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【インタビュー】

「ソニースタイル・ドットコム」のスタイルとは

■URL
http://www.jp.sonystyle.com/

石井氏
小管氏
 ソニーとその販売子会社ソニーマーケティングが折半出資で、ソニーのプロダクツとネットワークを融合させて新しいライフスタイルを提案する新会社「ソニースタイルドットコム・ジャパン」を1月27日に設立した。

 Webサイト「ソニースタイル」は、2月1日からオープンし、早1ヶ月が経とうとしている。そこで、ソニースタイルが提供しようとしているライフスタイルや、周囲の反応などについて、ソニースタイルドットコム・ジャパン ネットワークマーケティング1グループ兼Webグループ総括の石井隆雅氏と、ネットワークマーケティング3グループ兼プロダクツマーケティング1グループ総括の小菅薫氏に聞いてみた。

 1グループはサービス系、2グループはVAIO系、3グループはAV系と担当のカテゴライズがされてはいるが、あまり枠には捕われずにWeb全体の魅力や方向性を決めているという。


IW編:まず、ソニースタイルドットコム・ジャパン設立の目的は。

石井:インターネットの現況をみると、買うと決まったものをどこが安いか探すのは非常に分かりやすく便利だが、果たしてその行為自体は楽しいのか、という疑問が出発点。実際にモノを買う時には、情報を色々と調べたり集めたるする楽しさ、友達と相談する楽しさ、モノを見て触れる楽しさなど、買い物をする時にはもっと「楽しい」という要素が含まれていないだろうか。単に「買い物をする」という行為ではなく、「買い物を楽しむ、楽しんで買い物をする」ということをネットワークを使って提案していこうとしているわけだ。

IW編:新聞などが報じているような単なる「Webサイトを使った家電の直販」をはじめたわけではないと。

石井:そこがまったく違う。そういった誤解もされるが単純に「何万点もの品揃えがある」という指向ではない。どうすれば楽しめるのか、このようにやったらよいのではないか、ということを実現するための道具としてインターネットがあっただけ。便利になるということよりも、楽しくなることを指向していく。似ている言葉だがまったく違う。

IW編:単に数をそろえるわけではないとすると商品の方向性はどう考えているのか。

小菅:ネット専用商品というものにもこだわってはいない。やり方としてもちろんそういったアプローチもするが、基本的にはハードウェアとネットワークとサービスを組み合わせたものを提供、提案していくかまえ。パソコンを使ったものとして具現化した提案は、2月15日に発表したバイオインフォキャリーを使ったコンテンツサービス。

IW編:BTO(Build To Order、基本仕様から用途に応じて部品などを交換変更できる仕組み)やCTO(Configure To Order、顧客の要求仕様にあわせて製品を生産する仕組み)は行なわないのか。

小菅:パソコンの場合はBTO、CTOはありえる。AVの場合はパソコンほどフレキシブルにはいかないかもしれないが、ある程度ネットワークの利点を活かしてユーザーの意思にあわせたものを供給したい。ハード単体では単なる箱であっても、メモリースティックに音楽をダウンロードするというサービスがバンドルされることで、はじめて今までになかったものが供給できる。AVでもこういったまったく新しい分野が一段と登場するはずで、先陣を切って提案していきたい。

IW編:「e-SonyShop」や「PC e-tailer」(仮称)の構想も発表されているが、ソニーショップ、PC系量販店などリアルの店舗との関係はどのように考えているのか

小菅:4月から具体的に協業していくために進めているが、ネットで出来ないがリアルでできること、またその逆もあるのでお互いの利点をあわせていきたい。

石井:店舗との競合を言われたりするが、この関係はゼロ、イチのようにはっきりしたものにはならない。例えば、日曜日の午後3時の混み合っている秋葉原の街を歩くことを苦痛に感じる人がいる半面、それが楽しいと感じる向きも両方いる。

IW編:具体的な展開で決まっていることは

石井:量販店のいくつかとは具体的な話が進んでおり、店頭にソニースタイルのサイトをみることができる端末を置いてもらうことを考えている。早ければ3月下旬には1、2ケ所発表できるかもしれない。

IW編:その場合の売上はどうなるのか

石井:ソニースタイルが販売するかたちをとりたい。この点はなかなか店側に理解してもらえないのだが、商品を買ってもらってそれで終わりにはしたくない。購入したあとも、より商品の価値を高めることや楽しみを広げることを購入者、店舗、ソニースタイルの3者で作っていきたいと思っており、その方策をを考えていきたいのだ。また、量販店のメリットとしては、通常は在庫を展示して販売するのみだが、ソニースタイルも含めて取り扱うことができること。

IW編:ソニーショップとの展開は

小菅:ソニーショップの場合、固定客がついている店舗もあるが、その固定客がネットに接続する環境がない場合がある。そういった向きに、店頭のPCでソニースタイルを紹介してもらい、購入してもらう。カスタマイズ製品などは在庫を抱えるよりもネットのほうが扱いやすい。ソニースタイルを紹介してもらった場合などには当然何らかのリターンも考えている。また、大型テレビなどについては設置、設定などの面もあるのですべてネットといううわけにはいかず、そういった業務委託的な部分も考えていきたい。

IW編:いずれにしてもサービスが成功の鍵になるようだが

石井:もちろんそうだし、組み合わせも重要になろう。早ければ3月上旬から当初はネットだけの展開でVAIOのWindows2000モデルを「ビジネスパーソナル」として投入する構え。今までVAIOはビジネス路線はやってこなかった。ビジネスで使う道具として、しかも、かっこいい使い方などの提案も含め「ビジネスパーソナル」と呼んで今回進めていく方針。例えば、ビジネスコンビニエンスのようなところと組んで、ハードが壊れたとしてもそこに行けば代替品が用意されているなど、サポートがさまざま受けられるような、そんな仕組みを現在つめている。

小菅:そのほかにもいろいろと「楽しむ」ための計画はあるが、順次できることから取り掛かっていく方針。

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(2000/2/28)
[Reported by betsui@impress.co.jp]


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