INTERNET Watch Title Click

【業界動向】

ナスダック・ジャパン、株式公開基準を発表
第1回総会には2,300人を超える来場者

■URL
http://www.softbank.co.jp/nasdaq-japan/
http://www.nasdaq-japan.com/
http://webevents.broadcast.com/softbank/indexj.html (本年6月の発表)

左から樋口氏、Zarb氏、孫氏

 第1回ナスダック・ジャパン・クラブ総会が12日、開催された。

 全米証券業協会(NASD)とソフトバンクは共同で、来年暮れ頃を目処に新しい株式取引市場「ナスダック・ジャパン」創設に向けて準備をすすめている。インターネットなど最新のIT技術を駆使して、取引所と証券会社を直接ネットワークで結び,日本語による情報開示や円貨ベースでの株価表示・取引等を行なう市場を目論む。

 ナスダック・ジャパン・クラブは、将来株式公開を目指すベンチャー企業や企業家をバックアップする会員組織で、現在3,137社、3,669人の会員を誇る。年4回の勉強会、交流会を実施することになっており、その初回となる今回の総会は、予想を大きく上回る2,300人を越す来場者となった。

 会見した孫正義ナスダック・ジャパン・プランニング社長は「準備は当初計画より早く着実に進んでいる」とし、すでに取引市場に係るコンピュータシステムの基本設計にも着手しているという。また、今回の総会のために来日したFrank G. Zarb NASD会長兼最高経営責任者(CEO)は「内外の投資家や企業に、高水準でクオリティーの高い、公正、健全な取引を低コストで提供していくことで資本の活性化を促し、企業の雇用増など経済成長につなげていきたい」と語った。今後は、米国や日本・アジアのみならず、最終的に欧州ともリンクさせ相互の経済活性化を図っていく意向だという。

 また、ナスダック・ジャパンの早期立ち上げに向けて、各関係機関への働きかけや各方面での調整を支援するため、樋口廣太郎アサヒビール名誉会長・経済再生会議議長がナスダック・ジャパンの代表世話人となったことが今回発表された。世話人にはこのほか、飯田亮セコム取締役最高顧問や出井伸之ソニー代表取締役社長など計7名が決定されている。さらに、市場創設に関してのアドバイスをするナスダック・ジャパン発起人21人名も発表された。発起人は、熊谷正寿インターキュー代表取締役社長や重田康光光通信代表取締役社長など。


 一方、ナスダック・ジャパンの株式公開基準の第1次案が発表された。市場をスタンダード(米国NASDAQでいえばNashonal Market System、一般のNASDAQ銘柄のうち一定の基準を満たしている企業、日本的にいえば1部市場)とベンチャー(同Small Cap)に分け、スタンダードのなかでさらに3つの基準に分けている。

 公開基準は、一般企業向けスタンダードAが、純資産6億円、税前利益1億円、浮動株(役員および10%以上の株式を保有する株主以外が保有する株式、5万円額面以外は単位株式を乗じた株数)1,100株、最低公開株数500単位、浮動株時価総額8億円、株主数400人とし、時価総額、総資産、総収入、設立経過年数は問わない。資産性企業向けスタンダードBは、純資産18億円、浮動株1,100株、最低公開株数500単位、設立経過年数2年、浮動株時価総額18億円、株主数400人とし、時価総額、総資産、総収入、税前利益は問わない。規模の比較的大きい企業向けのスタンダードCは、時価総額が75億円または総資産・総収入が75億円、浮動株1,100株、最低公開株数500単位、浮動株時価総額20億円、株主数400人とし、純資産、税前利益、設立経過年数は問わない。また、ベンチャーでは、純資産4億円、時価総額50億円、税前利益7,500万円のいずれかひとつを満たしたほか、浮動株1,000株、最低公開株数500単位、設立経過年数1年(満たなければ時価総額50億円)、浮動株時価総額5億円、株主数300人となっている。

 ナスダック・ジャパン・クラブでは来月から毎週1回、ベンチャー企業振興策の一環として、ベンチャー企業家に対して新規事業計画発表会を開催していく予定。これは、ベンチャー企業や企業家のビジネスプランに対し、ベンチャーキャピタリストや監査法人、コンサルティング会社等が意見交換を行ない、パートナーを見つけ出すことが目的だという。


 このナスダック・ジャパンの動きに呼応するかのように、東京証券取引所は10月29日と11月1日に新興企業市場「Mothers(Market of the high-growth and emerging stocks)」の説明会を開催する予定。Mothersは、上場審査を1ヶ月に短縮したり、四半期決算を開示させるなどの制度をとり、本年11月を目処に創設するかまえ。日本証券業協会も、インターネットを通じたディスクロージャーや気配値公表頻度の増加など、未公開株取引市場「グリーンシート」の強化を図っていく構えで、一段と取引市場間競争が激しくなっている。

■関連記事
/www/article/1999/0615/nasdaqj.htm

('99/10/12)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp