INTERNET Watch Title Click

【特集】

有料サイトの気になる中身

 “コンテンツはタダ”的な考えが定着しつつあるインターネットでは、わざわざお金を出してまで、有料サイトの中身を見ようとは思わないかもしれない。しかし、実際に見てみなければ、お金を払う価値があるかどうかはわからないだろう。
 そこで今回は、国内の有料サイトをいくつかピックアップし、実際に中身を覗いてみた。

 なお、各コンテンツの課金システムについては、最後にまとめておいた。また、今回紹介するサイトには、18歳未満には閲覧できないコーナーもあることを最初にお断わりしておく。

●オンラインマガジン「Internet FRIDAY」の中身


 まず最初は、紙の雑誌のインターネット版として公開されている「Internet FRIDAY」を見てみよう。

 「Internet FRIDAY」は、その名の通り、講談社の写真週刊誌「FRIDAY」のインターネット版。毎週金曜日に発売される雑誌版の記事を、翌週の水曜日にWeb上で公開している。インターネット版では、雑誌に掲載された約20本の記事のうち、一部を除いた、通常15本前後(10本以下の場合もある)の記事について全文を見ることができる。'97年の8月1日号からのバックナンバーも閲覧可能だ。
 雑誌版から5日遅れの公開になるということで、インターネット版では、雑誌版には掲載していない写真を見られるようにすることで差別化を図っているという。講談社マルチメディア事業局デジタル事業統括部の吉井氏によると「本誌(雑誌版)の場合、見開きに写真1点だけの記事などでは、ベストショットだけしか掲載できない」。これに対し「アイドルの写真なら、ファンはもっといろいろな表情が見たいはず。スポーツでも前後の流れが見られたほうがうれしい」ということで、インターネット版では、より多くの写真を見られるようにしたいという。
 では、雑誌版とインターネット版ではどれくらい内容が違うのだろうか? 本記事執筆時点の最新号にあたる7月2日号(雑誌版は6月18日発売)について、両者を比較してみた。
 同号のトップ記事は「オウム犯罪のキーマン石川公一(元法皇官房トップ)を逮捕しろ!」。雑誌版は、3ページに3点の写真と1ページのテキストを掲載している。これに対しインターネット版では、テキスト部分はまったく同じで、掲載している写真も同じ3点。まあ、アイドルではないので、誰も「いろいろな表情」は見たくないだろうが、レイアウトの関係からか、むしろインターネット版のほうが、映っている範囲が小さくなっていた。
 次の記事の「『ミスチル』桜井和寿&“不倫恋人”吉野美佳の『失楽園』」でも、掲載写真はまったく同じ。記事を順番に追っていき、やっと発見した雑誌未掲載写真は「キミは噂の『スーパー店員』を知ってるか!」という記事。これは、東京・渋谷のファッションビルで働く3人の“渋谷系のカリスマ”店員を紹介する記事で、雑誌版では1人につき1点で計3点の写真が掲載されている。これが、インターネット版では1人につき2点。確かに「いろいろな表情」が見られるようになっていた。
 ざっと見たところ、雑誌未掲載の写真があったのは「“ポストひなの”人気モデル田中美保が女優挑戦」など6本の記事。アイドルというよりは、芸能人ではない人や風俗関係の記事がほとんどだ。また、スポーツ関連の記事については、同号のインターネット版では1本も掲載されていたかった(「14年ぶりVへ!『猛虎戦士』が焼き肉屋で総決起」という記事があったが、もちろん、阪神の選手が焼き肉を食べるシーンの連続写真があるわけではない)。
 全体の記事数を比べると、雑誌版が20本(モノクロページ)なのに対し、インターネット版が13本。「宇多田ヒカルがハグしたカレは『あの有名人の息子』」など芸能人関係、スポーツ関係の記事がカットされてるのが残念だ。これは、雑誌の性質上、肖像権の問題など諸般の事情があるためだとしている。また、雑誌版ではカラーのグラビアページがあるが、これは写真集などのパブリシティ用の写真などを使っているため、インターネット版では掲載できないということだ。
 さて、雑誌の「FRIDAY」は250円(7月2日号)。これに対し「Internet FRIDAY」は200円で1日間の閲覧が可能で、同じように雑誌感覚で購読できる。記事数が少ないのを考えれば、50円安いとしても不満は残るが、約2年分のバックナンバーを見られるのは大きい。ただし、芸能人関係の記事が目当ての人は、バックナンバーはあまり期待できないかもしれない。逆に、一般人や風俗関係はインターネット版のほうが充実しているかもしれない。「Internet FRIDAY」を購読するかどうかは、このあたりがポイントになるだろう。

