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【業界動向】

マザーズ銘柄が東証システムに支障を来たす恐れ
上場日に気配の値幅制限を設ける

■URL
http://www.tse.or.jp/product/cash/stock/sttrading.html (東証売買のしくみ)

 東京証券取引所は、22日マザーズ上場予定の銘柄がシステムに支障を来たす恐れがあることをきっかけとして、新規上場銘柄の売買の取り扱いについて、次期株式売買システム稼動まで暫定措置をとることにし会員証券会社に通知した。

 22日マザーズ上場予定のインターネット総合研究所(コード4741)とリキッドオーディオ・ジャパン(4740)は、従来どおり新規上場日から初値決定日まで東証の合理化システム(旧立会場銘柄を中心とした200銘柄弱の内国株券に係る注文発注、約定の照合等の全ての処理を行なう)で売買を行ない、初値が決定した日の翌売買日から株式売買システム(旧立会場銘柄以外の全売買業務を処理するシステム)に移行する予定だった。

 しかし、インターネット総合研究所の公募価格が1,170万円と高い(表示上の高水準、株価の価値水準が高いといっているわけではない)ことを踏まえると、上場日の需給・人気動向によっては合理化システムに支障を来たす恐れがあると判断した。

 これにより、マザーズに限らず東証1部、2部に直接上場(国内の他取引所上場・店頭登録を経て東証に上場せず、まったくの非公開から東証に上場してくること)する銘柄については、公募・売出価格が600万円未満の場合と、同600万円以上の場合で初値決定までの気配運用や値幅制限など売買の取り扱いで暫定措置を設けた。

 具体的にマザーズ上場2社がどうなるかというと、インターネット総合研究所は、上場日には株式売買システムで売買を行なう。呼び値(買い・売りの意思表示のために唱える値段の総称)については、公募価格1,170万円を中心値段として上下900万円の範囲内、つまり上限値2,070万円・下限値270万円の呼び値が可能。

 気配運用については、従来は上場日に限って値幅制限を設けなかったが、公募価格を最初の気配値とし、気配更新の上限として呼び値の上限である2,070万円が適用される。事実上、気配の値幅制限が設けられたわけだ。

 リキッドの場合は、公募価格が300万円とインターネット総合研究所ほど高くないからか、現行どおり上場日には合理化システムで売買が行なわれる。気配の運用などについても通常の直接銘柄と同様の扱いとなる。

 株式市場では、両社の初値について「公募価格の4、5倍になるのではないか」と囃す向きもある。確かに、日本の株式市場にはいわゆる純粋な「インターネット関連株」が少ないこともあって、まだまだ人気になる可能性はあるだろう。

 しかし、東証のシステムが支障をきたす恐れがでるほど表示株価の高い銘柄をいったい誰が投資できるというのか。オンライントレードの仕組みができて、一般の消費者が株式投資を手掛けやすくなったことは確かだが、本当の意味で投資が可能になったかどうかは疑問だ。投資ツールが増えたものの、実際には以前より投資しづらくなった感さえする。

(1999/12/17)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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