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【イベントレポート】

「COMDEX/Japan'99」基調講演~日米のオンライン金融サービスの状況と戦略

■URL
http://www.sbforums.co.jp/comdex99/
http://www.sbforums.co.jp/comdex99/keynote/index.html

 IT系トレードショー「COMDEX/Japan'99」が幕張メッセ(日本コンベンションセンター)で9日から開催された。初日の基調講演では、米国E*TRADEグループ会長とソフトバンク・ファイナンス代表取締役社長が米日のオンライン証券取引や金融サービスの現状、各社の戦略などを語った。会場はかなりの人が集まり、オンライントレードに対する関心の高さを改めて感じた。

圧倒的なブランド力が武器~E*TRADEグループ会長兼CEO兼ディレクターChristos Cotsakos氏

E*TRADEグループ会長
Christos Cotsakos氏
 まず最初に「オンライントレーディングの市場と可能性」と題してE*TRADEグループ会長兼CEO兼ディレクターのChristos Cotsakos氏が講演した。

 米国E*TRADEでは、現在日々1万口座が開設され、7,500万ドルの資金を預かっているという。「これまでJPモルガンやメリルリンチ、ゴールドマンサックスといった大手ブローカーは300ドルの手数料を取ってきたが、我々はブローカー抜きの市場と結びつき、14.5ドルの手数料でこれら大手ブローカーの行動を崩した」と語った。4.95ドルの手数料にできるのは競争が激化しているためでなく、テクノロジーの導入などでコストがかからなくなった結果だとしている。1顧客が2度目の証券取引を行なう比率は95%と業界最高レベル。

 このようになるためには「ブランドの構築が最も重要」だという。1997年2月にシステムのアップデートを行なった際、アプリケーションの古いものと新しいものが内部でぶつかり、3日間システムダウンして取引ができなかったことがある。ニュースとして世界中で大きく取り上げられたが、その後多額をかけて安定化させたこともあり、かえってこれがブランドの浸透を手伝ったかたちとなったかもしれないと語る。まだまだ技術的に完璧ではないく、どうしても顧客が多くなると不安定になる面もあるが「今後もさらにシステムをアップグレードさせていき、3年後にはほぼ完璧といえるシステムが構築できるのではないか」としている。

 オンライントレード業界としては、「安価な取引」という第1の波から「顧客の資産を増やす」という第2の波に移ってきたとみている。そのためのアドバイスや独自リサーチも重要になってきた。「米国をはじめ日本、欧州、ラテンアメリカなど、どこの国でもアドバイスを受けながらも自分自身で情報を入手し投資を決定する投資家が急激に増えている」という。また、証券取引のみでなく銀行業務も行なうために半年前にTeleBankを買収した。60日以内に法律、規制をクリアすれば13億ドルの収入につながるという。このように、金融だけでなくE-Comerceとして展開を図っていく。証券会社のブランド力ランキングでE*TRADEは圧倒的な1位となっているが「今後も更なる信頼できるブランドの浸透を狙い大規模なマーケティング費用等をかけていく」と述べた。

ワンストップの総合金融サービスを実現、順次株式公開し新市場も創設~北尾吉孝ソフトバンク・ファイナンス代表取締役社長

ソフトバンク・ファイナンス社長
北尾吉孝氏
 次に、「E-ファイナンスの挑戦」と題し北尾吉孝ソフトバンク・ファイナンス代表取締役社長が講演した。

 手数料の自由化など、海外に比べかなり遅れたものの「規制緩和とIT革命により、日本でも新しい金融秩序が生まれる」と語った。これまで証券会社など特定のベンダーに握られていた情報が、インターネットによって簡単に入手できるようになり、能動的な投資行動を投資家に促す。さらに、インターネットが金融業界に新市場の創設も促すようになった。

 そこで、ソフトバンク・ファイナンスの戦略としては「インターネットを駆使したワンストップの総合金融サービスを実現していく」とし、そこで重要になってくるのがやはりブランド力の浸透だという。ブランド力は信用力の裏付けで「米国で確立されたもの(圧倒的なブランド)を日本にもってくる」という戦略をとり、戦略的な提携が重要だとしている。

 そして、ソフトバンク・ファイナンス・グループ8社がハイパーリンクですべてつなげることで、総合金融サービスを提供していくことができるという。グループ間でシナジー効果や取引の一貫性を追求し、データベースの共有化で顧客情報の収集と活用を図っていくとしている。また、金融以外のグループ内企業ともシナジー効果を追求していくほか、「グループ外の金融機関ともオープンネットワークを構築していきたい」と述べた。

 具体的な計画としては、流動性の低いBond(債券)のPTS(私設取引所)市場の創設、ネットバンキング、損保・生保のセールス会社、リース業の4つを進めていき、新会社も設立する予定だという。PTSでは、ダッチ方式のオークション市場にするつもりで、日本プライベート・エクイティ・マーケットを設立した。

 また、既存グループ企業は圧倒的なブランドを確立するためにも順次株式を公開させていく。モーニングスターを2000年第2四半期(1999年12月決算基準)に大和証券幹事で、Eトレードを2000年第3四半期(2000年3月決算基準)に野村證券幹事で、ソフトバンク・インベストメントを2000年第4四半期(2000年9月決算基準)に野村證券幹事でそれぞれ公開を計画。特に、Eトレードは株式引き受け幹事入りも目指すほか、米国と同様に大規模なシステム増強、マーケティングを行なっていく。公開した時には、1ヶ月間手数料(売りも買いも)を無料にする考えもあるという。また、ソフトバンク・インベストメントは大手IR企業を買収する見込みだとした。

('99/11/9)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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