 無料サイトとしてインターネット版を提供している紙媒体は多いが、「Internet FRIDAY」のような有料サイトはあまり見かけない。競馬雑誌の「Gallop」や「つり情報」などが有料コンテンツを提供しているが、「つり情報」では一部のコーナー(「船宿・釣況情報」)だけの課金で、どちらかというと、データの提供サービスという感じがする。
 「Internet FRIDAY」も「プロモーションはほとんど行なっていない」というように、有料のオンラインマガジンは、メジャーな位置づけになっているとは言えさなそうだ。ただ、講談社は「Web現代」というオンラインマガジンを本格的に開設しており、今後が期待できるだろう。「Web現代」からは「Internet FRIDAY」にもリンクが張られているが、「Web現代」の公開後、アクセス数が急激に伸びているという。

Internet FRIDAY
http://conpara.topica.ne.jp/kodansha/friday/
料金:24時間200円(NET-U)、24時間200クレジット/30日間1,000クレジット(BitCash)、1日200円/月額1,000円(BIGLOBE)、月額1,000円(NIFTY SERVE)
課金システム:NET-U、BitCash、BIGLOBE、NIFTY SERVE

Gallop Online
http://www.keiba.net/gallop/index.htm
料金:月額700円
課金システム:BIGLOBE、NIFTY SERVE、Pmallなど

つり情報
http://conpara.topica.ne.jp/tsuri-joho/fishing-guide/
料金:24時間100円(NET-U)、24時間100クレジット(BitCash)
課金システム:NET-U、BitCash

Web現代
http://kodansha.cplaza.ne.jp/
無料公開中

●オンラインマガジン「危ないオンライン」の中身


 次に、インターネット独自のオンラインマガジンとして、So-netの提供する有料サイト「危ないオンライン」を見てみる。

 「危ないオンライン」には、現在10本以上の連載が掲載されており、更新は毎月2回。中でも人気なのは、毎回決まったテーマで“危ない”人々などを取材・紹介している「今週のレッドゾーン」という特集コーナーだ。バックナンバーから過去の記事の見出しをピックアップすると、「THE 縛師」「レズビアン社長」「風俗資料館できみもSM博士」といった具合。このほか、女王様・麗香の「今週の奴隷」や、ナンパ師ハンターKによる「完全ハーレム計画」といった連載が人気だという。男性同士の恋愛を綴ったコラムや、ちょっと誌面では紹介できないような“恥ずかしい話”専門のコーナーもある。
 「危ないオンライン」はこのように、普通の嗜好を持った人にとってはノーマルではない、すなわち“危ない”と思われるような世界を紹介しているサイトだ。例えば、SM、ドラッグ、同性愛、風俗、コスプレの世界などである。So-netの有料コンテンツと言えば、「ポストペットパーク」や各種占いサービスなどが思いつくが、そのイメージとはかなり異質なサイトである。
 プロデューサーを務めるソニーコミュニケーションネットワークの坂口氏によると「清廉潔白なものばかりでは、かえって不健全」ということで、「スポーツ新聞のようないかがわしさ」を狙ったサイトを開設したのだという。
 しかし、いくらでも“危ない”情報が溢れているインターネットで、あえて有料でコンテンツを提供するには差別化が必要だ。「危ないオンライン」では、“危ない”とは言っても、違法な情報を提供しているわけではないのが、ネット上に無数にあるであろう“本当に危ない”個人サイトなどと異なる点だ。ある性的な嗜好が“危ない”ものだとしても、それは必ずしも違法というわけではないし、合法的なAVや風俗も存在する。このサイトは、そんな「アングラ的な好奇心に応えるだめのもの」で、合法的な範囲で“危ない”世界に触れられるのが特徴だ。
 また、「風俗やAVなども扱っているが、単なる紹介ではなく、裏話や体験談など読みごたえのある記事を提供している」という。確かに、コスプレ風俗店で働くコスプレ少女のインタビュー(全2回)や、AV男優/監督の市原克也氏による業界コラム(現在連載33回)など、思わず読み込んでしまう記事も多かった。
 残念なのは、とり上げているテーマがまだ限られているということ。世の中には、合法的で“危ない”ことは、まだまだたくさんあるはずである。今後は、よりバラエティに富んだ“危なさ”を紹介して欲しいと思う。
 ところで、オンラインマガジンという形態なので、内容のわりには女性にも購読しやすいと思ったのだが、現在、女性の購読者は10%しかいないそうだ。

 このほか、Web独自のオンラインマガジンとしては、BIGLOBEの「Korea online」が面白い。毎週木曜日更新で、韓国の映画やミュージックシーン、テレビ、芸能界、ゲームなどのエンターテイメント情報を掲載している。映画の記事などでは、RealVideoによるムービーも用意されている。「韓国の伝統的セクシービデオ」を特集した企画も、単なるお色気企画ではなく、性文化の違いが感じられるようで興味深い。

危ないオンライン
http://www.so-net.ne.jp/abunai/
料金:月額500円
課金システム:So-net

Korea online
http://kol.zio.net/biglobe1/
料金:月額500円
課金システム:BIGLOBE

●オンラインギャラリー「インターネット篠山紀信」の中身


 最後は、インターネットで写真作品を鑑賞できるオンラインギャラリー。今回は、小学館とBIGLOBEが提供している「インターネット篠山紀信」を見てみよう。

 「インターネット篠山紀信」は、写真家・篠山紀信の作品を展示した“ミュージアム”という位置づけ。月1回の更新により、作品は拡充されていく。小学館によると、現在、約5,800人のレギュラー会員がいるということで、国内の有料オンラインギャラリーとしてはかなり人気の高いサイトと言えそうだ。
 さて、篠山紀信と言えば、「激写」シリーズである。もちろん「インターネット篠山紀信」では、その膨大な作品を見ることができる。「Gekisha」コーナーで、女優50人の3,000カットにおよぶ写真が公開されており、川上麻衣子、名取裕子、松本小雪など、30代以上の男性には懐かしい名前と見覚えのある写真が多数見つけられる。面白いのは、収録されている写真に対して、「Gekisha Search System」なる機能で、撮影年齢と撮影場所、そしてバストサイズの3項目を指定した検索が可能なこと。試しに、撮影年齢「20歳」、撮影場所「海の近く」、バストサイズ「80~85cm」で検索したところ、「高樹沙耶 8点」など計4人/52点の写真がヒットした。クリックすることで、それらの写真だけを見ていくことができる。今回は確認できなかったが、バストサイズ指定などという項目があるからには、成長にともなう変化にも追従しているに違いない。読み込むのにやや時間がかかるが、使い出すとハマってしまう機能だ。
 なお、現在「Gekisha」コーナーで見られるのは、「激写」シリーズの中でもヌード作品だけだ。同シリーズには、ヌードにならなかったアイドルなども登場しているが、これについてはアイドルシリーズとして別に公開する計画があるというので、期待して待ちたい。
 とはいえ、現時点でも、篠山紀信が撮影したアイドルたちの写真を見ることが可能だ。「List」コーナーにある「表紙館」というものだ。「週刊朝日」については'78年4月7日号(表紙は竹下景子)から'79年12月28日号(倉田まり子)までの68号分、「GORO」については「創刊1周年」の文字も見られる'75年5月22日号(山口百恵)から最終号となった'92年1月2日号(宮沢りえ)までの、なんと399号分の表紙がそのまま掲載されているのだ。ここを見るだけで、同時代のアイドルは網羅できるのではないだろうか。同コーナーには、篠山紀信の全写真集のリスト(表紙写真あり)もある。
 このほか、もう一つのメインコンテンツとして「Silkroad」コーナーがある。イタリアから、韓国に至るシルクロードの風景や人々を写した膨大な数の写真を、地図や国別で検索して見ることができる。このコーナーは、ほぼ完結しているという。
 「インターネット篠山紀信」には、1日間の閲覧可能な「ワンデイメンバー」と、1カ月単位の「レギュラーメンバー」がある。これだけの作品を見るには、レギュラーメンバーとなってじっくり見たいものだ。レギュラーメンバーのみが楽しめるShockwaveコンテンツも用意されている。
 メンバーの98%が「30代以上の男性」ということだが、裏返せば、それに属する人にとってはたまらないサイトということだろう。

 写真家のギャラリー系の有料サイトは、「インターネット篠山紀信」のほかにも、各プロバイダーなどでいくつか提供されている。
 同じくBIGLOBEの「TWO-素肌のメッセージ」は、カメラマン渡辺達生による毎週更新のオンライン写真集。広末涼子、葉月里緒菜など、バックナンバーには100名以上のアイドルタレントの写真が用意されている。
 一方、NIFTY SERVEの「写真家・山岸伸の世界」は、「ミニスカポリス」の久留須ゆみなどセクシー系が中心。写真集からの先行収録や撮りおろしショット、RealVideoによる動画などが見られるようになっている。

インターネット篠山紀信
http://www.shogakukan.co.jp/shinoyama/index.html
料金:1日500円(ワンデイメンバー)、月額1,500円(レギュラーメンバー)
課金システム:BIGLOBE

TWO-素肌のメッセージ
http://two.cplaza.ne.jp/
料金:月額500円
課金システム:BIGLOBE

hybird webzine 'sin' 写真家・山岸伸の世界
http://www.nifty.ne.jp/sin/
料金:月額500円
課金システム:NIFTY SERVE

●課金システムについて


 今回紹介した有料サイトで導入されている主な課金方法については、下記サイトを参考のこと。
 なお、BIGLOBE、So-net、NIFTY SERVEの課金システムについては、他プロバイダーの会員であっても利用できるコースが用意されている。BIGLOBEの「るんるんコース」、So-netの「情報会員」は入会金/基本料金が無料。NIFTY SERVEの「オープンコース」は月額料金が1,200円必要だが、それぞれ入会することで各プロバイダーで提供している有料コンテンツが利用できるようになる(有料コンテンツについては別途料金が発生)。

BitCash
http://www.BitCash.co.jp/

NET-U
http://www.u-card.co.jp/net-u/

BIGLOBE
http://www.biglobe.ne.jp/signup/

So-net
http://www.so-net.ne.jp/regi/

NIFTY SERVE
http://www.nifty.ne.jp/join/

Pmall
http://www.pmall.ne.jp/tool/help/superchk.htm

('99/6/28)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp