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【イベントレポート】

展示会ではIPv6や先端技術などがデモ

インターネットの国際サミット「INET2000」開幕

■URL
http://mc-net.jtbcom.co.jp/inet2000/jptop/
http://www.isoc.org/inet2000/

パシフィコ横浜

 インターネットに関する世界最大の国際会議「INET2000」がパシフィコ横浜で開幕した。INETは、世界のインターネットの枢軸ともいえる団体ISOC(Internet Society)による国際会議で、「The Internet Global Summit(インターネットの国際サミット)」を題目にカンファレンスやセミナー、展示会が開かれる。毎年1回、世界各地で開催されており、今年は「Global Distributed Intelligence for Everyone(世界に広がる知性をすべての人に)」をテーマに日本で実施されている。メインの開催期間は7月18日から21日までで、カンファレンスや展示会は19日から、セミナーは17日から。カンファレンスやセミナーに参加するには事前登録を済ませてある必要があり、公用語は英語。

 18日には、プレスと関係者向けに展示会のプレ公開がなされた。ここでは、その様子を紹介する。


●インターネットの最先端技術コーナー「iGrid 2000」

iGrid 2000コーナー
iGrid 2000コーナー

 展示会場で最も目立つのが「iGrid 2000」のテーマブースだ。iGrid 2000は、「広帯域をどう使うか」というテーマの元に世界中の研究者が技術を持ちより展示するプロジェクト。いわば、最先端のインターネットアプリケーションの展示となっている。なお、このプロジェクトでは、最先端のインターネット網インフラのイメージとして「Grid」と呼んでいる。

 大阪大学・郵政省通信総合研究所・TTNet・PNJコミュニケーションズ・大阪メディアポート・KDD・日立製作所は共同で、高品質のデジタル動画をリアルタイムで伝送する実験を実施している。それぞれ各地のリアルタイム映像を、DVフォーマットやそれより高品質なD1フォーマット(放送局の撮影用フォーマット)で、ギガビットの高速バックボーンを経由して送っている。会場では、北海道や北陸、沖縄などからの映像が、DVDやそれ以上の画質で表示されていた。

 また、大阪大学に置かれた世界最高性能の超高圧電子顕微鏡からの映像をD1フォーマットで送信し、それを横浜の会場でモニターしながらリモート操作するというデモもなされている。

 iGrid 2000ではほかに、立方体の空間の壁や床に映像を投影するバーチャルリアリティシステム「CAVE」を使ったアプリケーションのデモや、世界中とつながったインターネットTV会議システム「Access Grid」など、20以上の技術が集まっている。iGrid 2000のテーマブースでは会期中、これらの技術がデモされる。


映像の伝送 映像の伝送:沖縄
全国各地からの映像のリアルタイム伝送
 
電子顕微鏡のリモート操作 機材
電子顕微鏡のリモート操作
  機材。廉価なPCが並んでいる

●IPv6は実用段階に?

 さきごろのNETWORLD+INTEROP TOKYOでもIPv6が大きく扱われていたが、このINET 2000展示会場でもIPv6が重きを置かれている。会場のネットワークは主にIPv6ベースで動いており、会場に用意されたアクセスルームのコンピュータも全てIPv6で通信している。ただし、それでは通常のIPv4のサイトなどにアクセスできなくなってしまうので、各コンピュータはIPv4にも対応しており、相手がIPv6に対応していればIPv6で、そうでなければIPv4で通信するようになっている。これにより、IPv4との互換性を保ったままIPv6環境に移行できる、ということを示すのが展示側の意図だ。

 また、IPv6のテーマブースも設けられている。ここでは、家庭用ルーターや企業向けルーターに始まり、Windows 2000・Linux(Kondara MNU/Linux)・BSD(Kame Projectのプロトコルスタックを使用)・Solarisの各OS、さらにはアプリケーションでの対応がデモされている。スタッフによると、IIJのIPv6サービスなどに向けて、すでにこれらがβテストとして実動しているという。

IPv6コーナー IPv6ルーター アクセスルーム
IPv6コーナー IPv6ルーター アクセスルーム

●会期は21日まで

 こうした先端技術のほか、通常のメーカーなどのブースもある。株式会社インプレスでは、先頃発行された書籍「インターネット白書」の英語版ダイジェストをブースで配布している。ほか、機器やアプリケーションソフトウェアなどのメーカーや、プロバイダー(ISP)などの企業が数十社、ブースを構えている。

 また、19日からはカンファレンスも始まり、INET 2000が本格的に開始する。19日にはオープンソースムーブメントに関するスーパーパネルが、20日には慶應大の村井純氏やMCI WorldComのVint Cerf氏らが参加するスーパーパネル「The Future of the Internet Layer」や、Cisco Systems社のJohn Chambersによる基調講演などが予定されているほか、多数のセッションが実施される。

インプレスブース1 インプレスブース2
「インターネット白書」の英語版ダイジェストを配布するインプレスブース

(2000/7/18)

[Reported by masaka@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp