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【特集】

見方を身に付けよう! インターネットの投資情報

 株式市場は、インターネット関連株の波乱が続き、特に店頭株市場の先行き不透明感が台頭している。こんな時、どうしたらよいのか、どう考えたらいいのか迷っている投資家も多いのではないか。よく考えずに、とりあえずなんとなく投資はしてみて、これまでは上昇が続いていたので良かったが、今になって不安になっているという人も結構少なくないかもしれない。

 そこで今回は、特に、なんとなく投資を始めてみて現在不安に思っている人、投資をしてみたいとは思っているがまだよくわからないといった人に対し、インターネットなどを使って入手した情報の見方などを説明していく。

 なお、例として個別銘柄を具体的にあげて説明する部分もあるが、当欄では投資を推奨したり勧誘したりすることを目的にしたものではない。あくまでも、情報の活用の仕方や見方としてひとつの例を参考までに示すにすぎない。

●現在の株式市場は



 株式市場が波乱となったきっかけは、東証マザーズ開設以降インターネット関連株がそれまで以上に注目を集め過熱したことによる反動や、これに伴い「ネット株バブル」論議がおこって週刊誌などを中心にネガティブな見方が台頭したことなどといえよう。

 それと同時に、同じく過熱感がピークに達していた米国Nasdaq市場が調整局面に入ったため、センチメントも急速に冷えていった。

 市場の混乱の中心となったのがソフトバンク(9984)と光通信(9435)で、悪い噂や観測、さらに、光通信では実際に代理店が自己破産するなど噂が現実化するようなニュースも相次いでいる。連日100万株以上の売り物に対して買い物が数千株など、株価がつかない状況。株価がつかないということは、売りに出したくても出せない状態で、気配値が下がっていくのを見ているしかない。

 こうなると、いざ値段がついて売れたとしてもかなりの損切り(最小の被害で済ませるため損することがわかっていても売ること)を覚悟しなければならない。その損を埋め合わせるため、もしくは回収するために、利が乗っているほかの銘柄を、特別悪い話などがなくても売りに出すという動きが加速する。投資信託の解約売りもでてきており、こうした売りがまた売りを呼ぶかたちでスパイラル的に加速し広がっている。

 ソフトバンクと光通信が落ち着きどころをみつけるまでは、こうしたネガティブな展開が続きそうだ。もともと、ファンダメンタルズ(基本的な条件)を評価して上昇したわけではなく、ムードによる需給相場だったため投資家らの自信回復やセンチメントの改善には時間を要するかもしれない。しかし、そのほうが、息の長い相場を考えるとポジティブといえよう。


●自己責任とリスク



 さて、ソフトバンクといえば、昨年10月からの委託売買手数料の完全自由化以来、オンライントレードが最注目されたときの代表銘柄のひとつでもあった。株価は10月のおよそ4万円レベルから、本年2月15日の19万8,000円まで4ヶ月間でおよそ5倍に値上がりした。

 このソフトバンクをはじめ、短期間でかなりの金額を儲けた話しを聞いた向きは多かったことだろう。まして、10月以降はオンライントレードの登場で今までよりも簡単便利に投資ができることや、手数料の安さなどが大々的に協調され「自分にもできそうだ」と感じ実際に投資した向きも多かったはず。そして、これまでは良かったが、2月以降傷ついている、もしくは不安になっている投資家もいるだろう。

 「自己責任」のことを「損をしても文句をいってはいけない」と考える雰囲気もあるようだ。確かに、文句をいっても仕方がないが、そうならないように投資する前には詳しく調べて吟味し、自分でそのリスクを十分納得した上で行なおうということである。投資行動の仕組みとしては以前より簡単になったため、安易な投資もやりやすくなったが、単純に人の真似をして投資したりするのは極めて危険なことだろう。

 では、そのようなリスクをどのように納得、許容していけばよいのか。まず情報を得なければ話しにならない。そして、その情報を評価する眼を持つことが肝要だが、これには経験と時間が必要になろう。


●情報を入手する代表的なサイト



 情報を入手、利用する場合、ほぼ完璧なのがQuickやロイター、Bloombergなどの専用情報端末だが、料金的に個人では無理。オンライン証券を利用している向きはその証券会社でWeb版のQuickや独自サービスなどが用意(無料や有料で提供)されている。それ以外の通常誰でも無料で見ることができるWebサイトとしては、検索サービスや新聞などのメディア系がある。こういったサイトでは、いちいちログインしたりする手間はないし、投資入門など初心者向けのコンテンツも充実している。

[情報端末・検索サービス]
■Bloomberg
http://www.bloomberg.com/jp/
■Quick
http://www.quick.co.jp/
■ヤフー
http://quote.yahoo.co.jp/
■エキサイト
http://www.excite.co.jp/business/
■インフォシーク
http://japan.infoseek.com/2201?tid=2201&col=JT&lk=noframes&sf=1
■ライコス
http://www.lycos.co.jp/money/
■goo
http://channel.goo.ne.jp/ch2/
■フレッシュアイ
http://www.fresheye.com/kabu/
■@nifty
http://finance.nifty.com/

[新聞・他]
■日本経済新聞
http://money.nikkei.co.jp/money/
■毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/life/money/
■朝日新聞
http://www.asahi.com/market/
■読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/money/
■ComTrack
http://com.navi.ntt.co.jp/
■東京証券取引所
http://www.tse.or.jp/
■日本証券業協会
http://www.jsda.or.jp/
■東証の株価提供ベンダー(リンク集として使える)
http://www.tse.or.jp/link/vendor.html

 このほかにもたくさんのサイトがあるが、今回は代表的と考えられるものをあげた。投資家の好みもあるので一概に比較はできないが、ニュースや市況はロイターやBloomberg、時事通信などからヘッドライン、もしくは概要を提供してもらっているところが多い。ニュースに関しては、Bloombergが早くて比較的詳しい。しかし、訂正や表現のおかしい場合も多いので注意が必要だ。また、東証や日本証券業協会も目論見書などが閲覧でき、重要な情報サイトのひとつ。


●株価とチャート



 これらのサイトでは、株価に関してはリアルタイムではなく、概ね実際に売買が成立してから20分程度遅い株価が表示される。表示内容は、4本値(現在値・終値、当日の始値、高値、安値)、前日比(金額、%)、出来高を基本として表示し、時価総額や気配値、配当利回り、1株あたり株価収益率(PER)などを1シートで表示させることもできる。

 なかでも、エキサイトの株価表示は他とは違って、ストップ高・安の表示、年初来高値・安値を更新した際の印も色分けで表示されるので便利。もちろん、年初来と上場来の高値・安値の数値も日付とともに掲載されている。ただし、このエキサイトに関わらず、株価の数値に関しては株式分割の権利落ちが修正・考慮されていなかったり、ザラ場ベースのものなのか、終値ベースのものなのか判断できない場合があるので、注意は必要だ。

 また、日本ではなかなか無料では手に入らない日々の株価データが、フレッシュアイでは「4本値一覧」でみることができる。相場がみられるようになると、自分でチャートなどを引いて分析してみたくなる場合もあり、こういった情報を表計算ソフトに取り込めばそれが可能になる。ヤフーは、米国では表計算ソフトに落としこめるようになっているが日本ではその機能がない。本当に株価のデータを手に入れるには苦労するのだ。というより、ほとんどそういったサービスがない。その意味ではフレッシュアイの株価データはありがたい情報。

 チャートも各社まちまちで、これも独自のシステムで表示させているところと、情報端末系のサイトから提供を受けているところがある。移動平均線などのテクニカル指標の表示や、日経225など株価指標とパフォーマンスを比較したりできる機能もあるが、総じて「株価のトレンドがわかる」程度だ。株価のレベルを分析したりするのは困難で、おおよそのレベルしかわからない。エキサイトのように上場来・年初来高値・安値の表記がなければ、チャートのピークやボトムの数値でさえ、おおよそのレベルでしかわからないわけだ。フレッシュアイの数値を参考にすればもう少し詳しく把握できる。


●ソニーのチャートを見てみよう



 ここで、具体的にチャートをみてみよう。ソニー(6758)のチャートをエキサイトで表示したものを参考とする。以下の3つのチャートを見てみたが、いずれも日足で移動平均線は25日線と50日線を使った。

年初来チャート
過去1年チャート
過去2年チャート

 まず年初来をみると、4ヶ月間の株価は1万2,000円~1万6,000円(ザラ場ベース最高値3月1日の1万6,300円、権利落ち修正前で実際に3月1日についた株価は3万3,900円)の間で2回山がある。4月14日現在13,280円のレベルは、その中間よりも下の位置にある。移動平均線は、両方ともそれまでの上昇基調から下向き、もしくは横ばいになっており、株価そのいずれも割り込んでいる。1月の半ば頃をみると、25日線を少し割り込んだところを基点として高値まで上昇しており、現在のレベルからどちらの方向に株価が動くのか判断は難しい場面。1月半ばと違うのは、移動平均線がきれいに右肩上がりになっていない点だ。

 そして次に、過去1年のチャートをみてみるともっと大きな視点でこれをみることができる。最高値までの上昇基調が崩れており、本年に入ってから1万2,000円~1万6,000円のボックス相場に入った感が強い。上値では、1万6,000円のレベルを2回トライして抜けなかったので壁となっており、ここをクリアするにはこれまで以上の力(好感できる材料など)が必要となろう。ボックス件の中間あたりに現在位置しており、このまま下落傾向が続き、ボックスの下限である1万2,000円のレベルを割り込めば、次の節目は昨年12月頃の9,000円までないため、そこまで下落が続くことも可能性として考えられる。もちろん、上値と同じように、1万2,000のレベルを割り込むには、それまでの成長期待が崩れるなど、それ相応の負の力が必要だが。

 これまでの移動平均線と株価の動きををみると、下値の要所でどちらかの平均線がサポートするかたちになっており、移動平均線を大きく割り込んで下落している場面はない。3月の中旬に割り込んだ場面があるが、1万2,000のレベルで反転している。目先では、相場全体の安定がみられなければ1万2,000円のレベルまで下落する可能性はあるかといえよう。

 ここで、過去2年のチャートを見てみる。仮に、全体相場のネガティブな流れに沿って1万2,000円のレベルまでいったとして、これまで上昇基調を続けてきたソニー自体の成長期待に変化がなければこのレベルは一度買いを入れたい場面といえる。もうひとつ、昨年2、3月頃、昨年6月頃、昨年9月頃、最近では先月の出来高と株価をみると、出来高が急激に増加した場面の時を基点に、株価が一段高となっている。出来高が急増した時は要チェックだ。

 全体的にまとめると、これまでの上昇基調は一段落し、ボックス相場が続きそう。目先では1万2,000円まで下落する可能性はあるが、短期的に買いを入れても良いかもしれない。しかし、1万2,000円のレベルから再び切り返したとしても、1万6,000円のレベルをブレイクしてそれまでのような上昇基調になるためには、今以上のポジティブな力が必要だろう。逆に、考えにくくはあるが、1万2,000円を大きく割り込むようなネガティブな材料が出れば8,000~9,000円まで下がる可能性がでてくる。

 チャートでここまで考えられるが、これに加えて、日柄(調整にかかった日数や上昇の日数)や相場全体の動き、PERなどのバリュエーション面、市場のセンチメント等々も考慮にいれて考えなければならない。短期投資なのか、中期、それとも長期投資なのか、投資する姿勢によっても買場や売り場の判断は変わってくる。

●Nasdaq総合指数は?



 もうひとつ、Nasdaq総合指数はどうだろうか。元データを手に入れて個人的にExcelでチャートを作ってみた。

NASDAQ総合指数チャート

 これだけでは簡単な判断しかつかないが、現在のレベルはかなりいいところまで下げたといえる。このレベルを下回ると、次の節目は2,700ポイントのレベルまでない。そこまで調整するかどうかはもう少し詳しくみてみないとなんともいえないところ。ただし、NasdaqのPERは200倍ともいわれ、日本同様相場が落ち着くかどうかは需給にかかっている。Nasdaq100の指数先物主導で下落しているため、インデックス売りが止まるまではなかなか落ち着かないだろうとの見方もある。その半面、業績面で問題がないため、上昇の兆しがみえれば、投資家の回帰は素早いだろうとみる向きもある。

 テクニカルアナリストのひとりは、次のサポートレベルは3,500ポイントだが、1987年のブラックマンデー時のダウ工業株平均の高値からの下落率36%を当てはめると、最終的には3,200ポイントになるとしている。その理由のひとつとして、1998年からのNasdaq総合指数と、ブラックマンデーの基点である1986年からのダウ工業株平均のチャートのかたちが似ていることをあげている。

●自分で判断できる眼を



 このように、チャートなどから判断できる相場のシナリオのひとつの例を示してみた。

 これだけではまだ十分に分析できていないだろうが、自分で判断することで納得することができるわけで、自己責任にもつながるのだ。まずは、自分で判断できる眼を養うため、いろいろな情報を追いかけてみたりするのが良いだろう。投資信託ではなく、個人で個別銘柄に投資するのは結構やさしいものではない。

 その時に、意外と実行する人は少ないかもしれないが、すでに株主になっている場合、企業のIR(投資家向け広報)をもっと活用し、直接問い合わせるなどしても良いと考える。直接問い合わせることで、聞きたいことがもしわからなかったとしても、会社の対応や雰囲気などから意外な発見をすることもある。

 最後にひとつ付け加えるが、正直米国がうらやましい。情報が本当に豊富でお金をかけなくとも知りたい情報やデータを手に入れることができる。金融関係では「CBS MarketWatch」だけでも事足りるかもしれない。また、リンク集的なWebサイトだが「DAILY STOCKS」で知りたい情報を網羅することもできよう。IPO関係ならHOOVERS ONLINEの「IPO Central」と「Alert-IPO」を知っていれば充分。さらに、チャートは「Bigchart」に限るという向きもあるが、個人的にはMSNの「MoneyCentral Investor」がおすすめで、Nasdaqのチャートを作ったデータもここから取得した。最初にチャートなどを使うにはアドインソフトをインストールしなければならないが、一度行なえば強力な機能が使える。

■CBS MarketWatch
http://cbs.marketwatch.com/
■DAILY STOCKS
http://www.dailystocks.com/
■IPO Central
http://www.hoovers.com/ipo/
■Alert-IPO
http://www.ostman.com/
■Bigchart
http://www.bigchart.com/
■MoneyCentral Investor
http://moneycentral.msn.com/m

(2000/4/17)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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