinball Arcade」や「Addiction Pinball」がこれにあたり、ボールの重さまで感じられるくらいリアルにシミュレートされている。一方、ビデオゲーム型は、PCゲームならではの要素を積極的に取り入れている。ボールやターゲットがアニメーションで変化するなど、本物のピンボールでは不可能な楽しい仕掛けが用意されている。代表が「3-D Ultra Pinball」だ。もちろん、これらの要素を両方取り入れたものもある。
 表示方法についても、斜め視点タイプと俯瞰視点タイプに分けられる。斜め視点タイプは、まさに3D表示といった感じの台を斜め前方から見たもの。本物の台の前に立ったときのような視点で臨場感あるプレイが楽しめる。一方、俯瞰視点タイプは、台に対して真上から見おろした視点。平面的にフィールド全体を把握できるのが特徴だ。かつては俯瞰視点タイプと言えば2D表示のものが多かったが、最近は俯瞰視点タイプでも3Dで表示するものが多いようだ。また、俯瞰から斜め視点まで、いくつかの角度から視点を選べるものもある。
 なお、ボールにあわせて画面がスクロールするタイプのものもある。これは、本来縦長のフィールドを横長のディスプレイいっぱいに表示するため。ダイナミック感はあるものの、フィールド全体を把握しにくいのが欠点だ。最近は、高解像度ディスプレイが普及したせいか、わざわざこういった表示を取り入れているタイトルは少なくなったが、Epic MegaGames社のものなど古いタイトルではよく使われているようだ。
 表示方法は、プレイ感覚に直接影響するので、そのゲームの指向性と並び、大きな要素となる。こういったゲームの指向性や表示方法は好みが分かれるところなので、デジタルピンボールを選ぶにあたっては、まずはこのあたりに留意しておきたい。

MIcrosoft「Pinball Arcade」
http://www.microsoft.com/japan/games/pinball/
 ピンボールメーカーの老舗であるGottlieb社が開発した実物の台を再現。フリッパーが登場する以前の台「Baffle Ball」、世界で最初にフリッパーが付いた「Humpty Dumpty」など7つのテーブルが収録されている。実物のシミュレーションであることからもわかるとおり、リアリティ指向型のタイトルで、ボールの重さまでも伝わってくるようだ。デモ版(Window用5MB)では「Haunted House」というテーブルが20万点までプレイできる。

MicroProse「Addiction Pinball」
http://www.microprose.com/gamesdesign/addictionpinball/
 こちらもリアリティ指向型のタイトルで、ボールへの背景の映り込みまで再現。視点は6つの角度が選択できる。デモ版(Windows用10.4MB)では、製品版に収録されている2台のうち、4フリッパーの「Worms」というテーブルが楽しめる。

LittleWing
http://www.littlewing.co.jp/jpn/index.html
 '91年にMacintosh用のピンボールゲーム「Tristan」を発表し、一躍有名になった日本のソフトハウス。以降「Eight Ball Deluxe」「Crystal Caliburn」「Loony Labyrinth」などのデジタルピンボールを発表し、世界的に高い評価を得ている。
 いずれも俯瞰視点タイプで、グラフィック的なリアリティはそれほど強くないものの、ゲームデザインにおけるピンボールらしさを実感できる。
 現在、下記のタイトルのデモ版がダウンロードできる。プレイ時間が90秒限定と短いのが残念。なお「Crystal Caliburn」「Loony Labyrinth」については、表示サイズをコンパクトにした「Desk Top Pinball」シリーズが、オルセンより発売されている。価格は1,200円で、コンビニエンスストアなどでも販売されている。特に「Loony Labyrinth」は、比較的ルールも単純で役を揃えやすいので初心者にもおすすめだ。

・Crystal Caliburn(Windows用2.8MB、Macintosh用2.9MB)
・Loony Labyrinth(Windows用968KB、Macintosh用1.3MB)
・Angel Egg(Windows用6.1MB、Macintosh用10.6MB)
・Golden Logres(Windows用26.1MB、Macintosh用26.7MB)

Sierra「3-D Ultra Pinball」シリーズ
http://www.sierra.com/attractions/3dultra.html
 ビデオゲーム型の代表とも言えるもので、現在「3-D Ultra Pinball」「~2:Creep Night」「~3:The Lost Continent15」「3-D Ultra NASCAR Pinball」の4タイトルがリリースされている。実物のピンボールにはない横長のフィールドが特徴。ボールの挙動など、リアリティという点ではまったくピンボールらしくないが、役を揃えるにしたがって別のフィールドに移動(面をクリアしていく感覚?)したり、ボールがワープするなど、PCゲームならではの仕掛けが散りばめられている。
 以下のタイトルについて、5分間限定のデモ版がダウンロードできる。

・3-D Ultra Pinball 2:Creep Night(Windows版3.25MB、Macintosh用6MB)
・3-D Ultra Pinball 3:The Lost Continent15(Windows版8.87MB)
・3-D Ultra NASCAR Pinball(Windows版14.5MB)

Maxis「Full Tilt! 2」
http://www.maxis.com/games/full_tilt_1&2/index.html
 3つのテーブルを収録した斜め視点タイプのタイトル。「Pinball Arcade」や「Addiction Pinball」に比べると、リアリティではもの足りないが、ビデオゲーム的要素がほどよく混じっており、かえって初心者には楽しめるかもしれない。デモ版(Windows3.1用4MB、Windows 95用10.2MB)では「Mad Scientist」というテーブルがプレイできる。

21st Century Entertainment
http://www.21stcent.com/
 2D表示による俯瞰視点タイプのタイトルを中心に、数多くのデジタルピンボールをリリースしているソフトハウス。自分でピンボールゲームをデザインできる「Pinball Builder」というソフトもリリースしている。
 現在、下記のすべてのタイトルにデモ版が用意されているが、MS-DOS用が多いのが難点。

・Absolute Pinball(MS-DOS/Windows用2.0MB)
・Slam Tilt Pinball(Windows用2.7MB)
・Pinball Builder(Windows用8.5MB)
・Pinball Dreams(MS-DOS用259KB)
・Pinball Fantasies(MS-DOS用648KB)
・Pinball Illusions(MS-DOS用1.0MB)
・Total Pinball 3D(MS-DOS用2.0MB)

Epic MegaGames
http://www.epicgames.com/pinball.htm
http://www.epicgames.com/extreme.htm
 デジタルピンボールでは古くから有名なソフトハウス。代表作となる「Epic Pinball」シリーズは、かつては定番だったタイトル。製品版では13種類のテーブルがリリースされた。完全2D表示の俯瞰視点タイプで、シェアウェア版(MS-DOS用843KB)がダウンロードできる。
 一方「Extreme Pinball」は、「Epic Pinball」よりは新しいものの、やはり完全2D表示の俯瞰視点タイプ。フィールド自体はかなり縦長で、スクロール表示を取り入れている。こちらも、シェアウェア版(MS-DOS用3.1MB)がダウンロード可能。Windows 95/98などのDOSモードでも動作する。
 いずれも、はっきり言って今となっては古くさい。しかし、そこがかえって味があっていいかもしれない。

Pinball Wizards「Balls of Steel」
http://www.pinballwizards.com/bos.html
http://www.gtgames.com/games/ballsofsteel/
 3Dアクションゲーム「Duke Nukem」をモチーフにした台など、5つのテーブルを収録しているシェアウェア。俯瞰視点表示で、フィールド全体が見渡せる固定視点とスクロール視点が選択できる(Windows用14MB)。

Roll'm Up
http://www.dommelsch.nl/flipper/flipper.html

 フリーソフトのピンボールゲームだが、完成度は高く、製品版とも遜色なく楽しめる。俯瞰気味の3D表示タイプで、ボールのふるまいにやや不自然さはあるものの、なかなかリアルに再現している(Windows用3.9MB)。

LYCOSダウンロードライブラリ
http://www.lycos.co.jp/internet/download/win95/game/table/
 ピンボールゲーム2タイトルが掲載されている。いずれもフリーソフトで、シンプルなものだ。「Bin Ball」(Windows用1,552KB)は、宇宙空間をイメージしたフィールドで、ボールの動きも無重力風。ボールがふわふわしているので、ほとんどフリッパーを操作しなくてもプレイできるほどだ。逆に「THE PINBALL 1.1」(Windows用571KB)のボールの動きは速い。マウスの左右ボタンで左右フリッパーを操作できるのも特徴だ。
 このほか、ピンボールではないが、「スマートボールゲーム 1.0」(Windows用1,020KB)も掲載されている。

South Park Pinball
http://www.comedycentral.com/southpark/pinball/
 オゲレツアニメ「South Park」をモチーフにしたShockwaveピンボールゲーム。コンテストも開催しており、優勝すると本物のピンボールマシンがもらえるそうだ。ただし、残念ながら応募できるのは米国人のみとなっている(プレイは可能)。

●一流のピンボーラーになるために

 デジタルピンボールでピンボールの楽しさを味わったら、ぜひ、本物のピンボールもプレイしてみよう。ただし、パソコンソフトとは違って、プレイするにはそれなりにお金もかかる。すぐにゲームオーバーにならないためにも、基礎テクニックくらいは身に付けておきたいものだ。
 例えば、落ちてきたボールをフリッパーで受けとめる“トラップ”や反対のフリッパーにボールを受け渡す“パス”というテクニックは、知っているだろうか? また、ボールをロストしてしまわないように“揺らし”も不可欠だ。ただボールを打ち返すだけで、ピンボールは運任せのゲームだと思っている人が少なくないかもしれないが、こういった技術を身に付けることではじめて、ピンボールの楽しみを実感できるというものだ。インターネットなら、こうしたテクニックを解説したサイトも多いので、ぜひ見ておきたい。もちろん、これらのテクニックは、デジタルピンボールでも通用する。
 ここでは、ピンボールのテクニック解説や、ピンボールの置いてある場所の情報を掲載したサイトなど、ピンボールマニアのサイトをピックアップした。これを見れば、ピンボールが単純なゲームだと思っていた人も、その世界の奥深さがわかるはずだ。

日本ピンボール友の会
http://village.infoweb.ne.jp/~pinball/
 ピンボールの情報を得るために、どのサイトにアクセスすればいいのか教えてくれるページ。「うまくなりたい」「用語について知りたい」「ピンボールの購入やメンテナンスについて」などの目的別に、おすすめのサイトを紹介してくれる。

ピンボール研究所神奈川支部
http://village.infoweb.ne.jp/~fwbc6024/
 この中にある「川崎支部」は、数あるサイトの中でもピンボール関連の情報が最も充実しているサイトだ。テクニック解説から設置場所情報、ビデオゲーム情報に至るまで網羅。特に台別のルールと攻略法解説ではフィールドの図も用意し、一般にはわかりにくいピンボールのルールを詳しく解説している。

Pinball Gallery
http://plaza2.mbn.or.jp/~pinball/
 作者が選んだピンボールについて写真入りで紹介しており、各台についての攻略方法が書かれている。とにかく、実物のピンボールを始めてみたいが、どれをやっていいかわからないという人におすすめ。

Pinball Location
http://www.ask.ne.jp/~takahasi/index.html
 国内のピンボールの設置場所データが収録されており、都道府県(一部データのない県あり)やメーカー、機種から検索できる。近所のピンボール設置店を探したり、プレイしたい台のある場所を探すのに役立つ。

Tokyo Pinball Organization
http://www.vc-net.ne.jp/~tpo/
 ピンボールの普及・発展に取り組む団体のサイト。歴史的なマシンのコレクションも行なっているという。Bally、Gottlieb、Williamsといったピンボールメーカーについての歴史を詳しく紹介している。初心者には、テクニックを詳しく解説した「プレイヤーへの助言」コーナーが特に役に立つだろう。

CWCとピンボールのページ
http://member.nifty.ne.jp/pinball/
 投票による「ピンボール大賞」を実施しており、'95年、'96年、'97年の3回について結果を掲載している。入賞した各台について評価コメントなどを見ることができるので、プレイする台選びの参考にもなる。そのほか、Data East社のピンボールや歴史についての詳しい紹介や、米国で開催された展示会のレポートなどを掲載している。

('99/4/28)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]


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