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【業界動向】

東証がマザーズ指数を3月末から算出~第1回上場希望会社向けセミナー

■URL
http://www.tse.or.jp/mothers/

 東京証券取引所は22日、新興企業向け市場マザーズへ上場を希望する会社に対し第1回サポートセミナーを東京で開催した。来場者はおよそ700人、600社弱だったという。このセミナーは「Mothers Supporters Club」の上場希望会社会員のみを対象としたもので、参加は無料だが先に会員登録しなければならない。

 セミナーでは、上場の意思決定から上場準備における留意点など「マザーズ上場までのスケジュールと関係者の役割」と題して中央監査法人の代表社員 笹本憲一氏が、ストックオプションをはじめとしたインセンティブプランや株価算定方法例など「株式公開の資本政策」と題してプライスウォーターハウス クーパーズ アドバイザリーの公認会計士 楠純夫氏(クレイフィッシュの上場をサポート)が、株式公開企業に必要とされる規則や財務諸表など「会計制度と会計監査制度」と題して朝日監査法人の公認会計士 小田哲生氏が、それぞれの分野について詳細に講演した。

白橋氏

 3者とも共通して強く述べていたのは、ディスクロージャーについても、資本政策についても、または会計監査や財務についても、他人にすべて任せたり、おざなりにせず、経営者が熟知して自らの意思で最終決定し実行しなければいけないということ。当たり前のことのようだが、アドバイスを受けるのではなく会計士や主幹事証券などにほとんど任せてしまうケースが多いという。

 3者の講演のあと、最後に東証の上場部新規上場サポート室課長 白橋弘安氏が東証市場とマザーズの現状や今後について講演した。全体的に、売買システムや取引時間の延長等々、ナスダックジャパンや店頭市場をかなり意識したトーンでの説明だった。

 マザーズの概要・現況について、上場会社数は7社(既上場4社、公表上場予定3社)、それらの設立から上場までの年数は平均で4年10ヶ月(最長はメッツの11年6ヶ月、最短はリキッドオーディオの1年5ヶ月)、売上高は最大が20億円、最小が5,000万円、経常利益は最大が2億9,000万円、最小が3億8,000万円の損失、資金調達額(既上場4社ベース)は最大が246億円、最小が30億円、時価総額(3月16日現在6社分)が最大4,848億円、最小が80億円とした。

 3月末からは、公表はしないもののテスト的にマザーズ指数を算出する予定。公表は、もう少し上場企業数が増えてから行なっていきたいという。

マザーズ市場の現況
上場会社数 7社
(既上場4社、公表上場予定3社)
設立から上場までの経過年数 平均で4年10ヶ月
(最長はメッツの11年6ヶ月、最短はリキッドオーディオの1年5ヶ月)
売上高 最大が20億円、最小が5,000万円
経常利益 最大が2億9,000万円、最小が3億8,000万円の損失
資金調達額
(既上場4社ベース)
最大が246億円、最小が30億円
時価総額
(3月16日現在、6社分)
最大4,848億円、最小が80億円

 一方、現在の東証の売買方法は、価格・時間優先の競争売買方式、いわゆるオークション方式となっている。店頭市場の一部はマーケットメイク方式を採用しているが、1銘柄あたりのマーケットメイカー数が限定的(非競争)であること、積極的にポジションを取っている証券会社が非常に限定的(まとまった注文への対応が不可)であることなどから投資家の評価は低いとしている。

 これに対し、例えば米国Nasdaqの売買のうち25%程度がオークション方式を採用しているECN(電子取引ネットワーク)で行なわれるようになっており、これはオークション方式が透明性、効率性に優れているというECNに対する評価によるもので「現状ではマーケットメイクよりもオークション方式のほうが好ましいとの見方が一般的である」と述べた。

 こういった状況の中、東証では利便性の高い市場構築を目指して、次期売買システムを4月以降に稼動させる予定。このシステムは将来の変化にも対応できるよう柔軟性も高いという。例えば、取引時間の延長については24時間取引もシステム上可能だが、本当にそのニーズがあるのかどうか今後計っていく。東証では、すべての銘柄が24時間取引が望まれているわけではなく、実際には国を代表するような企業に対するニーズがあるのではないかと考えており、ナイトセッションのようなかたちでの取引が現実的ではないかと見ているという。新システムでは、銘柄ごとに立会時間を変えて設定することが可能になっている。

 また、先に述べた売買方式についても、新システムではマーケットメイク方式も行なえるようになっており、ナスダックジャパンが計画しているようにマーケットメイクとオークション両方式を採用したハイブリッド方式も可能だという。しかも、銘柄ごとに売買方法や売買規制を設定することができる。

 さらに、NYSEと協力しクロストレーディングや共同商品の開発・上場も今後進めていくとした。

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(2000/3/22)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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