■URL
http://www.towerrecords.com/
音楽配信サービスの登場、また、最近では、Napster/Gnutellaなどの音楽ファイル交換システムの登場など、音楽の流通は選択肢を増やしている。そんな中で、CDなど「パッケージの音楽」を販売するオンラインショップではどのような戦略を練っているのか。今回、米国最大手のCDショップ「TowerRecords」でインターネットビジネスを運営する部門の最高責任者である、TowerOnline担当副社長 Mark Bressler氏にお話を聞いてみた。
●TowerRecordsの中でオンラインショップはどういった存在か
Mark Bressler氏
利益も上がっているし非常に満足している。実店舗とのリンクも強く、Webサイトが実店舗を助けている部分も非常に大きい。オンラインショップは、一つはEコマースの場として存在している。また、リサーチツールとしてお客さんが音楽を買う前に情報を得る場所でもあり、マーケティングの役割で宣伝道具的な役割も果たしている。
現在、サイトはお客さんが音楽を探すのに非常に役立っている。お客さんには、シンプルな操作で音楽を買うことができ、なおかつセレクションが幅広い部分が気に入られているのではないかと思う。
●オンラインショッピングの売上規模は、実店舗で言うとどのくらいか
Mark Bressler氏
米国の現存店舗(99店舗)の売上No.1の店舗以上の売上がある。それによって得る利益も大きい。Amazon.comやCDNOWは確かにもっと売上があるかもしれないが、その分投資も大きい。そもそもTowerRecordsには実店舗がある。店舗でいろいろなプロモーションができたりなど、オンラインだけのショップがやろうとすることをTowerRecordsでは実店舗を介してできるので、資金の節約もできる。
サイトでショッピングをしてもらうのはもちろんなのだが、お客さんが音楽を探す場所であるということにフォーカスしている。チャットサービスを提供したりとかエンターテインメント性を持たせようとすることには投資しない。
●では、「サイトで音楽を探して、実店舗で買う」という使い方でもかまわないと。
Mark Bressler氏
その通り。Webサイトで探してもらうというだけでもぜんぜんかまわないので、オンラインで買い物をしなさいとかと言うつもりはない。Amazon.comなどオンラインだけの会社はそこで買ってもらわなくては困る訳だが、TowerRecordsでは、実店舗がある点が非常に有利だと思っている。
●現在はパッケージ販売がメインだが、ダウンロード販売などのノンパッケージ流通についてはどう考えているか
Mark Bressler氏
現在ダウンロードがポピュラーなのは「フリーダウンロード」だけだ。今後もっと簡単になれば増えるとは思う。また、いくつかの音楽についてはダウンロードでと言う人も増えてくるだろう。我々の考えとしては、全世界で最も幅広い音楽を提供するというのがあって、その中の選択肢の一つとしてダウンロードというのもあってもいい。
ダウンロードが発展するためには、もうちょっと高速接続が可能になったり、簡単に接続できるようにならなくてはならない。また、(ジャケットなどの)アートワークも簡単にプリントアウトできるようにならなくては。やはりお客さんは最終的にはパッケージ的なものを求めると思うので、パッケージがなくなるということはないと思う。
●NapsterやGnutellaなど音楽交換ソフトはCD販売に影響を及ぼしているのか
Mark Bressler氏
Napsterはいずれ音楽産業になんらかの影響を与えると思う。それは、お客さんが試聴するのに非常にいい方法だと思うから。今のNapsterの問題というのは若者が「ダウンロードはタダであるべき」だと思っている点。それは、確かにCDシングルの販売においてはビジネス的に問題があるが、Napster自体はプロモーションツールとしては有用だと思う。最終的に実店舗やオンラインショップでのCD購入に繋がれば。
●TowerRecordsオンラインショップの今後の展開は
Mark Bressler氏
いろいろあるが今は言えない。いかにお客さんに対してシンプルな方法で音楽を提供するかということは常に考えている。米国で40年間レコード小売りとしてやってきて、「音楽を探す場所には一番」という存在として業界でやってきた。インターネットでも同じように、もっと多くのお客さんにサービスを提供するつもりだ。
TowerRecordsには、全世界に多くのバイヤーがいる。彼らの知識をインターネット上でも活用できたらと思っている。
●今後、米国、英国、日本のサイトを統合されるとのことだが
Mark Bressler氏
もうすでに日々作業を進めている。来年くらいにはデータベースを統合する予定だ。一番重要なのは商品。例えば日本のお客さんが一番大きなセレクションの輸入CDを買えたり、米国から日本のCDを買えるようになるということ。TowerRecordsは音楽を愛する人たちで成り立っている。そういう人たちに常に音楽を提供し続けている。それをインターネット上でもTowerRecordsらしいやりかたで示していければいいと思っている。
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[Reported by okiyama@impress.co.jp]