■URL
http://www.livedoor.com/ (livedoor)
http://www.zero.ad.jp/ (ZERO)
今や身近な存在になった“インターネット無料接続プロバイダー”。特にテレビCMや広告でさかんに「無料でインターネット」をアピールしているlivedoorとZEROは、何かと目に入る存在だ。「インターネットに接続するのにお金を払う必要はない!」と言い切るほどの勢いで押しまくる両社。しかし、本当に無料でちゃんとつながるのだろうか? 広告ばかりで遅いのでは? サービスがよくないのでは?……と、気になる点は多い。
ということで、今どきの無料プロバイダーの代表的存在のlivedoorとZEROを徹底比較、その使い勝手をレポートしよう。
※注 ZEROは150時間を超えると有料になるので、正確には「無料接続プロバイダー」ではない。ここでは“普通に使用するインターネット接続時間では、無料の150時間で充分”と判断し、「無料プロバイダー」として扱っている。
●ケース1 メインプロバイダーとして使う
livedoorの専用接続ソフト
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まずアクセスポンイント数では、今のところZEROが圧倒的に多い。しかしlivedoorは日本テレコムと提携し、全国共通のアクセスナンバーを持っているため、アクセスポイントのない地域からは8円/60秒(8~23自)の電話料金でつなぐことができる。現状で2社とも北海道~東北、九州にはアクセスポイントがないが、livedoorはこれらの地域からのアクセスができる点は有利だ。
現在対応している回線速度はどちらも共通。注目のIP常時接続については、ZEROが関東地域ですでに対応しており、livedoorは今秋から東京地区での対応となる。アクセスを支えるバックボーンについては、ZEROは140MBの専用線と公表しているが、livedoorは具体的な数値については未公開だ。
気になるのが電話割引サービスとの関係だ。zeroは問題ないが、livedoorの場合、MCIワールドコムの回線を使用している地域では、テレホーダイやエリアプラス、タイムプラスといったNTTの割引サービスが使えない(現状では03、今秋より一部の06エリアも)。それを補うものとしてフリービットと提携した電話料金割引サービスがあるが、まだ全エリアはカバーしていない。
1つ難点なのは、livedoorは接続に独自ソフトを使用するのだが、現在のところそのソフトがWindowsにしか対応していないところだ。livedoor・コーポレートコミュニケーション部に聞いたところ、近々はMac用ソフトのβ版をリリース予定で、年内に正式版を発表できるというが……。
また、実際に東京のアクセスポイントを中心に100回以上接続を行なったが、ISDNではほぼ100%確実につながっていた。ただ、アナログで接続した際に、話中こそなかったものの、接続後に認証がうまくいかず、タイムアウトするケースが両社とも10回に2回ほどの割合で起きていた。
ケース1の結論:
アクセスポイントが多い地区なら、150時間の制限ありをとるか(ZERO)、テレホーダイなどが使えなくてもヨシとするか(livedoor)が決め手となる。本州以外で利用する場合の選択肢はlivedoorのみ、Macユーザーの選択肢は 現状ZEROのみという点にも注目。
livedoor | Zero | |
アクセスポイント数 | 8都府県18ヶ所 ※日本テレコムによる全国共通アクセス番号があり | 13都府県83ヶ所 |
アクセスポイントの番号 | 非公開(接続ソフトでのみ公開) | 公開 |
IP接続 | 今秋より03地区で対応、無料 | 7都府県の一部で対応、1ヵ月400円 ※この場合は接続時間無制限に |
バックボーン | 非公開(使用回線はMCIワールドコム、NTT) | 140MB(NTTコム) |
接続速度 | ISDN同期64Kbps、アナログ56Kbps | ISDN同期64Kbps、アナログ56Kbps、PIAFS(2.0)64Kpbs |
対応OS |
Windows | Windows、Macintosh |
電話料金割引 | フリービットと提携、電話料金が3分9円になる「エコノミーアクセス」 | なし |
●ケース2 モバイルで使う
ノートPCでモバイルする人を見かけるのも珍しくなくなった今、無料プロバイダーのモバイル対応状況はどうだろう? PIAFS2.0(64K)に対応しているのはZERO。アクセスポイントの多さもあり、モバイルには優位だと言える。一方、livedoorはPIAFSには未対応だが、ネットビレッジと提携してiモードからlivedoorのメールが読める「リモートメール」サービスを提供している。ZEROはiモードには対応していないが、到着したメールをiモードのショートメールに転送するサービスがある(オプションサービス・有料)。
ちなみにlivedoorの接続ソフトには、イギリスやノルウェー、オランダなど、海外のアクセスポイントが登録されている。ソフト自体もそれぞれの国の言語に変更できるのだが、livedoor自体の公式見解は「海外からのローミング、および海外のアクセスポイントには対応していない」という。とか言って、本当は使えるのでは?と試してみたところ、回線は開くのだが、残念ながらlivedoorのIDとパスワードでは認証されなかった。
ケース2の結論:
PHSを使ってのモバイルならZERO。 海外でのアクセスはどちらも対象外。
livedoor | Zero | |
PHS | 未対応 | ほとんどのアクセスポイントで対応 |
iモード・携帯対応 | iモードメールに対応 | 未対応 ※オプションでiモードのショートメールに転送は可能 |
海外ポイント | 未対応 | 未対応 |
●ケース3 メールを使う
メインプロバイダーとしても補助的に使うにしても、電子メールの使い勝手は気になるところだ。まずメールボックスの容量は、livedoorが10MBと断然有利。ZEROではデフォルトのメール容量は2MBと低いが、そのぶん有料のオプションを充実させている。メール転送や着信拒否、追加メールアカウントといったサービスを提供する「アップグレードサービス」の利用は1ヵ月350円~(追加メールアカウント数によって異なる)。メールアドレスを好みのものに変更できる「希望メールアドレス」や、メールボックス容量追加のオプションもある。
少し気になったのが、他のプロバイダーからアクセスした際に、メール受信ができるかどうか。ZEROは可能だが、livedoorは自身のアクセスポイントのみでしかメール送受信ができない。Webメールには両社とも対応している。
ケース3の結論:
あくまで無料にこだわるならlivedoor。 会社のLANからメールチェックしたり、メール転送の必要ありならZERO。
livedoor | Zero | |
メールスペース | 10MB | 2MB(オプションで12MBまで拡張可能) |
追加メールアカウント | なし | オプションで3つまで可能(1ヶ月350円+アカウント1つに付き100円) |
メール転送 | なし | オプションで可能 |
他のプロバイダーからアクセスしてメールを受信できるか | 未対応 | 対応 |
Webメール | 対応 | 対応 |
●ケース4 Webスペースとして使う
今使っているプロバイダーはWebスペースが少ないので無料サービスを使う場合も多い。ここではWebスペースでlivedoorが圧勝。HOOPS!と提携し、50MBのスペースを提供する太っ腹ぶりだ。ZEROはデフォルトでは5MBで、オプションで最高20MBまで増量可能となっている。
livedoorはほとんど付加機能を持たないが、ブラウザーからのFTPが専用ページにアップロードしたいファイルをドラッグするだけでできるのが便利。ZEROは「Mysite」というホームページ簡易作成ソフトを持ち、オフラインでページを作成してアップロードできるほか、掲示板やオンラインで入力できるダイアリーなどがあり、機能豊富と言える。
ケース4の結論:
50MBは強力。ここではlivedoorが有利。
livedoor | Zero | |
Webスペース | 50MB | 5MB(オプションで25MBまで拡張可能) |
Webスペースで提供しているサービス | ブラウザーからのFTP | ブラウザーからのFTP、掲示板、ダイアリー、カウンター、カレンダー、リンク集など |
●まとめ
ZEROのホームページ作成ソフト「Mysite」
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具体的に挙げてみよう。まずlivedoorだが、IDは希望のものが指定でき、メールもWebスペースも容量たっぷりなのは大きな長所だ。しかし最大の難点として、「独自通信ソフトを使う」点がある。接続ポイントの設定などを簡単にする利点はあるものの、livedoorに接続している間はずっと広告バナーのついたツールバーが表示されているわけだ(右クリックで一時的に隠せるが、新しいWebページを開くとまた登場する)。広告収入で無料接続を提供しているため不可欠な機能なのだが、これをうるさく感じる人は多いようだ。またNTTの割引サービスが一部地域で使えない、Mac用接続ソフトが未発表といった点もある。
その一方で、Webサイトのコンテンツは非常に豊富。占いやインタビュー、グルメ・タウン情報など、livedoorを使っていない人でも覗いてみたくなる楽しさがある。
そしてZERO。アクセスポイントの多さやMacでも使える点は大きな魅力。だがWeb作成もメールもヘビーに使いたい場合は、デフォルトの容量の少なさがネックとなる。オプションサービスを使えば増やせるが、そうすると最大のメリットの「無料」サービスではなくなってしまうわけだ。オプションの出費は月数百円程度で大きな額ではないが、払ってもいいと思えるかがポイントだろう。
また登録時にIDとパスワードが指定される点も気になる。IDはメールアドレスにも使われるため、好みのメールアドレスが欲しい場合は「希望メールアドレス」(ただしID使用アドレスのエイリアスとなる)か「メールアカウント追加」のオプションを選ばなければならない。ZEROはオプションからの収入と広告で運営しているため仕方ないのだが、無料でも希望のものが欲しいのが今どきのユーザーだ。
結論を言うと、無料であるがゆえに万能ではない。アクセスポイントが少なかったり、IDが自分で選べなかったり、広告バーが常駐したり…。こういった弱点をあげていくと、結局最後は「タダだから仕方ない」というところに落ち着いてしまう。そこであきらめず、自分が使う際に必須の条件を考え、何を評価して選ぶか。それが無料プロバイダーを使いこなすコツと言えるだろう。
livedoor | Zero | |
サービス開始 | 99年11月 | 00年7月 |
現在の会員数 | 50万人(7月末) | 未発表 |
運営収入 | 広告 | 広告とオプション収入 |
専用ソフトの要 | あり(必須・CD-ROM配布かダウンロード) | なし |
接続ヘルパーソフト | あり(必須・同上) | あり(CD-ROM配布かダウンロード) |
オンラインサインアップ | 専用ソフトから行なう | Webサイトから行なう |
記入する個人情報 | 希望のIDとパスワード | 住所・氏名・生年月日・電話番号・クレジットカード情報(プリペイド払いはなし)、任意で日中の連絡先とメールアドレス、ZEROを何で知ったか |
決済方法 | なし | クレジットカード、プリペイド(銀行・コンビニ、プリペイドは初期費用として2,000円) |
アカウントとパスワード | 自分で決める | 選べない(「希望メールアドレス」オプション300円) |
コンテンツ | 占い、天気予報、ニュース、インタビュー、グルメ情報、タウン情報、プレゼント情報など | テレビCMのメイキング |
(2000/9/25)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]