8月5日は「タクシーの日」。そこで今回は、タクシーに関するウェブサイトをいくつか紹介する。
タクシーの日の由来は、1912(大正1)年のこの日、料金メーターを付けたタクシーが日本で営業を開始したのにちなんでいるという。タクシーの日を制定した東京乗用旅客自動車協会が運営しているウェブサイト「東京のタクシー」には、その歴史などを紹介するページが用意されている。これによると、「数寄屋橋のかたわらに本社を置く『タクシー自働車(株)』がT型フォードを6台そろえて営業をスタート」「料金メーターや割引チケット制度を導入するなど、当時としては画期的なものだった」という。
■東京のタクシーさて、試しにYahoo! JAPANで「タクシー」をキーワードに検索すると、ヒット件数は200近くにも上った。ただし、その多くはタクシー会社のサイトで、それほど面白いものではないようだ。次に目立つのは、タクシー乗務員が開設している個人サイト。これらのサイトには、変わったカップルを乗せた体験談やイヤな客を乗せたときの苦労話などを掲載しているものが多い。読んでいくとなかなか面白く、タクシーを舞台とした人生のドラマが日夜どこかで繰り広げられていることがうかがえるものとなっている。中には、定期的にメールマガジンとして発行しているものもあった。
しかし、数は少ないながら、注目したいのは“タクシーマニア”とでも呼べる方々のサイトだ。鉄道やバス、飛行機などを熱心に追いかけるマニアがいるように、タクシーにもマニアがいるのである。
その代表と言えるのが「TAXI WATCHERS」である。京都を中心に、松山、徳島、東京などで見かけたタクシーの写真をコレクションしている。とはいえ、鉄道などと同じ交通機関とはいえ、タクシーが趣味の対象となるというのは我々には想像し難い。タクシーの何が、彼らを惹きつけるのだろうか? 同サイトのあいさつ文によると、タクシーも地域によって特徴があるという。「例えば、東京のタクシーは全般的にカラフルですが、街によってはほとんどの会社が黒い車を使っていたりします」「運賃のみならず使う車両やタクシー会社についての取り決めにも差があります」ということで、「車好き・乗客の視点からいろいろと観察しよう」とサイトを開設したのだという。
そういったことを踏まえた上でTAXI WATCHERSのコレクションを見ると、普段何気なく使っているタクシーも、その車種に少し意識をはらうだけで、非常に興味深い対象となることがわかるはずだ。
掲載された写真は「910系ブルーバード」「80系マークII」などの車種別に分けられており、詳しい解説も付けられている。例えば、「京都珍車編」に掲載されている「スカイライン個人タクシー」。「R31型と呼ばれる、7代目のスカイライン」で「今日では全国的に見て非常に珍しい車」が現役で活躍しているのだという。しかも、「数年前に信号待ちで追突され、部品が無かったので後期型の部品を使って修理した」ため、「車自体は前期型ですがリアは後期型」というレアものである。もう一つ、「東京珍車編」にある「マツダカペラ個人タクシー」は、全長から考えると小型車のはずなのだが、初乗り料金は中型車の650円。理由は、わずか数センチの黒いゴムをリアバンパーに付け「全長を中型車枠に入るようにしている」から。こういった知られざる事実は、漫然とタクシーに乗っているだけでは気付くことはないだろう。
■TAXI WATCHERSそして、さらに対象車両を「クラウンタクシー」に絞ったのが、「日本クラウンタクシー友の会」である。同車は1990年代はじめに大量に投入されたというタクシー用車両で、その中でも通称「マル」「タイラ」と分類されるものについて専門に扱っている。写真を見れば、普段誰もが街で見かけている車両だということがわかるが、それを専門としているのだから驚きだ
しかし、これらの車両は現在「活動範囲を縮小しつつある」としており、友の会では全国の「マル」「タイラ」の状況をデータベース化し、後世に残していく考えだ。現在、約2,000台を確認しているとしており、会社別/地域別で目撃記録をまとめているほか、所有タクシー会社を都道府県別にリストアップするという作業も進められている。
■日本クラウンタクシー友の会車両という枠から、さらにディテール部分に着目しているのが「的士世界」だ。このサイトでは、タクシーの屋根に取り付けられている表示灯についての資料が充実している。「タクシーの顔 表示灯の世界」というコーナーには、表示灯メーカーである武内工業所での協力により、同社の「KT式社名表示灯」のカタログを掲載している。その形や色は実にさまざまなものがあり、サイトにも書かれているように「表示灯のバリエーションの豊富さに皆様はきっと驚かれる」ことになるだろう。
このほか同サイトでは、1980年代の懐かしいタクシーのモノクロ写真を集めたコーナーもオススメだ。
■的士世界(2000/8/4)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]