最近、インターネットを使ったオークションが流行りつつある。オークションといえばプレミア商品をやりとりするなど、少々敷居が高い気がしてしまうが、そんなことはない。インターネットでは、個人が楽しめるオークションサイトがたくさんあるのだ。今回の特集を参考に、ぜひオークションを楽しんでみてほしい。
多くの人にとって、オークションはまだあまり馴染み深くないだろう。官公庁の事業の入札や、魚市場・花卉野菜市場のせり、中古車の業者間の競売などに関わる一部の人を除けば、オークションに参加する機会もほとんどない。スーパーやディスカウントショップでの買い物が主流になっている現在、日常生活で価格交渉をすることも少なくなってきている。
フジテレビ系列で'95年ごろに放映されていた番組「ハンマープライス」で、初めてオークションを知ったという人もいるのではないだろうか。有名人にまつわる商品は、世の中に一点しか存在しないものが多く、ファンにとっては稀少価値が高い。そのため、手間とコストのかかるオークション式販売が成立し、「ハンマープライス」は大いに盛り上がった。
そのためか、オークションといえばプレミア商品だけをやりとりするイメージがあるが、インターネットではそれだけではない。今やパソコン、食品、自動車、航空チケットまでネットオークションで入手できるのである。毎日の食卓に上る「卵」ですらネットオークションに出る時代なのだ。
従来のオークションは、人が集まるか、衛星テレビ・資料の郵送などにより行なわれてきた。それに対し、場の形成・出品物の確認が、ネット上でできるようになったため、コストが限りなくゼロに近づいた。インターネットの普及によって、ハードルのバーは大幅に下がったのである。希少性の弱い品であっても、安く手に入るのであれば、オークションで入手しようと考える利用者がいるのは当然のことだ。
インターネットオークションの面白いところは、なんといってもWeb上のインタラクティビティだ。なるべく安く入手するための、参加者間の駆け引きによる「ハラハラドキドキ」感は、一度ハマってしまうとやみつきになる人も多い。
サイトによっては「絶対欲しい!」など、入札者が一言コメントを入れられるところもある。リアルタイムに入札された価格が表示されたり、最高値が更新されていくのを見ていると、妙に購買欲をそそられてしまうのだ。なお、入札金額が同じだった場合、その金額を入札した時間の早さで決められるところが多い。
この一連のやり取りは、Webやメールの最も得意とするところ。インターネットでは、同時に多くの人が閲覧できるのも嬉しいところだ。
一方で、オークションはお金が絡んでくるので、トラブルには細心の注意を払いたい。主に、注意をしたいのは以下の3点だ。
・各サイトのガイドや規約はきちんと目を通そう
・会員登録の際、電子メールアドレスの入力には注意しよう
・一度入れた入札は取り消せない! 冷静になって考えよう
検索サイトで「オークション」で検索すると、個人・法人問わず、多くのサイトが出てくる。かなりの数があるが、今回は代表的なオークションサイト(主に国内のもの)を紹介する。
■楽天スーパーオークション
http://www.rakuten.co.jp/auction/
参加方法 :WWW上で会員登録が必要(料金無料)。
落札後の決済:代金引換。
株式会社エム・ディー・エムが運営する、日本最大のショッピングモール「楽天市場」で開催しているオークションサイト。楽天市場出店企業による出品しており、パソコン関連のオークションサイトが多い中、地方特産品やファッション関係など生活に身近な品物が出品されているのが特徴。入札数を見ても、数十件の応札は当たり前。100件以上の応札を集めた出品物もいくつかあった。最低入札価格1円のものが多いが、ほとんどの品がリーズナブルな価格で落札されているようだ。
■オリコモール
http://www.oricomall.or.jp/
参加方法 :WWW上で会員登録が必要(料金無料)。
落札後の決済:代金引換、銀行振込、クレジットカード、スーパーキャッシュ。ただし、商品により利用できる決済方法が異なる。
株式会社オリエントコーポレーションが主催するオークションサイト。中古パソコンを中心として、中古やアウトレットのブランド品などもある。オリコモールでは、モールも同時に開いているため、時々加盟店から豚のハムが出品されたりもしている。
■T-ZONEリアルタイムオークション
http://auction.t-zone.co.jp/Auction/
参加方法 :WWW上で会員登録が必要(料金無料)。
落札後の決済:銀行振込、クレジットカード
株式会社亜土電子工業による会員制のオークションサイト。同社で扱うパソコンやゲーム関連商品の掘り出し物が出品されている。オークションは、毎日ではなく、月に数回程度、一週間かけて行なわれる。このサイトでは、同時に1,000人がアクセスでき、リアルタイムで価格が表示されるWWWブラウザーのプラグインを使ったシステムが特徴。ただし、現在のところWindowsのみ。Macintoshの対応は6月末を予定。
■MY-TRADE
http://www.my-trade.com/
入会登録:WWW上で会員登録が必要(料金無料)。
決済手段:売主・買主で合意した手段。高額商品の場合は、サードウェーブが仲介する「取引仲介サービス」などもある。
サードウェーブ(DOS/V パラダイス)のオークションサイト。コンピュータ関連が多いが、車やバイク、同人誌・アニメ関連といったものもある。Webでのオークションではめずらしく、売り主も買い主も個人が参加できる。高額商品などは「取引仲介サービス」も利用できる(手数料やミニマムチャージ別途必要)。なお、会員売買履歴照会など、サービスの一部には有料のものもある。
■DiGiMART AUCTION
http://www.rittor-music.co.jp/digimart/auction/auction.htm
入会登録:あらかじめ会員登録は必要ない。入札時に、氏名や住所などを記入。
決済手段:銀行振込
有名ミュージシャンの放出品があることで知られるオークションサイト。リットーミュージックが運営している。現在は、崎谷健次郎氏のシンセサイザーなどが競売にかかっている。CS番組「Music
Performers' TV」(SkyPerfecTV Ch.271/DirecTV Ch.340、毎週金曜24:30~25:00)と連動している。
■JustNet
http://www.justnet.ne.jp/
入会登録:JustNetの会員もしくは、JustNetコンテンツ会員(無料)。
落札後の決済:銀行振込、代金引替。商品によって異なる。中古車はローンも可能。
ジャストシステムが運営する「JustNet」で、オークションが随時開催されている。PC、ブランド品、中古車、西洋アンティーク品、G-Shockなどがある。
■ニフティサーブ オークション
http://www.nifty.ne.jp/auction/start.htm
入会登録:ニフティサーブの会員であれば、特に手続きは必要ない。
決済手段:売主・買主で合意した手段。
ニフティサーブが運営するオークションサイト。今年の2月に始まったばかりだ。パソコン等だけでなく、チケットやコレクターズアイテム等もある。売主も買主も個人であるところが特徴だ。ニフティの「フォーラム」の掲示板システムを利用しており、出品から入札、落札、到着などすべて同じレイヤーで表示される。取引の透明性は高いが、慣れない人には少々見づらいかもしれない。ニフティサーブの会員のみが参加できるサービスであるため、登録者数は限られるが、ほかと比べてセキュリティは高い。
■オンセール・スーパーサイト
http://www.onsale.co.jp/
入会登録:WWW上で会員登録が必要(料金無料)。
決済手段:クレジットカード。
ソフトバンクが米国ONSALE社と合弁で設立したオンセール株式会社のオークションサイト。現在は法人会員によるパソコン等の取引のみが行なわれている。一般消費者向けのサービスは6月10日より開始予定。当初の扱い予定ジャンルは、パソコンや周辺機器のみだが、米国では50万人の会員登録の実績のあるオークションサービスであり、かなり期待できる注目オークションサイトだ。
■eBay(海外サイト)
http://www.ebay.com/
入会登録:WWW上で会員登録が必要(料金無料)。
決済手段:個人取引が主なので、個人による。IMO(国際送金為替)などが主流。
今、世界で最も注目を集めているオークションサイト。個人同士のやりとりが主流で、オークション形式のフリーマーケットのようなサイトだ。商品の年間総売上高は、10億ドルを上回るという。アンティーク、本、コイン・スタンプ、コンピューター、陶器、おもちゃと幅広い品揃え。海外サイトながら、国内海外から人気を集めており、日本語でユーザーがコミュニケーションできる掲示板なども用意されている。
最近、海外のインターネットニュースでは、オークションサイトの「eBay」の記事をよく見かける。最近では、「ISPの技術者16名」がオークションにかけられ、話題になった。
言葉の問題など、少々敷居が高い海外サイトのオークションだが、実際にはどんなものなのだろうか。eBayで実際にオークションに参加してみることにした。
■eBay
http://www.ebay.com/
eBayのページにアクセスすると、検索フォームと商品のカテゴリーが表示されており、ざっとどんな商品があるのかが分かる。
参加するには、あらかじめ会員登録をしておこう。18歳以下は登録ができない。会員登録の料金は無料だ。登録の際には、住所・年齢・学歴などが聞かれる。会員登録を終えると、その後電子メールが届くが、これだけではまだ登録完了ではない。英語で届くので、勘違いしがちな点だが、このメールへ返信することで、電子メールアドレスの確認をしているのだ。返信し確認されて初めてIDが使えるようになる。登録まではさほど時間はかからない。
なおeBayでは「Personal Shopper」と呼ばれる電子メールでの告知サービスも行なっている。会員登録時に欲しい品物に関するキーワードを登録しておくと、欲しいものが見つかったときにメールで知らせてくれるというものだ。料金は無料。
今回は、日本の切手に関心があったので、検索フォームで「japan stamp」と入れてみたところ、12品が一覧表示された。米国のサイトなのに、日本切手の出品が12品というのは多いのではないだろうか。応札者は0人のものが多かったが、中には4人がのべ9回応札している出品物もあった。カナダの人が出品している、「消印の押された日本切手200種類」で、当初7.5ドルだった価格が、競りあがって20.5ドルになっていた。どんな品かは画像でも表示されていた。この品の締め切りは2日と9時間後。その時点で自動的に落札者が決定する。
そこで、さっそく応札に参加してみることにした。先ほどの20.5ドルの品だが、まだ20.5ドルのまま値は変わっていない。この商品は0.5ドル単位の刻みでないと応札できないようなので、私は21ドルで入れてみた。しかし残念ながらまだ高い値段で応札している人がいたようだ。私の提示した21ドルが最高値ではないと表示されている。画面に表示されていた額は決して、現時点での最高値ではないようだ。
最高値が隠されていることに気づくと、逆にどうしても最高値を入れたくなってしまった。22、23、24…と次々と値を上げて応札していく。よく映画などで、ライバル同士が相手を気にして、応札価格を張り合っていくシーンが出るが、それに非常に近いものを感じる。なかなか楽しい駆け引きが体感できる。
24ドルでとりあえず最高値は届いたが、3日後に見に行くと、25.5ドルにまで上がっていた。筆者よりもっと燃えた人がいたようで、結局この品を入手できなかった。
実は、英語のサイトをまじめに読むのは、初めてに近い。大学受験時には勉強したが、以後十数年間、仕事でも使っていない程度のレベルである。そんなわけで、英語の問題は少々心配だったが、出品物の詳細は単語を拾うレベルで十分と思った。しかし、もし落札した場合、その後の交渉(国内への郵送)は個人でのやりとりになるので、それなりの英語力が必要かもしれない。なお、eBayの登録手続きなどを日本語で解説しているページもある。完全に日本語化されているわけではないが、非常に参考になる。
また、海外サイトながら、日本語でコミュニケーションできる掲示板も用意されている。怖がらずにオークションを楽しんでみよう!
今回色々なオークションサイトを見てまわった中で、一番面白かったのは、楽天スーパーオークションだ。出品物のバラエティ、最低価格1円という点、落札価格に向けての応札者間の駆け引きなど、どれをとってもやみつきになりそうだ。私をこんな熱狂者にしてくれた、運営者である株式会社エム・ディー・エムの三木谷浩社長にお話を伺った。
編集部(以下編):まず楽天スーパーオークションについて教えてください。
編:マグロまでオークションされるとは…(笑)。でも、なるほど。ユニークな出品物が多い理由がわかりました。落札などの管理は楽天市場側がしているのですか?
編:従来の高価格なものが中心のオークションとインターネットオークションを比べると、かなり変わった印象があります。インターネットで一般的な商品のやり取りが増えてきているのは、従来のオークションと比べて、コストが下がっているからでしょうか?
編:ところで、楽天スーパーオークションは、1円オークションを標榜していますが、
さすがに1円では落札できないですよね?
編:ここだけの話、どうしても落札したいものがあったとき、落札するポイントがあ
れば教えてください。また、なるべく安く入手するコツはありますか?
編:やっぱり安くいいものを落とすには手間をかけるしかないということでしょう
か。ところで、オークションに参加するユーザーが気をつけることやマナーなど
はありますか?
編:最後に、三木谷さんは、ネットで何か落札されたことはありますか?
編:ありがとうございました。
('99/5/24)
[Reported by 編集部 / Watchers]