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“競り”という一般の人には馴染みの薄い売買形式を身近なものにしたネットオークション。今ではオンラインショッピングの1ジャンルとしても定着している。
それが最近では、個人ユーザーでも出品できるオークションサイトも多数登場。“買う”だけでなく、モノを“売る”場としても利用が増えている。オークションというとプレミアムグッズを扱うというイメージが強いが、どうやらフリーマーケット感覚でモノを売りに出している人も多いようだ。
今回は、そんな“フリマ感覚”のネットオークションとはどんなものなのか、オークション初心者だったというユーザーの出品体験談をうかがった。
●予想以上の値が付いてラッキー！？
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Yahoo! JAPANの運営するYahoo!オークションは9月末にオープンしたばかりだが、知名度やシステムの使いやすさなども手伝って、開始後1カ月あまりで出品数が5万件を突破。人気のオークションサイトとなっている。利用するには登録手続きが必要だが、売り手も買い手も無料で参加できる。特に売り手の出品登録もWeb上ですべて行なえるため、誰でも手軽に出品できるのがウケているようだ。出品登録用のページが用意されており、そこに商品の説明文、オークションの開始価格、最低落札価格（オークション終了時点で最低落札価格に達しなかった場合は、落札者なしでオークションが終了することが可能）、オークション期間などを入力するだけでいい。写真データがあれば、それをアップロードすることも可能だ。
Kさんが出品したのは、映画「スターウォーズ」のLDボックス。定価は1万4,000円だったが、限定生産品のため、マニアによって高額で落札される可能性もある。しかしKさんがこの商品を選んだのは、これで金儲けをしようと思ったわけではない。ネットオークションに出品してみようと思った時に「ちょうどスターウォーズのLDが視界に入ったから」。また「あまり売るつもりはなかった」ということで、「ちょっと高め」と思える3万5,000円の最低落札価格を付けて出品。オークション期間を2日間（Yahoo!オークションではオークション期間を2～14日の間で設定できる）、開始価格を定価と同じ1万4,000円にして様子を見てみることにした。
オークションが始まると、やはり自分の出品した商品にどの位の値が付くものか気になる。たった2日間のオークションだったが、Kさんは「1日に2～3回はチェックしていた」。しかし、最初の半日は入札がゼロ。最低落札価格を設定しているせいか、「なかなか入札者が現われないな～」と思ったという。その後2万円の入札があったのに続き、2日目に入ると一気に4万円近い額を提示した入札者が登場。「そんなに高額でも、欲しい人もいるのか！」と驚いたという。結局入札は全部で9件あり、最終的には4万円近い額を提示した人に落札された。「高値で売れましたが、あまり売るつもりがなかったので、ラッキーとは言い切れない微妙な気持ち」だったとKさんは述べているが、思いがけないモノが予想以上の高値で売れることもあるという証明だろう。
●不用品だって意外に高く売れることもオークションというと骨董品やプレミアム商品など、お宝グッズ的なイメージがあるかもしれないが、そういった値打ち品でなくては出品できないわけではない。
10月にCさんは、都内にある遊園地のチケットをYahoo!オークションに出品した。入園券のほか、アトラクション券もセットになった7,000円相当のチケットだが、特に手に入りにくい“プレミアムチケット”というわけではない。景品でもらったもので、「家から遠く、あまり行く気がなかった」ということで出品したという。オークションの開始価格は2,000円、期間は2週間とした。
「万一売れればラッキー」ぐらいの考えだったCさんは、オークション期間中、一度も入札状況をチェックしなかったという。ところが2週間後、Cさんも忘れた頃に落札を通知するメールが届き、3,700円で落札されたのを知った。Cさんにとっては不用だったチケットが「思ったよりも高値で売れたのでうれしかった」としている。
このように、あなたにとっては不用になった商品であっても、捨ててしまう前にオークションに出品してみるのもいいだろう。誰か欲しい人が買ってくれるかもしれないし、意外に高く売れることもあるのだ。Yahoo!オークションにもそんな衣料品や雑貨からごく普通の書籍まで多数の“中古品”が出品されている。こういった中古品を出品できる点でも、まさにフリマ感覚だと言える。
ところで、こういったオークションサイトでは、売り手が他にどんな商品を出品しているかを確認できる機能がある。Yahoo!オークションでは「出品リスト」と呼ばれているものだ。このリストを見ていると、「恋人に貢がせたアクセサリーや高級化粧品を使わないでオークションに出していると思われる女性」などもよく見つかるという。その人の生活が目に浮かんできて楽しいが、これもまた、フリマならではだ。
●受け渡しは責任を持ってさて、落札者が決まったら、商品／代金の受け渡しとなるが、注意してもらいたいのは、これらは必ずしもオークションサイトのサービス範囲に含まれるわけではないということだ。例えばYahoo!オークションの場合、そこで提供されるのはオークションの場だけである。商品を発送するタイミング、送料はどちらが負担するのか、代金の支払い方法などについては、出品登録時に売り手が自由に指定できるようになっている一方、オークションが終了した後のやりとりについては当事者同士が直接連絡を取り合わなければならない。
だたし、インターネットという相手の顔が見えない手段では、こういったやりとりでトラブルが起きる可能性もある。せっかく落札したのに出品者から連絡が来ない、逆に落札者から代金が支払われない、商品の発送が遅い──といったトラブルだ。
前出のCさんも、チケットのオークションの際、こういったトラブルに会ってしまったという。Yahoo!オークションから落札通知メールが届くと早速、落札者のアドレスにメールを送信したが、「まったく音沙汰が無かった」。Yahoo!オークションでは、本来の落札者に連絡がとれない場合を想定して、落札者の補欠にも連絡できるようになっている。そこで、Cさんは1週間後、次点の入札者を繰り上げて落札者にする手続きを行ない、次点の人にメールを送信した。しかし、それでも連絡が来ない。一時は「誰が落札したかわからないオークションなんてこんなものか」とあきらめかけていた頃に、次点だった人からメールが来て安心したという。結局、オークションが終わってから相手がチケットを受け取ったことを確認するまで3週間ほどかかり、また期限のあるチケットだったこともあって「やきもきする日々が続いた」そうだ。
なお、Yahoo!オークションでは、オークション終了後、出品者と落札者が互いに評価しあう機能が用意されいる。上記のように、落札者なのに購入する意志がない場合などはマイナスの評価を与えることができる。過去の評価は、ユーザーごとに集計され、別のオークションに入札した場合にも閲覧できるようになっている。これは出品者にとっても同様で、発送が遅れがちの人などは落札者からマイナスの評価を付けられることになる。その結果、あるオークションについて、出品者／入札者の評価を見ることで、その人が安心してやりとりできる人かどうかある程度は判断できるというわけだ。Cさんが最初の落札者の評価を確認したところ、「落札だけして、連絡しても返事をしてこない常習犯」だったことがわかった。
このように、ネットオークションではトラブルに見舞われることもある。そういうトラブルを起こさないためにも、売り手／買い手ともにそれぞれ責任を持って利用しなければならない。
●個人でも出品できるオークションサイト今回はYahoo!オークションに出品した人にお話をうかがったが、個人で出品できるオークションサイトはこのほかにも多数ある。最後に、国内の主なサイトのURLを掲載しておく。Yahoo!オークションは比較的あらゆるカテゴリーをカバーしているが、各サイトはそれぞれジャンルに得意／不得意があるようだ。出品する際は、いくつかのサイトを見比べてから、その商品の需要が期待できそうなサイトに出品するのがいいだろう。
なお、利用は無料とは限らない。出品するのに料金がかかったり、落札額に応じて手数料が必要となるサイトもあるので注意しよう。
また、代金支払いを仲介する“エスクローサービス”を提供しているところもあるので、商品や代金の受け渡しに不安のあるユーザーは、そういったサイトに出品するのも手だ。
■Yahoo!オークション('99/11/29)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]