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【業界動向】

最後に「著作権管理事業法案」に関する意見書を提出

坂本龍一氏らによる「メディア・アーティスト協会(MAA)」が解散

■URL
http://www.maa.gr.jp/

 坂本龍一氏らアーティスト本人達による団体「メディア・アーティスト協会(MAA)」が解散を表明した。解散の理由については、それまでの活動の中で、著作権の集中管理に関する法制度の改革などに関して「それなりの成果を上げることができたから」としている。また、活動の締めくくりとして著作権管理に関する新法案「著作権管理事業法(仮称)」に関する意見書を提出する。

 MAAは、1999年2月に“デジタル時代の著作権を考える”アーティスト本人達による団体として設立された。発起人には、坂本氏のほか、飯野賢治氏(ゲーム作家)、河口洋一郎氏(CGアーティスト)、佐野元春氏(音楽家)、冨田勲氏(音楽家)、松武秀樹氏(音楽家)が名を連ねている。デジタルメディアでの著作権のあり方について、アーティスト自身が率直に議論して問題意識を共有し、意見を発表することを目的として設立され、上半期は、例会でパネルディスカッションや勉強会を実施し、下半期は、意見交換の場をメーリングリストに移して活動を展開してきた。特に注目を集めた活動としては、著作権仲介業務法改正「中間まとめ」に対する意見書の提出や、ソフトバンク関連による音楽配信会社「イーズ・ミュージック」に関する疑問の表明、ムーンライダーズと共に行なった音楽配信実験などがある。また、2000年3月に、日本音楽著作権協会(JASRAC)の常任理事らを招いて実施した、「仲介業務法改正に関するパネルディスカッション」も注目を集めた。

 MAAでは、活動の締めくくりとして、著作権管理に関する新法案「著作権管理事業法(仮称)」に関する意見書を文化庁長官官房著作権課に提出する。著作権管理業務については「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(仲介業務法)に定められているが、2000年1月に文化庁の著作権審議会内に組織された専門部会「集中管理小委員会専門部会」が仲介業務法の見直しを図る最終報告書を提出し、現在は、新法案である著作権管理事業法の作成作業が進行しているところだ。今回、MAAから提出される意見書では、新法案に盛り込まれる内容に関する意見を表明している。

 意見書は、主に、「委託する作品や支分権の選択制」「競争基盤整備のための政策」「著作権管理事業法の施行時期」の3点に関するもの。特に、競争基盤整備のための政策に関しては、「真の意味での競争状態を作り出すためには、新規参入者に対する具体的な保護政策や、JASRACに対する相応の措置がとられなければならない」としている。また、新法案の施行時期に関しては、「既存秩序との整合性を過渡に重視して不当に施行時期が遅らせられるようなことがあってはならない」としている。

 なお、MAAでは、解散後も継続的に検討されなければならない問題として、アーティスト側の権利の尊重、権利処理ルール・権利情報開示システム等の早急な整備、著作権教育などの啓蒙活動強化に関する点をあげている。また、これらの点に関して、アーティスト側から意見を述べる必要がある場合は、再び結束するとしている。

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(2000/5/15)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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