■URL
http://www.nikkobeans.co.jp/
http://www.monex.co.jp/
Internet World Japan '99/e-* Conference '99の2日目には、オンライントレードを手掛ける2社の講演があった。e-* Conference '99では、午前中にマネックス証券の松本大代表取締役社長が有料セミナーを行ない、Internet World Japan '99では午後に日興ビーンズの藤本誠之エクイティ担当マネージャーが無料の特別講演を行なった。ビーンズは当初、須田則雄取締役社長が予定されていたが急な海外出張で講演者が変更された。
両者とも話しの流れとしては、米国で成功した背景と現況について、日本における現況と今後、自社の取り組みについて、とほぼ同じだった。
米国でオンライントレードが成功したのは、手数料自由化、ネットワークの発達などインフラの充実、、401(k)の導入、投資教育などが背景に挙げられるが、最も成功に導いた要因は株式市場が上昇したことだとしている。
日本についても、手数料の自由化が行なわれ、今後はペイオフ、日本版401(k)導入などから1,200~1,300兆円ともいわれる個人金融資産が構造的に流動化することは間違いないとみられ、オンライントレードもインターネットの一段の普及と共に伸びると見ている。
このあとの2人の説明では主旨が異なった。松本氏がオンライントレード業界に焦点をあてて講演する一方、須田氏は自社のサービスを中心に講演した。
●松本氏~日本における様々な問題点を指摘
朝一番に講演した松本氏 |
まず、トラブル時の責任分担ルールが無いことを挙げた。ある意味、オンライントレード、ECなどでは必ずトラブルが起きる。そういった場合どう対処するのか法律的にも定まっていない。オンライントレード会社の約款には「一切の責任は負いません」と書かれているが、何かあった場合の判例も実際にはない。過去、ワラント債に関する損で個人投資家が訴訟を起こした事件があったが、その時ワラント債の契約には紙くずになる可能性も書かれていたものの、訴訟では証券会社が負けている。この例からみれば、約款も当てにはならず、ルールや対処の仕方などの整備が必要だという。
また、有価証券売買確認書や目論見書を実際に投資家に郵送などで渡さなくてはならない法律も指摘。これが、オンラインを使ってできれば更なるコスト削減や利便性の向上につながる。投資家からオンライン証券への注文の半分以上が夜から朝にかけて発注されるので、それを朝一番に東証へ出すが、このとき非常にリソースが集中し問題になっており、リソースの平準化を図る必要もあるとした。そのほか、最低投資金額を高くしている単位株制度の問題なども挙げた。
松本氏は、講演を予定より早めに終わらせると質問を受け付けた。本人も聞かれるのはいやだったという、この日報じられた「ソニーの銀行業進出」については「まだ先のことだし、詳細がわからないのでなんともいいようがない」としながらも「ソニーと私が株主で設立した会社であることは間違いないが、300口座のときの両社の関係と現在の3万口座、今後さらに口座数が増えた時の関係は当然違ってはくると思う」とした。ソニーもそうだが、その前にイトーヨーカ堂の銀行進出の報道もあり「当社のアドバイザリーボードのメンバーに入っているヨーカ堂の鈴木社長との関係がいったいどうなるのか―」と発言し、会場に笑いが起こる場面もあった。
●藤本氏~サービスの質の向上と信頼・安定性が重要
ピンチヒッターの藤本氏 |
今後投資家はニーズに応じた証券会社の使い分けをするようになるとしている。情報提供、投資判断の助言、意思決定の支援まで欲しい投資家は対面販売を行なっている証券会社へ、情報提供など付加価値サービスのみを求める投資家はオンライン証券へ、注文執行のみを求める投資家はディープディスカウンターへそれじれ注文することになろう。
オンライン証券会社を判断するには、手数料ではなく総合力で判断するべきだとしている。そこで、ビーンズが掲げるニーズに合った商品、初心者にも使いやすいホームページ、財務・システムの信頼性、質の高い投資情報、コストパフォーマンスに優れた手数料の5つの基準で考えて欲しいという。
商品では、日興グループ以外の投資信託も扱っており、業界に先駆けて保険商品も導入し充実を図っている。また、2重化、3重化のシステムは当然だが、システムがあるビルには自家発電、耐震設備なども導入。顧客が利用したい時にシステムが止まっているなんてことは、あってはならないとしている。今後も「オンライントレードの自由をすべての人に」をキャッチフレーズによりよいサービスに努めていくと述べた。
(1999/12/10)
[Reported by betsui@impress.co.jp]