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【業界動向】

ストリーミングメディアは既存メディアを補完し、なお利益を生み出す

 ストリーミングメディアを事業の核としているSTV Communicationsの会長兼CEO、Jan Brzeski氏はストリーミングメディアの展示会Streaming Media West'99の席上でストリーミングメディアの将来について言及し、それが既存メディアを脅かすことはないだろうとの見通しを話した。

 むしろストリーミングメディアはニッチな分野で何千もの新しいチャンネルを作り出すと予想し、「視聴者のほとんどすべての関心事に専念したチャンネルが存在するようになるだろう。私はスキーに情熱を傾けているので、徹底的にスキーを扱ったテレビが見たい。今そんなチャンネルはない。でも私の言葉を覚えて置いてください、インターネットにはそんなチャンネルができるだろう」とストリーミングメディアを利用する際に持つべき感覚を披露した。

 しかし同氏は解決しなければならない問題点を2つ指摘した。1つはパケットの問題で「それが例え1秒ほどであっても定期的に(映像が)とぎれるなら、音楽や映画を見ている経験は台無しになり、ほんの少しの人しか見たり聞いたりしようとは思わないだろう」と述べ、パケットに分けて通信する既存のストリーミングの方法にはメディアとしての限界があることを指摘した。そして、同氏がCEOを務めるSTV社がおこなっているようなストリーミングメディア専用のデータセンターなどによる「抜け道」が必要だと主張した。

 もう一つの問題はストリーミングメディアの値段の問題で、現在はエンジニアリングの視点から値段が決められており、視聴者が見たいかどうかで値段が決まっているわけではない、と指摘。だれもが自分の造ったビデオを公開して利益を得られるようなシステムが必要だと主張した。

 このようにテレビが登場したときにラジオが消えなかったように、ストリーミングメディアが登場しても既存のテレビやラジオは消えず、むしろニッチな方向に進むとの予測がある一方で、Forrester Researchの調査ではスポーツ中継がストリーミングで行われることでスポーツ中継の利権そのものが劇的に動くとの予測もある(本誌11月26日号参照)。

(1999/12/8)

[Reported by taiga@scientist.com]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp