■URL
http://www.coara.or.jp/2000/metallic/index.html
ISPのコアラは、大分市の一部で提供しているADSLの常時接続サービスを九州の主な都市に拡大する。11月末に福岡市内でサービスを開始することが決定したほか、2001年春以降には北九州の主要地域などで、また2001年内には九州の県庁所在地でサービスを開始する予定だ。
11月末に提供を開始するのは、NTTの天神局と博多局の2収容局管内。既存のコアラ会員を中心に、それぞれ100ユーザー程度を対象とする。通信速度は大分と同様、下りが500kbps~1.5Mbps、上りが200kbps~512kbpsで、料金は月額6,500円程度を予定している。年末にかけてさらにユーザーを募集するほか、年明けにも福岡南、筑紫ヶ丘など他の収容局にエリアを拡大する計画だ。
福岡でのサービスの狙いは、「ビジネスモデルとなりうるADSLシステムを構築してサービスすること」(コアラ代表取締役の尾野徹氏)。同社では昨年12月、NTTの電話回線を利用したADSLサービスを日本ではじめてスタートしたが、「商売をしようというよりも、NTTと郵政省に風穴を開けること」が目的だったため、需要もそれほど多くなく、採算がとれていないのが現状だ。これに対し、ユーザーの集中する福岡では「ADSLだけで収入が見込める」としており、まずは福岡だけで収益のあがる構造を作り、他県への展開を図っていく。
ただし、東京や大阪のように高需要地域がかたまっていないため、「面的な展開」は行なわず、主要都市や県庁所在地などに絞って「広域点在型」で展開していくのが特徴だという。また、ADSLをベースとしたビデオサーバーを用意し「地域密着型のインターネット放送局的な展開」を検討するなど、接続サービス以外の収益源も確保していく考えだ。
サービスの拡大にあたっては、株式公開を含めた資金調達を計画。地元資本からの出資を呼びかけ、すでに「いくつかよい感触を得ている」ほか、東京めたりっく通信からも出資を受け入れる予定だ。また、「地域らしく、地域に詳しい人たち同士で考えられる」として、各地域のISPとの提携や合弁事業も検討していきたいという。
NTTが“フレッツ・ADSL”の提供方針を示すなど、最近ではISPが自らADSL回線を構築しなくてもサービスを提供できる環境が整いつつある。しかし、「フレッツ・ISDNが物語っているが、新サービスが地方である我々のところにやってくるのは1年ないし2年先」(尾野氏)。その結果、「よりよいネット環境を求めて、若者も企業も九州を出て東京に行ってしまいかねない」として、コアラでは自らADSL回線を構築することにした。さらに将来、FTTH事業についても積極的に行なう考えで、「夢を追い求める若い人材が、九州に住みながら、新しいことに取り組めるチャンス」を提供したいとしている。
(2000/10/2)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]