■URL
http://www.megawave.ne.jp/
http://www.nttsc.co.jp/mws002.html
NTTサテライトコミュニケーションズは18日、同社が個人向けに提供中の衛星インターネット接続サービス「Mega Wave」を9月30日で終了すると発表した。衛星接続のアピールポイントである広帯域接続を維持するだけのバックーボーンを確保することがコスト面で困難になった。今後はインターネットからのダウンロード機能が省かれた、特定コンテンツのマルチキャスト配信サービスに移行する予定だ。
衛星インターネットでは、上りの通信部分をダイヤルアップなど地上回線のISPを通じて行ない、下りの通信部分だけを高速な衛星回線経由で行なう。このため、大容量ファイルのダウンロードやストリーム配信などが快適に利用できる。NTTサテライトでは、最大1Mbpsの下り通信が実現するMega Waveを、昨年6月より月額3,980円の定額料金で提供してきた。現在、約6,000ユーザーが利用しているという。
ところが、ユーザーの増加もあり、利用が集中する時間帯では満足できる通信速度が得られないことが多くなった。同社では当初、たとえダウンロードされるファイルが大きくなっても、帯域が広い分、一人あたりの通信は短時間で済むと見ていた。しかし実際は長時間利用するユーザーが多く、想定していた10~100倍のトラフィックが発生。これに対応するバックボーンを調達するには、月額料金を現在の10倍程度にしなければ採算が合わなくなり、個人向けサービスとしての提供を断念することになった。新規加入者の受付は18日で終了し、現時点のユーザーについては、Mega Wave用受信機の購入費用の一部を補償するとしている。
同社では今後、個人向け衛星サービスとして、あらかじめ同社が用意したコンテンツのみを衛星経由でダウンロードできる「Mega Wave Select」を展開する。従来のMega Waveでも、特定のコンテンツをNTTサテライトのNOCに蓄積しておき、ここから直接配信するサービスも行なわれていた。Mega Wave Selectは、ネックとなっていたインターネットのバックボーンを廃止する一方で、ハウジングするコンテンツの充実化を図るものと言える。すでに同様の方式で提供されているコンテンツのほか、SKY PerfecTV!で放送中の番組についてもマルチキャスト配信を行なっていく。現在、36社/38コンテンツについて配信を予定しているほか、新規のコンテンツプロバイダーも募集する。ユーザーは、既存のMega Wave用受信機があれば、クライアントソフトを変更するだけで利用できる。従来のサービスと同様、配信のリクエストのための上り通信は地上回線を介して行なうが、いったんストリームが始まれば、地上回線側を切断してもそのままストリームは継続されるようになっている。Windows Media Technologiesを採用するため、当分の間はWindowsパソコンを対象にサービスを提供していく。無料の試験サービスが6月1日より開始される。
なお、同社では企業向けの衛星イントラネットサービス「Mega Wave Pro」も提供中だが、こちらの売上については、まだ黒字化するには至っていないものの、当初の計画を上回る状況で推移しているという。
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(2000/5/18)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]