ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(So-net)は、音楽配信サービス向けのプラットフォームを提供する新会社「株式会社レーベルゲート」を設立すると発表した。4月下旬にもサービスを開始する予定。新会社には、大手レコード会社12社による出資/参画が予定されている。
出資/参画予定のレコード会社は次の通り。
・エイベックス株式会社 |
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・キングレコード株式会社 |
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・株式会社ジャニーズ・エンタテイメント |
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・株式会社ゼティマ |
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・株式会社ソニー・ミュージックエンタテイメント |
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・株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ |
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・株式会社BMGファンハウス |
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・株式会社フォーライフレコード |
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・株式会社プライエイド・レコーズ |
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・株式会社ポニーキャニオン |
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・株式会社バップ(参画予定) |
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・株式会社ワーナーミュージック・ジャパン(参画予定) |
新会社レーベルゲートの主な事業は、システム運用、オンライン決済代行、音楽データの蓄積・配信など。各レコード会社に対して音楽配信のインフラを提供し、自身による楽曲の販売は一切行なわないとのこと。楽曲の販売価格は各レコード会社が独自に設定し、レーベルゲートは「バックヤードに徹する」(同社社長山本泉二氏)としている。
サービスには、音楽配信のポータルサイト運営も含まれており、そのサイトでは、各レコード会社の音楽データを横断的に検索できるようにするという。実際の試聴/購入サイトは各レコード会社がそれぞれ運営し、決済はレーベルゲートのサイトで行なう形になる。決済方法はクレジットカード、So-netのオンライン決済方式「Smash」、プリペイドカード「WebMoney」の3種類が提供される。また、音楽配信システムには、IBMによる「The Electronic Media Management System(通称:MediaDirect)」を利用し、音楽圧縮方式は「ATRAC3」を採用するとのこと。
サービス提供のスケジュールは、4月上旬にWebサイトのプレオープン、4月下旬に本格サービス開始、5月下旬に総合検索サイトオープンとなっている。サービス開始当初に提供される楽曲数は、すでに配信サービスを開始しているSMEの「bitmusic」からの150曲以上とエイベックスが配信する予定の100曲を合わせて250曲以上になる予定。その他のレコード会社については、ポニーキャニオンが6月に配信を開始する以外は、時期、価格ともに未定となっている。なお、レーベルゲートによる音楽配信は独占的ではなく、各レコード会社は独自に配信することも可能とのこと。SMEの丸山社長は、「(レーベルゲートは)レコード会社から見て『業者』。流通をクロネコに頼むか、佐川に頼むかというのと一緒」と語っている。
今回の新会社/新サービスは、価格設定等が各社バラバラになる可能性はあるものの、レコード会社が足並みを揃えたという点で他の音楽配信業者にとって脅威的である。フォーライフレコードの後藤社長は「一番大きな意義はソフト会社側が主導を取っている点」と語ったほか、ポニーキャニオンの佐藤副社長は「最近、まったく音楽と関係ない会社が1曲の値段を100円と設定して話題になったが、それは、まったく違うと考えている」と語るなど、レコード会社主導である点をアピールしている、今後、配信システム、価格等も含めて、レーベルゲートの打ち出すものが、レコード会社の音楽配信におけるスタンダードとして認識される可能性もある。音楽配信システムの「リキッドオーディオ」、“1曲100円”を打ち出す「イーズミュージック」、今回の新会社に参画しなかった大手レコード会社、東芝EMI、ビクターエンタテインメントの動向など、音楽配信業界の今後に注目だ。
(2000/4/6)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]