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【イベントレポート】

「ケーブルテレビ'99」レポート
インターネットインフラとして強くアピール

■URL
http://www.catv.or.jp/NEWS/catv991.html

 ケーブルテレビ(CATV)の総合展示会「ケーブルテレビ'99」が9日、東京・池袋サンシャインシティで開幕した。通信インフラとしても各地でサービスが提供されるようになったことなどを反映して、今年の展示会はインターネット色の濃いものとなった。
 展示会は11日まで開催され、あわせてシンポジウムなども行なわれる。


●ケーブルモデムはDOCSIS準拠へ

MODECAT CM5500T
NECのMODECAT CM5500T
DCT-5000+
GIのDCT-5000+
 ケーブルモデムの業界標準仕様「DOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specifications)1.0」が策定されたことで、多くのブースでこれに準拠したケーブルモデムを出展していた。DOCSISは、米国のCATV標準化団体であるMCNS(Multimedia Cable Network System)が策定したもの。

 NECはケーブルモデムシステム「MODECAT CM5500」を出展した。流合雑音対策も施されており、上り用周波数帯の品質が劣化すると、自動的に雑音の少ない帯域に周波数を移動させる「周波数アジャイル」機能を搭載している。さらに、参考出展された10月出荷予定のケーブルモデム「MODECAT CM5510TV」では「DOCSIS1.1」に準拠し、VoIPに対応。IP電話サービスを利用できるようになっている。

 単体のケーブルモデムではないが、ゼネラル・インスツルメント・ジャパンのブースで展示されていた「DCT-5000+」もDOCSIS準拠製品の一つだ。双方向通信を想定した次世代型デジタルセットトップボックスで、DOCSIS準拠のケーブルモデムと標準で14.3MBのメモリーを内蔵するほか、オプションで1.08GBのハードディスクを搭載できる。HTMLやJavaScriptもサポートしているという。ただし、国内での販売は未定だ。

 このほか、東芝、富士通、ノーテルネットワークス、Com21、3comなどのDOCSIS準拠ケーブルモデムが出展されていた。この世代の製品では、ユーザーごとに帯域幅を設定できるQoS(Quality of Service)、データ暗号化、センター局からのリモート管理などをサポートするなど、機能アップが図られている製品が多くなっている。


●集合住宅でもCATVインターネットを利用可能に

ColumbusEgg
関電工のコロンブスエッグ新モデル
WirelessCable
愛知電子の基地局コンバータとアンテナ
 集合住宅では、各世帯から出る流合雑音を防ぐため、CATV回線が双方向通信に対応していないところも少なくない。その場合、あらかじめ敷設されている回線を双方向通信対応にするには大がかりな工事が必要となるため、こういった集合住宅では事実上、CATVインターネットが使えなかった。今回の展示では、この問題を解決するシステムも多く出展された。

 関電工の「コロンブスエッグ」は、上り通信の帯域を変換することで、流合雑音問題を解消するシステム。雑音を受けやすい上り通信の帯域を、雑音の影響が少ない下り用の空き帯域に変換するアップコンバーターを各世帯に設置する一方、建物内回線の出口には、これを元の帯域に戻すダウンコンバーターを設置する。昨年10月に発売され、すでに20カ所以上で導入されたという。発売されているケーブルモデム全機種に対応し、導入工事も最小限で済むのがメリットだ。同社のブースには、現行モデルのほか、夏以降発売予定の新モデルも展示されていた。アップコンバーターが小型化されたほか、対応する帯域も拡大されている。同様のしくみは、NECの「INTRAPASS」でも採用している。

 古河電工では、上り通信に電話回線を利用するテレコリターン方式によるシステムを展示していた。電話料金が発生するのが弱点だが、建物内の回線設備には一切工事を施す必要がないというメリットがある。また、集合住宅に限らず、そのエリアのCATV回線全体が双方向に対応していない場合にも利用できるのが強みだ。現在、東京や名古屋など3カ所のCATV局で導入されているという。

 愛知電子では、無線方式によるシステムを参考出展した。電柱などに基地局とアンテナを設置しCATV網と接続する一方、各世帯には受信アンテナを設置しケーブルモデムと接続。データ通信部分をワイヤレスで行なうというものだ。建物内のCATV回線を利用しないため、既存回線への工事は不要となる。利用できる距離は400メートル以内で、現在10Mbps程度まで問題なく通信できているという。年内には製品化したいとしている。同社ではまた、建物内のアンテナ回線を利用してLANを構築できる「Digital Way」システムも出展した。工事は、分配器や直列ユニット(室内の同軸コンセント)などを交換するだけだが、直列ユニットはすべて交換しなければならないため、集合住宅向けというよりは、企業やホテルなどでの利用が考えられるシステムだ。


('99/6/10)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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