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ロックバンド「ムーンライダーズ」とメディア・アーティスト協会(MAA)は、インターネットを使った音楽配信実験を11月25日から開始する。楽曲のダウンロードは無料。実験では、MP3、ATRAC3など複数の音楽圧縮を採用しており、「聴き比べ」ができる点が特徴だ。なお、実験の主体はあくまでアーティスト本人だが、ムーンライダーズの契約レーベル「ドリームマシーン(ワーナーミュージックジャパン)」も音源の制作に協力している。
ムーンライダーズは、'75年に鈴木慶一氏(写真)を中心に結成されたバンド。今回の実験では、インターネット上での配信用に書き下ろされた新曲「Pissin'till I Die」と「Pissism」の2曲が配信される。これらの曲はCDでの発表は予定されていない。配信実験用のページでは、この2曲について、MP3、RealMedia、TwinVQ、Windows Media Audio、MP4AAC、ATRAC3の各フォーマットで提供する。特にMP3では、IIS、LAME、Xingの各エンコーダーによって作成された音源を用意しており、同じMP3でもエンコーダーによる音の違いを確認できるようになっている。鈴木慶一氏は、それぞれの音質について「音楽をやっている耳で聴くと、それぞれの差はかなりある。でも、それはいい悪いではない」と語っている。音源は、フルコーラス聴けるものと、聴き比べ用にサビの部分10秒間だけのものが各フォーマット分用意される。
ほかに、ページでは、掲示板や、チャットソフト「MurMur」を使ったチャットイベント、アンケートのコーナーなどが開設される。また、インターネット配信に関するムーンライダーズの意図を説明する「大切なこと、とても」といったコーナーも設けられる。今回の実験は、「アーティスト主体の配信実験」という側面もあり、鈴木氏は、「思いついたらすぐできるという環境は、非常に魅力的」と語っている。また、今後もCDのリリースと並行してオンラインでの配信も続けていくとしている。
一方のMAAは、文化庁に対して「中間まとめに対する意見書」を提出したり(本誌10月22日号参照)、先日は、音楽配信会社イーズ・ミュージックとJASRACの関連について疑問を投げかけるといったアクションを見せてきた。特定の企業が介入せず、利害関係のない中でアーティスト自らが音楽配信を行なうという今回の配信実験により、「デジタルメディア上でのアーティストの権利を探る」ための実践段階に突入する。今回は、圧縮技術や音質にフォーカスをあてたものになっているが、将来的に決済システムも含めた配信実験も検討しているとのこと。
('99/11/19)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]