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【Internet World Japan '99レポート】

「日本のインターネット音楽配信、本格化は2年後」MCJ佐々木会長が講演

■URL
http://www.music.co.jp/

佐々木会長 Internet World Japan会場では、併催イベントとして「e-* Conference '99」が開催された。これは、インターネットビジネスの最前線で活躍する人物による講演を中心としたカンファレンス。今回は、初日に実施された、社団法人音楽電子事業協会理事の佐々木隆一氏の講演を紹介したい。

 佐々木氏の講演テーマは「ネット配信がもたらす音楽流通の大革命」。ここでは、同氏が会長を務める、株式会社ミュージック・シーオー・ジェーピー(MCJ)の事業を例に話が進められた。MCJは、MP3、MIDIなどの音楽形式による有料配信を事業としている。同氏は、デジタルと従来のモデルとの違いについて「一番の違いは、“権利”が流通しており、モノが介在しないこと」としており、「今までのモデルが通用しないから問題が発生する」と語った。従来の音楽産業モデルは大量生産/大量販売が基本で、収益をあげるためには効率がいいが、資金がかかるという問題があった。そのため大企業が市場を握る形になっていたが、デジタル配信では、個人企業や中小企業などの参入が可能だとしている。今後は、旧来慣習や日本的分配システム、行政慣行の打破により「新規参入しやすいビジネス環境になることが望ましい」としている。

 ほかには、MCJを例に音楽配信事業にかかるライセンス費用について説明した。MCJでは、最近、SDMIによる認証を受けライセンスマークをサイトに表示しているが、そのマークの取得するために、SDMIへの参加費用10,000ドル、マークの使用料に7,000ドルの年間費用がかかったという。また、MP3形式を商用利用するために必要なFraunhofer社へのライセンス料が15,000ドル。そのほか、コンテンツへの電子透かし埋め込み費用が10,000ドルで、運営するために必要なセキュリティコストだけで年間500万円ほどかかるとのこと。

 現状のMCJについては、ストリームで聴く人は多いが実際にダウンロードして買う人は少なく“赤字”とのこと。ストリームで聴いてからCDを買う人が多く、「CDの通販とダウンロードの組み合わせでなくてはペイしない」と語っている。

 今後の音楽配信市場については、「再生用のポータブルプレーヤーが50万台以上売れて、1分間で3分の曲をダウンロードできるくらいの回線スピードを利用できるようになればマーケットは生まれる」として、新規参入を考えている企業は、「あと2年我慢したほうがいいかもしれない」と語った。

(1999/12/9)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp