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【著作権】

著作権管理団体の許可制廃止を提案

インターネット音楽配信に弾みがつくか――著作権審議会が最終報告を発表

■URL
http://www.monbu.go.jp/singi/chosaku/00000295/ (中間まとめ)

 文化庁の著作権審議会内に組織される専門部会「集中管理小委員会専門部会」が、「最終報告書」を取りまとめた。専門部会では、著作権等の管理制度全体のあり方について検討を進めており、'99年7月には、仲介業務制度を含む著作権の集中管理に関する規制緩和などを提言した「中間まとめ」を発表している(本誌'99年7月6日号参照)。今回の最終報告は、その「中間まとめ」に対し関連団体や一般から寄せられた意見を踏まえてまとめられたもの。文化庁では、6月から開催される通常国会において最終報告に基づいた改正案を提出する見込みだ。

 最終報告でのポイントは、著作権管理団体に関する「許可制の廃止と登録制の採用」――つまりは著作権管理業への参入について原則自由化を求めている点で、最終報告では「株式会社等による著作権管理事業を法律によりあらかじめ排除することは適切でない」としている。この点については、「中間まとめ」が発表された時点で、音楽著作権管理団体、日本音楽著作権協会(JASRAC)が「営利法人の参入は、結果的にわが国の文化の衰退に繋がりかねない極めて危険な発想である」として真っ向から反論していた。一方、アーティスト自らによる団体「メディア・アーティスト協会(MAA)」は、アーティストには、作品を「いつ、どこで、どのような方法で」発表、流通させるかを決める自由があるという「著作者の人権」的観点から、規制緩和・競争原理の導入に関して賛成であるとしていた。

 ほかに「中間まとめ」では、著作権管理団体参入の規制緩和について、論文、美術、写真などこれまで規制対象ではなかった音楽以外の分野も規制対象著作物とすべきという提言がされており、もう一方の焦点となっていた。この件については、社団法人デジタルメディア協会(AMD)が、「音楽以外の分野において、かえって規制が強化されるのではないか」「不用意な規制は、ネットワークによるコンテンツ流通そのものの阻害要因となろう」といった懸念を表明していたが、最終報告では、「著作物の種類や利用態様による区別はしないことが適当である」としており、音楽以外の作品も仲介業務団体が著作権を管理する可能性が出てきた。

 これまで、著作権管理団体の扱いについては、昭和14年に制定された仲介業務法から基本的に改正されておらず、特に音楽著作物では、JASRACが実質的に著作権仲介業務を独占している状態であった。今回の改正案が通れば、例えば、インターネット上での音楽配信を事業とする企業が、自ら著作権管理業務を行なうことも可能になる。また、アーティスト側にとっては、自分の作品の著作権管理を委託する相手を選択できる自由を得ることになる。ただし、JASRACが主張する通り、従来からの一元管理による利便性が失われる可能性もあり、実際に複数の仲介業務団体が存在する状況での管理業務の形態については、さらなる検討が必要となりそうだ。

 なお、専門部会による最終報告は文化庁のサイトに近日掲載される予定。

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(2000/1/24)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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