INTERNET Watch Title Click

【業界動向】

世界銀行セミナー~「インターネット革命と今後の金融:e-Financeの将来」

■URL
http://www.worldbank.or.jp/
http://www.worldbank.org/

基調講演を行なう
大蔵省財務官 黒田氏
 世界銀行は16日、「インターネット革命と今後の金融:e-Financeの将来」と題して都内でセミナーを開催した。

 同セミナーでは、大蔵省財務官 黒田東彦氏が基調講演を行ない「7月のサミットでもITが議題とされており、IT革命が経済に与えるインパクトも大きい」と述べた。

 米国は4%の経済成長を4年間続けており、しかもインフレが起きていない。これまで、米国の潜在成長率は2.5%もしくは2.75%といわれてきたが、これが4%近くになってきたということができ、ITが潜在成長率を押し上げている。日本でも、IT革命により今後5年間で6%ぐらい潜在成長率を押し上げるのではないかという。

 これに伴ない、e-Financeも急速に伸びていき、証券、銀行、保険の垣根はさらになくなっていくことだろう。そのなかで、政府としては以下の4点をチャレンジしていかなくてはならない、と論じた。

 まず、分断された法律ではなく、横断的な法律や規制を行なっていかなくてはならないこと。2点目は、従来のようなペーパーワークでの監督はできないということ。例えば、証券募集の際の目論見書は紙によって投資家に提示しなければならないが、これをインターネットで良いとするなど、金融監督も変質していかなければならない。3つ目は、金融業における消費者保護をどのようにしていったらよいか考えなければならないこと。国ごとに法律に違いがあるものの、インターネットによって国境が意味をなさなくなってきたといえる部分もあり、そんな世の中での消費者保護を考えていかなければならない。最後は、金融取引のスピードが速くなったため、世界のどこかでトラブルが発生した場合、それが一気に全世界に広がる恐れがあり、そのリスクに対してどう備えるか考えなければならないこと。

 これら、4つの点を実行していくには国際的な協調や中立姿勢の強化なども必要になってくる。国境を越えた取引が瞬時に行なえることで、規制を共通化しなければならない部分もでてこよう、と述べた。

 また、電子商取引が進展する一方で、実際の店舗による販売など従来からの伝統的な商取引もあるため、規制・監督当局としては、どちらかに肩入れすることなく中立でなければならないと語った。

 このように、政府がチャレンジしていかなければならないことは多いが、いずれにしても、e-Financeがもたらすプラスの効果を最大限に発揮させていかなければならないのだとまとめた。

(2000/6/16)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp