INTERNET Watch Title Click

【業界動向】

“コンテンツID”でネット流通の著作権管理
標準化団体がイベントで技術公開

■URL
http://www.cidf.org/ (コンテンツIDフォーラム)
http://www.idg.co.jp/expo/cmf/ (Content Management Forum 2000)

 デジタルコンテンツは複製が容易でデータの劣化もないため、ネット上で流通できる新たな商品形態として可能性が期待されている反面、著作物を安心して配信できないといった問題も抱えている。これに対し、“コンテンツID”という仕組みを提唱し、デジタルコンテンツの著作権管理システムの標準化に取り組んでいるのが「コンテンツIDフォーラム(cIDf)」だ。

 コンテンツIDは、個々のコンテンツに付与されるユニークなIDで、デジタルデータに“透かし”として挿入される。一方、管理センターのデータベースには、各IDに対応した権利情報を登録。デジタルコンテンツを入手したユーザーがそのコンテンツの使用条件などを簡単に参照できるほか、ネット経由で不正利用の監視が効率的に行なえるようになる。これにより、二次使用によるデジタルコンテンツの流通・販売が促進されるほか、使用状況の把握や権利者への利益還元についてもシステム化されるメリットがある。

 cIDfは、安田浩・東京大学教授の提案により昨年8月に発足。現在、NTTグループ、日立製作所、電通、ぴあデジタルコミュニケーションズ、シャープなど70以上の企業や団体が会員として名を連ねている。今年3月には「cIDf仕様書第1.0版」を発表、すでに東京大学歴史博物館/民族博物館や京都ディジタルアーカイブなどの公開実験で利用されているほか、10月からはビットバレーにおける実証実験も予定している。その後、2001年10月にも正式運用を開始する計画だ。

 これに先立ちcIDfでは、同仕様に基づいて開発された技術およびシステムを、9月5日と6日に東京都江東区で開催されるカンファレンス/展示会「Content Management Forum 2000」で公開する。

 公開されるのは、NTTグループの「コンテンツIDの登録支援技術」「コンテンツ管理技術」、日立製作所の「二階層電子透かし技術」、シャープの「モバイル端末技術」など。このうち、コンテンツIDの登録支援技術では、パソコン用の専用ソフトを提供。デジタルカメラで撮影した画像データを読み込んだ後、自動的に管理センターからIDを取得、IDを挿入するとともに、あらかじめ設定しておいた著作者や権利者、二次使用の条件などをデータベースに登録することができる。コンテンツ管理技術は、紙にプリントアウトされたコンテンツについてもIDを認識し、利用権を管理できるというもの。例えばこれをコピー機に搭載すれば、一部が破れてしまったり汚れや書き込みなどがなされた書類から、原本の状態の“コピー”がとれるようになる。仕組みとしては、書類をスキャンしてIDを認識した後、ネット経由で管理センターへ照会、正規利用者にのみ原本のデータを送信・プリントアウトするということになる。モノクロで入手した書類をもとに、カラーの原本を取り寄せることも可能だ。一方、正規の利用者でない場合は、解像度の低いデータを送信するなどの制限もかけられるという。

(2000/8/29)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp