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【業界動向】

オンラインブローカー、収入が大幅増でも赤字体質続く

■URL
http://www.etrade.com/
http://www.dljdirect.com/

 米国オンライントレード第2位のE*TRADE Groupは13日、第4四半期(7-9月期)決算を発表した。

 総収入は、1億7,318万ドルと前年同期に比べて84%の大幅な伸び。しかし、販売活動やマーケティング費用が7,744万3,000ドル(総収入比率は45%)と同56%も増加したことなどが響き、純利益は2,672万ドルの損失。前年同期の1,515万ドルの損失から76%も赤字が拡大してしまった。1株あたり利益(EPS)も11セントの損失と、前年同期の8セントの損失から拡大したものの、市場予想13セントの損失までは悪化しなかった。

 総口座数は155万1,000口座で、そのうち新規口座開設数はは31万口座。1口座あたりの開設費用は平均198ドルで、直前期となる第3四半期の238ドル、前年同期の424ドルからは着実に減少している。8月に最も活発な投資家向けに手数料を14.95ドルからわずか4.95ドルまで引き下げたこともあって、取引手数料の平均は前年同期の19.66ドルから17.25ドルに減少した。

 一方、前日12日にはDLJdirectが第3四半期(7-9月期)決算を発表。総収入が5,488万ドルと前年同期に比べ82%の大幅な増収。しかし、純利益は333万ドルの損失で前年同期の77万6,000ドルの黒字から赤字転落した。しかし、EPSでみると3セントの赤字(前年同期未発表)で、市場予想の8セント損失よりはかなりよかった。

 利益を抑えたのは、やはり広告費の増大が原因となっている。広告費は、1,812万ドル(総収入比率33%)と前年同期の658万5,000ドルから2.8倍も増加している。

 このように、米国のオンラインブローカーは収入を大幅に伸ばす一方で、顧客獲得のため広告などのコストもかなりかけており、それが利益を圧迫する状況となっている。店舗維持費がかからないことなどがオンライン専業ブローカーのメリットでもあったはずだが、それに代わって広告宣伝費が重くのしかかるかたち。また、口座や顧客の数が大幅に伸びれば、システム安定のためのコストも増えることになる。

 さらに、口座獲得や手数料引き下げ競争のほか、現在オンラインブローカーはデイトレーダーのニーズもあって時間外取引(24時間取引)に次々と進出しており、ここでもシステムなど新たなコストがかかってくるだろう。利益がだせるオンラインブローカーのビジネスモデルは、まだまだ米国でも確立されていない。

 日本でもオンラインブローカーの競争が激しくなっており、異業種からの参入も相次いでいるが、利益がでるようになるのはまだ当分先のことだろう。

('99/10/14)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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