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【特集】

2000年問題、ISPの対応状況は?


 2000年問題の恐怖の瞬間まであと10日余りとなり、果たしてインターネットが問題なく利用できるのか気になるところである。そこで編集部では、国内の主なISPをピックアップし、2000年問題への対応状況を調査してみた。

 対象としたのは@nifty、AOL、ASAHIネット、BIGLOBE、DION、DTI、IIJ、InfoSphere、interQ、JustNet、MSN、NEWEB、OCN、ODN、Panasonic Hi-HO、So-net、ドリームネット、ぷらら、ベッコアメ・インターネット、リムネットの20社。調査は12月17日に行なった。

●主なISPは2000年問題に対応済み

 結論から言うと、調査したほぼすべてのISPが対応を完了しているということが明らかになった。各社に差が見られたのは、ユーザーへの情報提供という点だ。

 まず、各社のホームページに2000年問題についてのアナウンスがあるかどうか調べたところ、ベッコアメを除く19社が専用のページを設けるなどして関連情報を公開していた。しかもそのうち15社はトップページからリンクを設けており、情報提供に積極的であることがうかがえた。ただし、内容の充実度は各社で差が見られ、@niftyでは自社サービスや専用接続ソフトの情報のほか、2000年問題関連サイトへのリンク集やシェアウェアの対応状況なども掲載しており、比較的情報が充実していた。一方、MSNの専用ページも一般的な注意事項などを詳しく解説しているほか、マイクロソフト製品についても網羅されているので役には立つのだが、インターネットサービスの対応状況について説明が見あたらなかった。また、Panasonic Hi-HOでは、特別窓口の開設については記述されているが、実際に対応しているかどうかの情報は掲載されていなかった。

 さて、肝心の対応状況だが、19社のうちすでに対応を完了したとアナウンスしていたのは@nifty、ASAHIネット、IIJなど12社だった。BIGLOBE、ドリームネット、DTI、JustNetの4社は完了予定時期などは記述してあるものの、実際に完了したかどうかは不明。interQ、MSN、Panasonic Hi-HOの3社については、完了しているのかどうか、もしくはいつまでに完了するのかといった記述は見られなかった。ただし、これら7社に電話で確認したところ、すでに対応は完了しているということだった。なお、ベッコアメは、担当者に連絡がとれなかったため、現時点では未確認となっている。

●不測のトラブルに備え、年越しの瞬間はサービス停止!?

 このように12月17日現在、調査したほぼすべてのISPで2000年問題への対応が完了していることがわかったが、これでもうトラブルが起こる可能性がなくなったわけではない。いくら自社ISP内が対応を完了していても、インターネットで接続されている以上、外部的な要因でトラブルが引き起こされる可能性も残っている。 

 こういった不測の事態に対応するため、12月31日から1月1日にかけて特別態勢を敷くISPもある。「社員の半数が泊まり、残りは自宅待機」(DTI)、「関係する全社員がセンターに常駐」(ぷらら)というような、普段では考えられないような大がかりな態勢で臨むという。

 また、2000年問題の特別サポート窓口を開設するISPもある。例えば、@niftyでは通常、夜間のサポート窓口は提供していないが、12月31日から1月1日にかけてはオールナイトで対応する。しかしこれは「アクセスポイントの混雑を、2000年問題と勘違いしたユーザー」(@nifty)などに対応する意味あいが強いとしており、サービス自体は2000年問題で中断することなく通常通り継続できるだろうと見ている。

 このほか、万一のトラブルに備えて一部サービスを停止する予定のISPもあった。ぷららでは、12月31日の午後11時55分から1月1日の午前12時25分までの30分間、オンラインショッピングやパスワード変更などのサービスを停止するとしている。ネット接続とメールの送受信は使えるということだが、一部とはいえサービスを停止することをアナウンスしているのは、ぷらら1社だけだった。

●年越しの瞬間はネット利用を控えるべき?

 年越し時は、急用以外は通信を控えて欲しい──。各社の2000年問題ページを見ていると、いくつかのISPでこのようなユーザーへのお願い文が掲載されているのに気付く。

 実はこれは、政府がユーザーへの留意事項をまとめた「コンピュータ西暦2000年問題に関する年末年始に向けた準備について」という文書の一部。「2000年問題で電話やインターネットに大きな問題が発生することはない」としながらも、「何らかの理由で特定の地域に電話等の利用が集中した場合には回線が込み合ってつながりにくくなる」可能性もあるとして、「電話やインターネットがつながるかどうかの確認やお急ぎでない用件等の通話、通信をできるだけ控えていただきますよう」協力を呼びかけている。どうやら、その旨をユーザーに告知するように通信事業者へ通達があったらしく、@nifty、JustNet、NEWEB、ODN、リムネットでまったく同じ文章を掲載していた。ただし、この中のあるISPでは、掲載はしているものの、「年越しで盛り上がるときに、インターネットの利用に水を挿すようなことはできない」として、特にそれ以上の利用制限を呼びかけることはしないと述べている。

 こういった動きとは逆に、年越しの時には「どんどんアクセスして欲しい」(ドリームネット)というISPもあった。ネット上で年越しイベントを予定しているためで、利用を控えられたらたまったものではないということなのだろう。

●ホームページやメールのデータは大丈夫?

 主なISPについて2000年問題の対応状況を見てきたが、それ以外のインターネットサービスについても触れておこう。

 国内で最も利用の多いポータルサイトである「Yahoo! JAPAN」「goo」ともに、2000年問題への対応を完了するとともに、いずれも当日はスタッフが待機して監視体制を強化するとアナウンスしている。また、無料コミュニティサービスの「ジオシティーズ」でも、11月末ですべてのテストを完了しているという。

 ジオシティーズに限らず、ISPやポータルなどのサービスでも、ホームページのデータやメール、個人情報など、ユーザーにとっては大切なデータが保存されている。2000年問題で被害を受けてしまわないか気になるところだが、これについては「外部的な要因でサーバーのデータが消失する心配はない」(ジオシティーズ)としている。外部のネットワークでトラブルが発生し、ユーザーからサーバーが一時的に見えなくなることは考えられるかもしれないが、その影響で内部のサーバーまで被害を受けることはないということで、ISP自体が2000年問題を完了していれば、まず、心配はいらないだろう。

(1999/12/20)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / okada-d@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp