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【業界動向】

富士通、地銀に代わり基幹系システムを運用する新会社設立
第一号は東邦銀行で今後幅広く募集

■URL
http://www.fujitsu.co.jp/jp/news/2000/02/8.html
http://www.tohobank.co.jp/

東邦銀行頭取(左)と富士通社長(右)
 富士通は8日、地方銀行向けにバンキングシステムのアウトソーシングを行なう新会社を設立するとともに、その最初のユーザーが福島県を地盤とする東邦銀行になったと発表した。

 新会社の社名は未定となっており、資本金1億円で本年上半期に設立する。出資企業は富士通を中心とし、まずは採用を決めた東邦銀行が5%出資。今後、地銀各行に対し幅広く新会社のサービス採用を呼びかけ、東邦銀行と同様出資比率5%以内での出資も募る。

 新会社は、銀行の基幹系や情報系などのシステム運用や管理を銀行に代わって行なう。2月3日に発表したばかりのバンキングビジネス戦略ITモデル「Strategic BANK」をはじめとする最新ソリューションをベースに、勘定系(預金、融資、為替など銀行の主力業務を処理するシステム)を中心とするバックオフィスシステムから、各行のミドル、フロントに至るまでトータルなアウトソーシングサービスを提供する。具体的には、富士通の地方銀行向け次世代バックオフィスシステム「PROBANK(PROgressive BANKing solution)」を採用し、現行のコンピュータ関連経費の3~4割の削減を見込む。

 アウトソーシングサービスを実現するインフラとして、富士通の館林、明石システムセンターなどを利用する。将来的には、全国を4つのブロックに分け、それぞれに中心センターをかまえる方針で、全国的なサービスを目指す。

 今後の採用銀行として有力な候補は、富士通が昨年12月から推進している「PROBANK研究会」参加の地銀18行。東邦銀行も研究会のメンバーで、ほかに青森銀行、岩手銀行、大分銀行、群馬銀行、佐賀銀行、十八銀行、筑邦銀行、名古屋銀行、北陸銀行などが参加している。

 東邦銀行の瀬谷俊雄代表取締役頭取は「実際の商品やサービス、マーケティングは、もちろん各行とも違いはあり競争しているが、基幹系システムは銀行によってそれほど大きく変わるものではなく共通化や共有化を図ってもよいのではないか」と述べた。東邦銀行では、コンピュータ関連投資が年間60億程度かかっているが、アウトソーシングすることにより3~4割の削減を目指す。「銀行自体がプログラマーやオペレーターを抱えなくてもよい点も大きいメリットのひとつ」(同頭取)で、本来の銀行業務に人材面でも集中できるとしている。

 一方、他業種からの金融業参入が取りざたされる現在の環境のなか、今回のようなビジネスを展開することで富士通に金融業務のノウハウ等が蓄積され、銀行・金融業に参入するではないかとの思惑を持つ向きもあるが、富士通代表取締役社長の秋草直之氏は「銀行業に参入するつもりはまったくないし、やってもおそらくできないだろう」ときっぱりと否定した。

(2000/2/8)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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