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【特集】

徹底調査! 使えるオンライン書店・2000年度版

 このところにぎやかなオンライン書店シーン。今やコンビニ受け取りや送料無料は当たり前の時代になってきた。そこで今回、総合オンライン書店12店舗から実際に本を購入し、それぞれの対応の違いや使い勝手の良さを調査してみた。オンライン書店大混戦の時代、一番早いのはどの書店? ユーザーフレンドリーなのは? コンテンツが充実しているのは……? 気になる結果はここから!

※今回購入した書籍のプレゼントも実施中!

●まずは入口、検索と書籍情報はどこがいい?


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(こちらの表と合わせてご覧ください)

今回注文した本の山
 オンライン書店では、書籍の検索と情報表示は必須条件。オンラインでは、全く予備知識のない本を買う人はいない。あの著者の新刊が欲しい、コレについて書かれている本はどれ? と、何かしらの目的を持って利用する場合がほとんどだ。また本を実際に手に取れないので、内容についての情報もできるだけ多く知りたいもの。そこで、まず検索と書籍情報について調べてみた。

 検索では、各書店が持つ書籍データベースのタイトル件数と、「タイトル」「著者名」「フリーワード」の3点の結果を調査した。
 データベースのタイトル数は多いにこしたことはないが、絶版や再版予定なしなど、注文ができない書籍が多く含まれている場合もあり、一概に多いほうが優れているとは言えない。現在購入できる本をユーザーが使いやすい形で表示できるかが重要だ。
 これには検索結果の表示がポイントとなる。例えば、書籍の発行が新しいものから順に表示されている検索結果では、新刊を探しているなら一番上に表示されるのですぐに見つかる。また「何年くらいの本だからこの辺にあるはず」と、検索結果からものを見つけるアタリがつけやすく、使いやすい結果表示といえる。検索結果では、他にもタイトルを50音順で表示するものなどがあった。
 困ってしまうのが、法則が見いだせない検索結果が表示された時。実は今回、約半数のオンライン書店の検索結果は、結果に法則が見いだせないものだった。例えば'89年刊行の本の次に'98年の作品、その後に'93年と続き、アイウエオ順にならんでいるわけでもない。こうなると、目当ての本が検索結果のどこにあるか探すのは、非常に大変になる。絞り込み検索でもあればよいが、現在のオンライン書店では一般検索サイトのような機能を持たせたところは見あたらない。このあたり、ユーザーが容易に本を探せる気配りが欲しいものだ。

 さらに、書籍のカバー写真や目次、内容についてのコメントなど、各書籍についての情報が充実していれば買うときの参考になる。書評やベストセラーランキング、その時々のテーマに合わせたセレクション、メールマガジンなど、コンテンツが充実しているかにも注目したい。

●確認できると安心、注文時にはこんなステップが


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(こちらの表と合わせてご覧ください)

時間指定も日本通運などで対応している
 いざ注文の時に気になるのは、いつ頃届くのか、またどんな支払いや配送方法を選べるかだ。せっかく注文してもいつまで経っても届かないのでは、ありがたみも薄れるというもの。「在庫がある」と明記してある書店なら、安心して注文できるだろう。また留守がちなので会社近くのコンビニで受け取りたい、クレジットカードに抵抗があるので代引きがいい……など、人によってニーズは異なるものだ。選択肢は多いにこしたことはない。また最近、送料無料キャンペーンを実施するサイトも登場し、今後さらに増えることが予想される。

 ほとんどのオンライン書店で、注文の際に会員登録が必要となる。登録なしで一時利用ができる書店もあるが、一度登録すれば次からカード番号や住所などの入力が不要になるのは、手間が省けて便利だ。その会員登録の際に、IDやパスワードを自分で選べる場合と、書店(サイト)が指定する場合とがある。サイト指定の場合はIDやパスワードのメモを取る必要があるし、うっかりメモをなくして、そのまま使えなくなる、という事態も起こりうる。自分でIDやパスワードを指定できるか、メールアドレスがIDになるタイプが使いやすいと言えるだろう。またパスワード紛失はオンラインショッピングではよくあるトラブル。あらかじめ登録しておいたヒントを入れればパスワードが分かる機能が付いていれば、いちいち問い合わせなくても済むので使い勝手がよい。

 さらに、注文の後に確認メールを返信するのは、もはやオンラインショップの基本中の基本だ。ユーザーが誤って注文していないか確認できるし、万が一第三者による不正注文だった場合も、この確認メールで発見できるからだ。

●注文後はどうなる? 本が届くまで


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本当にその日に届いた! 初めての即日配達に感動
 注文したら、後は届くのを待つのみ。最近は注文後の状況を教えてくれる“トラッキングサービス”を持つ書店が増えてきた。自分の注文した本が今どこにあるかを見せてくれるわけだ。なかには運送会社と連携し、「サイトから出発~××支店~お届け完了」と、運送会社のどの支店にあるかまで分かるものも登場している。注文するユーザーにとっては、安心感が高まるサービスだ。。また前項で登場した注文確認メールと合わせて、発送通知メールもあるとなおよい。

 最近は注文当日に発送する“即日発送”や、注文が来た本からどんどん発送する“分割配送”に対応した書店が増えている。注文したものは少しでも早く届いて欲しいわけだから、ユーザーにとっては嬉しい傾向だ。実際、今回注文した12書店・24冊のうち、なんと10書店、18冊までは1週間以内に到着している。これは'98年に弊誌が行なった特集の状況に比べると、格段の進歩と言える。

 またキャンセルや在庫切れなどの知らせは、できるだけ早いうちに受け取りたいもの。2週間待って「品切れでした」じゃがっくりきてしまう。今回は幸いにしてそういうメールはなかったが、未着分に少々不安が残る。

●結論・使えるオンライン書店はここだ!


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(こちらの表と合わせてご覧ください)

 さて、これまで「探す~注文する~届く」というステップを追って、オンライン書店に求めたい条件を取り上げてきた。これをまとめると以下の10項目になる。

 ・検索が優れている
 ・各書籍の情報が充実
 ・コンテンツが充実
 ・本の在庫表示がある
 ・ID・パスワードは自分で決められる。パスワードがわからない時にヒントがある
 ・配送・支払いが選択できる
 ・送料が手頃
 ・トラッキング機能がある
 ・即日配達に対応
 ・分配に追加料金なしで対応
目立つオリジナルパッケージも増えてきた。これはbk1
 そして、残念ながら現在、この条件をすべて満たすオンライン書店は日本には存在しない。データベースは充実しているがID・パスワードは自分で決められない、配送は早いが検索しにくいなど、どこも一長一短の特徴を持っている。

 だが、この条件を比較的多く満たし、使いやすいサイトとしてオススメしたいところが数点ある。まずはもっとも多く8項目を満たしているbk1。この7月にスタートした新サービスだ。各書籍ごとの到着目安が明記されており、特に午前11時までに注文すればその日のうちに到着する即日配達可能な書籍が2万件もあるのがすごい。また書評やコラムを売りの1つにし(ユーザーからの募集も受け付け中)、他のサイトに比べ多くの本に内容に関する情報がついているのが、買う側にとってはありがたい。現在送料無料キャンペーンも行なっているので、一度試しておいて損はないサイトだ。

 次の7項目を満たすのがe-Shopping! Books。意外な気もするが、8月1日にリニューアルしてぐんとパワーアップした。これまで手数料を取っていたコンビニ配送を無料にしたことで、今後どんな伸びが見られるかが期待される。検索機能などもシンプルでわかりやすく、オンライン書店ビギナーにお勧めできるショップになった。

 もう1つ、7項目を満たしているのが老舗の紀伊国屋書店BookWeb。有料の会員制でやや敷居が高いものの、大書店2店舗を背景に注文の約7割をカバーできる強力な在庫と、検索データベースの使い勝手の良さは他を大きく引き離す。目次や内容紹介など、書籍情報の件数も60万点と非常に多い。以前からのファンも根強く、まだまだパワーある存在と言える。

 以上の3店舗が、現在特にオススメできるオンライン書店と言えるだろう。それから、次点の6項目を満たしているところも、今後が気になる存在だ。本屋さん・旭屋書店・BOL・ジュンク堂がこれだ。なかでもコンテンツに力を入れて差別化を図り始めた旭屋書店、そしてドイツの大メディア企業・ベルテルスマンと角川書店がバックアップするBOLには注目したい。

 Webページでは、これまでの表に入りきらなかった各サイトの特徴をまとめてみた。iモード対応など時節にあった機能や、××円買えば送料がタダ!という特典でオトク感をあおるなど、各サイトごとに違った面が打ち出されている。絶対このお店から!と決めて1つの店を使い続けるのもいいが、たまには浮気をしてみるのもオススメだ。きっと意外な発見がある。

●2001年、今のオンライン書店は全滅する!? オンライン書店の現状と今後


 発送が早くなったしサービスも多彩になってきたし、日本のオンライン書店も充実……と思っていたら「まだまだ!」と断言する人が現れた。EC全般に精通するコンサルタントのAさんだ(正体は秘密だそう)。「日本の書店はオンラインのメリットを活かしていない」と言い切る彼に、オンライン書店の現状と今後の予測を伺った。今の米国・Amazon.comに匹敵するようなオンライン書店は、果たして日本から現れるのか?

■片手間じゃヤバイ!

BOLのパッケージ
 昨今のオンライン書店ブームは、Amazon.comの存在が非常に大きい。Amazon.comがインターネットコマースの成功例と注目され、それでいろいろなところがAmazon.comを研究するようになったんです。そのうちに研究していた企業が「これならウチにもできる」と考え出したのが背景にあると思います。ただ、その割にAmazon.comのいいところを見習っていない。というより、既存書店のバイパス事業として運営する書店が多い。オンライン書店はそれじゃいけないんですよ。例えばターミナル駅の駅前一等地に大型店舗を出すくらいのコストをかけてやらないと、決して成功できないんです。

 なぜコストが必要か? まずIT投資は必須です。例えば最近オープンした「BOL」は、サービス開始日にトラフィックが集中し、アクセスが全くできなくなった。これはオンラインショップとしては失格と言っていい。新サービスの告知をした後にアクセスが急増するのは当然で、それを見越してシステムを作るべきなのに、負荷に耐えられなかった。これじゃ告知を見てアクセスしたユーザーも「なんだ、ダメか」とあきらめて、それっきりです。

 それから書籍データベースの問題。日本はシステムが整っていないため、充実した書籍データベースは非常に高価です。目次や紹介文など、中身についての情報が付くとさらに高くなる。でも、ここにお金をかけるのは非常に重要なんです。というのも、オンライン書店で本を買う人は本についての何らかの情報を持ってますから、タイトルや主題などの断片的な情報で本を探そうとする。書籍データベースや検索エンジンをおろそかにした場合、「該当する本が見つからない→この店は使えない」となる。また在庫情報と連動した書籍データベースは、現在は作らない限りありません。これもやろうとすると非常にコストがかかる。
 後は人件費、配送費、カスタマーサポートなどですが、宣伝にお金をかけているところも見あたりませんね。せっかく配送費無料キャンペーンなどを行なっても、告知しない限り誰も知らないで終わってしまいますよ。

 こういった点から見ると、今の日本のオンラインショップでちゃんと必要なお金やコストをかけてやっているところは少数です。お金をかけられない事情もあるとは思いますが……。

■オンライン書店はリアル書店の敵?

旭屋書店のパッケージ
 日本は書店の数が多いから、オンライン書店は流行らない、またオンライン書店があると街の本屋は潰れるという見方もある。これは間違いです。書店数は日本は米国より多いですが、オンライン書店の競争相手になれるのは、いわゆる大型店だけなんです。街の小さな本屋さんのメインはマンガと雑誌と文庫で、これはオンラインには向かない商品ばかり。文庫も雑誌も単価が安すぎ、送料や梱包を考えると採算がとれませんから。マンガや雑誌がメインの書店はその場でパッと買うのが便利で、それで成り立っている。キオスクと一緒ですね。

 問題は品揃えで勝負する大型店。本好きな人は一度に何冊も本を買いますが、そういう人がオンラインに流れやすい。なぜか? 重いんですよ、本は(笑)。宅配もしてくれますが遅いですし。そこはリアル書店が改善すべき点だと思います。再販制を問う向きもありますが、本は安いから買うものではない。欲しいから買う、ほとんど指名買いするものです。再販制は問題にはなりませんね。

 リアルとオンライン書店を比較した際に、大きな違いはまず本を手に取れるか。これは非常に大きいんですよ。パラパラめくれば内容がわかるし、店頭で並んでいる本をざっと見て、興味あるものに手を伸ばせる。オンラインでは絶対に不可能です。書評や解説でフォローはできますが、その努力をしているオンライン書店はほとんど見あたりません。
 次に本が探しやすいか。目指す本が決まっている場合は、オンラインのほうが圧倒的に探しやすい。検索できますからね。リアルの場合、小型書店ではまず置いてないし、大型書店だとどの棚にあるかが分かりにくい。今や新刊でも2ヵ月で書店からなくなるので、余計に探しにくい。
 それから、顧客管理もオンラインに利があります。リアルではレジで本とお金を交換するだけで、買ったのがどんな職業の何十代の人という記録すら残りません。オンラインでは、住所もカード番号も購入履歴も記録しているのだから、オンラインこそ顧客管理を活かしたサービスを行なうべきなんです。例えばAmazon.comは購入した物の履歴からその人の好みや興味分野を推測して、「これはどう?」と薦めてくる。そうするとユーザーはつい見に行くわけで、それが購買につながるんです。現状の日本ではどこもやっていませんが。

■米国では市場の10%のシェア 日本はどうなる?

米国の書籍市場は約2兆円、日本は1兆円規模です。現在米国でAmazon.comの売上げが1,000億円を超えていて、オンライン書店全体では約2千億円前後。これはインターネットが普及し始めて、5年で書籍をインターネットで買う人が10%に達したことを示しています。

e-Shopping! Booksのパッケージ
 日本のオンライン書店の売上が今年は200億円を超えるだろうと言われていて、あと2、3年で1,000億円市場になるでしょう。そうなると1位は最低でも50%のシェアを取りますから、2~3年後には500億円の売上げを持つオンライン書店が誕生する。ここまで来てやっと採算が取れるんです。オンライン書店はお金と手間がかかる割に、利益率は高くないんです。扱っているのがもともと利益率の少ない書籍なので仕方がないんですが。そして、こうなった時には、本気でやっていないオンライン書店は駆逐されるでしょう。来年春にはAmazon.com日本版も登場しますし、今回登場した店もいくつ残るか……。ここまで耐えられる基盤や力量があるかが、オンライン書店の今後を決めていくと思います。(談)

●この特集に登場したオンライン書店一覧


■紀伊國屋書店BookWeb
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/

■JBOOK(ジェイブック)
http://www.jbook.co.jp/

■丸善MARUZEN INTERNET SHOPPING
http://www.maruzen.co.jp/

■本屋さん
http://www.honyasan.co.jp/

■クロネコヤマトのブックサービス
http://www.bookservice.co.jp/

■八重洲ブックセンター
http://www.yaesu-book.co.jp/

■ネットダイレクト 旭屋書店
http://www.netdirect.co.jp/

■bk1
http://www.bk1.co.jp/

■BOL
http://www.jp.bol.com/

■ジュンク堂 Book Web
http://www.junkudo.co.jp/

■e-Shopping! Books
http://www.esbooks.co.jp/

■三省堂書店
http://www.books-sanseido.co.jp/

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[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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