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【暗号技術】

109ビットの楕円曲線暗号が解読される――RSAの600ビット以上に相当

■URL
http://www.zotgroup.com/press/4k20000413.html
http://cristal.inria.fr/~harley/ecdl/

 アイルランド人の数学者Robert Harleyとフランスの国立情報科学制御技術研究所(INRIA)の同僚3人は13日、楕円曲線暗号ではこれまでで最大の109ビットの暗号を解読することに成功したと発表した。

 これは、カナダの暗号技術開発企業Certicomが1997年に暗号技術発展と楕円曲線暗号の強力さを確認するために開設したコンテスト「ECC2K-108」を解いたもの。このコンテストの解読の結果Certicomが提供する1万ドルの賞金は、8,000ドルがApache Software Foundationに贈られ、残りの2,000ドルは今回の解読に不可欠な計算を行なった2人の参加者に贈られることになった。

 Robert Harley氏と同僚たちは、世界40カ国におよぶ1,300人の参加者が9,500台のコンピューターを使って、4カ月間かけて暗号を解読。9,500台のうち、2/3はUNIXワークステーションで1/3はWindowsマシン。単体の450MHzマシンで解読する場合、解読に500年もかかるという。

 この暗号を解読するには、Certicomが「Koblitz曲線」と呼ぶ特殊な楕円曲線上で、10の15乗以上の点の中から暗号鍵を計算して探す必要がある。INRIAが開発したオープンソースの暗号解読ソフトを用いて、これらの点の中から要素点を見出し、200万以上の要素点の中から暗号鍵を発見した。

 今回のこの解読についてCitibankのCorporate Technology Officeの副社長で、このこのコンテストの参加者でもあるArjen Lenstra氏は「我々が行なった計算の量はDESのような秘密鍵システムを解読するのに必要な計算量より多く、RSAのような公開鍵システムでは最低でも600ビット長の鍵を解読するのに十分な計算量であるといえる」と語った。楕円曲線暗号が少ないビット数で十分な強度を持つ暗号であることが今回の解読によって改めて認識されたといえるだろう。

(2000/4/14)

[Reported by taiga@scientist.com / etoh@nakajima-gumi.net]


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