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【規格 / 電子商取引】

IBM、Microsoftなどがオンラインショッピングの規格「ECML」で合意

■URL
http://www.ecml.org/finalpressrelease.html

 AOL、IBM、Microsoft、Sun、MasterCard、Visaなど業界を代表する12社は14日、オンラインショッピングの手間を減らすための統一規格で合意に達し、同日規格仕様を公開した。Dell Computerなど、eCommerce事業を展開する数社は、この企画を自社のオンライン店舗に採用することを表明している。

 この規格はElectronic Commerce Modeling Language(ECML)と呼ばれ、利用者の住所、クレジットカード番号など、支払いや製品の宛先などオンラインショッピングにおよそ必要と思われる幾つかの項目の記入方法を定めたもの。

 現在はオンラインで買い物をすると、特にその店で始めて買い物をする場合には住所、氏名、クレジットカード番号など多数の項目を入力しなければならず、その時間は時に数分に及ぶこともある。この面倒臭さがオンラインビジネスの売り上げを落としている一つの原因であるとも言われてきた。

 しかしこのECMLに対応した電子財布、すなわち住所や氏名などを登録しておく手元のソフトウェアにオフラインの状態であらかじめ必要事項を入力しておけば、オンラインで買い物をするときにはクリック一つで済ませることができ、今までよりも買い物の手間が簡単になると言うメリットがある。当然ながら、そのときオンライン店舗の側ではECMLに対応していなければならないが、その手間は仕様によると、あらかじめCGIやASPのスクリプトのうちフォーム記入欄の項目の名前をECMLのそれに書き換えておく程度の簡単なもので済みそうだ。またセキュリティー面でも既存のSSLやSETプロトコルに対応しているために安心して使うことができる。

 今日発表されたECML Version1では、利用者が記入する項目は必要最小限の物となっているが、将来は店舗側が提供するさまざまなサービスに対応できるように項目の数を拡大していく予定だ。また、利用者が情報を一方的に渡すだけでなく、店舗側が利用者に対して領収書を発行したり、品物の出荷状況を追跡したりと、サービスを拡大することも検討されている。また、現在はフォームへの記入にしか対応していないECMLをXMLのスキーマとして実装する計画や、手元のデータを保存しておく電子財布をどのタイミングで起動するかという問題、プライバシー保護規格P3P、スマートカードなどへの対応など、様々な計画が予定されている。

 今のところ、ECMLの開発は業界団体という形で進められているが、将来的にはこの規格を管理する責任と権限を標準化団体に渡したい意向だ。

 まだ公開されたばかりの規格だが、ライバル関係にあるMicrosoftとSunが協力するなど、業界が一致協力している規格だけに、速いペースで普及することが期待できそうだ。

('99/6/15)

[Reported by taiga@scientist.com / ちびあゆ]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp