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■URL
http://www.genji-daigaku.com/
講談社と富士ゼロックスは、日本古典文学の傑作「源氏物語」の世界をネット上で楽しむサービス「源氏大学ドット・コム」を開始した。
サービスのメインとなるのは、「源氏物語」のオンデマンド出版サービス。これは、富士ゼロックスのオンデマンド出版サービス「BookPark」のコンテンツ管理技術と電子印刷出版技術をもとにしたもので、瀬戸内寂聴訳「源氏物語」の帖単位の販売(価格:1帖950円~1,450円)や、「源氏物語」に造詣が深い各界の専門家(瀬戸内氏をはじめ、歌人の俵万智など)による講義「源氏大学」の講義録テキストの販売(価格:1講義850円)などを行なう
ユーザーは興味のある帖や講義ごとにテキストを購入でき、オリジナルの装丁を選択して1冊の本にまとめることができる。購入の手順はサイト上の注文リストから購入したいものを選択し、「買い物かご」に追加していくだけ。支払い方法はクレジットカードや銀行振込などから選択する。商品は購入から約1週間程度で届く仕組みだ。販売収入の70%を富士ゼロックス、30%を講談社が受けとるシステムで、作家への印税などは講談社の売り上げの中から支払われる。なお、2社では3月に村上龍の小説「共生虫」を同様にオンデマンドパブリッシングにより販売し、注目を集めた。
左から俵氏、瀬戸内氏、大和氏 |
源氏大学講義録サンプル
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このほかのサービスとしては、源氏大学の講義風景の一部のストリーミング配信や、誕生日を入力すると自分が源氏物語に登場するどの女性のタイプかを占ってくれる「源氏占い」などの無料コンテンツがある。2000年11月末からは「源氏物語」を漫画化し、多くの読者を取り込んだ大和和紀氏のコミックス「あさきゆめし」のエピソード単位の販売も予定しているほか、インターネット博覧会への出展や会員制によるネット上の講義開講も予定している。
今回のサービスについて講談社文芸局長の宮田昭宏氏は「実験的な段階なので採算の見通しについてはなんとも言えないが、将来的には期待している」と述べ、先の「共生虫」という小説の表現形式よりも、1,000年も前に書かれた「源氏物語」という奥深い世界に学者や作家など、さまざまな人間が関わったコンテンツをユーザーが自由に選択できる今回のサービスの方がよりオンデマンド形式に適すると考えていると語った。
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(2000/10/11)
[Reported by tanimoto@impress.co.jp]