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【業界動向】

米国ダウ工業株平均にMicrosoftやIntelが新規採用
経済を牽引する産業構造が第3次産業にシフトしたことを象徴

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 Wall Street Journalなどを傘下にもつDow Jonesは26日、世界的にみても最も歴史のある株価指標のひとつであるダウ工業株平均(DJIA)の構成銘柄を、11月1日から4銘柄入れ替えると発表した。

 除外されるのは、小売のSears Roebuck(採用は1924年1月22日)、石油のChevron(1930年7月18日)、タイヤのGoodyear Tire & Rubber(1930年7月18日)、化学のUnion Carbide(1928年10月1日)と、いずれも長期にわたって採用されてきた企業。これに替わり、米国時価総額最大のソフト大手Microsoft、半導体のIntel、地域通信のSBC Communications、小売のHome Depotが新規採用される。MicrosoftとIntelはNASDAQ取引銘柄で、NY証券取引所以外の銘柄がDJIAに採用されるのは初めてのことだ。除外銘柄の総時価総額は823億ドル、新規採用銘柄は同9,060億ドルとかなりの差がある。しかし、これにより同平均全体の時価総額も増えるわけで、構成30銘柄ながら時価総額的には今までより市場全体をカバーする度合いが強まったといえよう。

 また、銘柄入れ替えが行なわれるのは1997年3月17日以来のこと。そのときには、鉄鋼のBethlehem Steel、石油のTexaco、重電機のWestinghouse Electric(現CBS)、小売のWoolworthが除外され、替わりにヘルスケアのJohnson & Johnson、コンピューターのHewlett-Packard、金融のTravelers Group(現Citigroup)が採用されたが、なぜMicrosoftやIntelが採用されないのか批判する声も多かった。

 DJIAは、1896年5月26日にCharles Henry Dow氏が12銘柄の単純平均を簡単に手計算して発表したことからはじまった。その後、現在のような30銘柄になったのは1928年10月1日からのこと。計算は、個別株価の単純平均を除数で調節する。30銘柄になってから現在までに銘柄入れ替えが行なわれたのは18回あり、今回で19回目になる。入れ替えを決定する明確なルールはなく、Dow Jonesが基本的に独自で判断する。以前は、業種などの継続性も意識されたが近年では特に意識されてないようだ。

 また、現状ではDJIAの商品的な価値はほとんどないといってよい。投資信託では構成が30銘柄という性格上、リスク分散まで考えて同平均連動ファンドを組み込むのは難しく、実際にそういったファンドはほとんどない。基本的に、Dow Jonesがライセンス供与しないという背景もある。シカゴ・オプション取引所などで同平均のオプション等が売買されているのは特別な措置。

 では何がこれほどまで注目される指標かというと、非常に長い歴史があるということ。その時々のさまざまな検証を行なうには同平均に頼るしかない。そして、S&P500指数のような時価総額ベースではないにもかかわらず、たった30銘柄の構成で米国の株式市場全体の動きを示していると認知されている点もあろう。実際に、S&Pとパフォーマンスを比較しても遜色がない。考えてみれば、不思議なことである。

 今回の入れ替えで、103年の歴史、30銘柄になってからは71年の歴史で初めてNASDAQ銘柄が採用された。かつて鉱工業が牽引してきた第2次産業型の米国経済が、情報サービスや金融サービスなどが牽引する第3次産業型に完全に移行したことを象徴する出来事といえる。DJIAの構成銘柄に、インターネット企業が採用される日がくるのも意外と早いかもしれない。

('99/10/27)

[Reported by betsui@impress.co.jp / yuy@ibm.net]


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