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【イベントレポート】

JavaOne'99レポート:Sun Microsystems CEOスコット・マクネリー基調講演

スコット・マクネリー

 1999年6月17日、3日目となったJavaOne'99には、いよいよ米国Sun Microsystems社のCEOであるスコット・マクネリー氏が登場した。このプレゼンテーションはMicrosoft社を皮肉ったビデオで始まった。海に潜っているダイバーの装置(これはWindowsで動いているようだが)が故障し、ダイバーはその問題を解決するためにWindowsのマニュアルを開くものの、解決できずに溺れるという内容。最後には「ミッションクリティカルなアプリケーションでいったい誰を信じるか?」という意味の文章で終わるというものだ。

●Java開発者への3つのアドバイス

 最初にマクネリー氏はJavaのディベロッパーにつぎの3つのアドバイスをした。

  1. すべてのデジタル機器にJavaバーチャルマシン(JVM)を組み込もう。
  2. 開発ツールには100パーセント「ピュア」なJavaコードを生成するものを選ぼう。
  3. いまあるシステムをJavaとブラウザーベースのアプリケーション環境に書き直そう。

 すでにJavaでの開発を手がけることで、ポータビリティ、開発効率、スケーラビリティが良いということが開発者の間で理解されていると付け加えた。


●ここ十数年のコンピューター業界図

コンピューター業界図

 つぎにマクネリー氏が自ら、OHPにサインペンで三角形の図を書きながら、これまでのコンピューター業界の経済構造をモデル化した。三角形の3つの頂点はそれぞれ「プロダクト製造業」、「システムインテグレーター(SI)/サービスプロバイダー(SP)」、「ブローカー(小売)」であり、Sun、デル、コンパック、IBMの各社がこれまでの業界変革の過程でこの図式の中のどこに位置していたのか、そして現在はどこに位置しているのかが示された。構造の変化はこの三角形の辺に沿ってストラテジーを変えることだという説明だ。

 なかでもIBMは10数年前まではプロダクトを製造していた会社だったが、Microsoft社のDOSをOEMしたときから悩みながらSI/SPに移行したと分析した。そして、今日のMicrosoft社はJavaをOEMしたことにより、10数年前のIBMと同じ悩みを抱えることになるだろうという。

●コンテンツはサービスとなる

 マクネリー氏はこの三角形に補助線を引き、3次元のピラミッドに見せかけ、第4の頂点を「コンテンツ」と位置付けた。今後ネットワーク化が進むことで「コンテンツはサービス化する」と指摘する。たとえば、ウェブでメールを送受信できる「HotMail」などのウェブメールはメールソフトを提供しているのではなく、メールアドレスとメールの送受信というサービスを提供しているし、「When.com」などのカレンダーサイトも同様、さらに「e-Bay」のようなオークションサイトはいうまでもないということだ。特定の機能をもったものを必要に応じてインストールさせることが今後も繰り返されるのではなく、サービスとして利用者に提供し、利用者はプログラム、すなわちJavaなどの存在を一切意識しなくてよい、これが新しいネットワークでの経済構造になるという。

●JavaとJiniのデモンストレーション

 最後にマクネリー氏はSunの従業員がリモートアクセス環境で使っているsun.netとJiniのデモンストレーションをした。

 sun.netはJavaカードやJavaリングを使いたいコンピューターに入れることで個人を認証し、そのマシンの環境がその人用のものになるというものだ。これがあればもうノート型パソコンを持ち歩くことなく、ネットワークにつながるどんなコンピューターでも自分の環境に変わるというわけだ。いずれはホテルのテレビにつながっているセットトップボックスでも同じことができるようになるという。

 そして、Jiniのデモンストレーションはカメラ、ハードディスク、プリンターにイーサネットケーブルのRJ-45コネクタを差し込むだけで、そのデバイスが持っているデバイスドライバーをクライアントのコンピューターに送り込み、すぐに使えるようになるというものだ。

 どちらのデモンストレーションもすでに何度か披露されているものだが、こうした環境を追及していくことがSunのビジョンだというコンセプトモデルでもある。

('99/6/18)

[Reported by IPG Network, Inc.]


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