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■URL
http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0010/2502.html
宅内編集エディタ(上)と解析結果表示画面 (下)。赤丸が親機の位置を表わしており、 安定通信可エリアが白、通信不安定エリア がグレー、通信不可エリアが黒となる |
日本電気(NEC)は25日、屋内で無線ネットワークシステムを構築する際に、あらかじめ各部屋の電波状況を予測できるツール「RADIOSCAPE」を開発したと発表した。まず、同社が11月に発売予定の無線LAN対応ターミナルアダプター「AtermワイヤレスLAN WARPSTAR」の購入者向けに、12月より試験運用を開始する。
RADIOSCAPEが対応する規格は、IEEE802.11b準拠の無線LANとBluetooth。これらの規格で使われている2.4GHz帯の周波数は、電子レンジなど多くの機器でも使われていることに加え、複数の無線LANシステムやBluetoothを同居させる場合には互いに干渉してしまい、通信品質が低下することが懸念される。そこでRADIOSCAPEでは、無線システムを使う家屋の間取りと親機の設置場所を入力することで、不感エリアや干渉状況を予測・解析できるようにした。
RADIOSCAPEは、電波状態を予測するサーバー側の解析エンジンと、ユーザーがデータを入力・表示するWindows 98/ME用のクライアントソフトから構成される。ユーザーは、まずクライアントソフトの「宅内編集エディタ」で、間取りなどの環境データを作成。そのファイルをサーバーに送信することで解析が受けられる仕組みだ。宅内編集エディタは、平面図で表示する形となっており、ドローソフトの要領で操作可能。窓や開口部などの位置、建材の種類、親機の設置場所と高さなどが細かく設定できる。間取りは広さが最大50m×50m、3階建てまでカバー。無線システムについては、5つまで混在した環境を予測可能だ。現在、親機については、単純に無線LANまたはBluetoothから選択するようになっているが、将来は個々の製品のデータを用意することで、製品名から指定することも可能だという。
解析は、一般的な3LDKのマンションなら1分以内で完了。ユーザーは、結果のファイルをダウンロードしてクライアントソフトで表示する。解析結果は、「安定通信可」「通信不安定」「通信不可」の3段階で間取り図に色分けして表示される。さらに詳しく、受信信号電力の高低やひずみ量による色分け表示も可能だ。あるオフィスでRADIOSCAPEによる予測と実測値を比較したところでは平均誤差は3.6dB、通常の平均誤差も5dB程度だとしている。
従来、同様の機能を提供するツールは200万円以上と高価だったため、一般のユーザーなどは、実際に無線システムを導入してから試行錯誤で親機の設置場所を探らなければならなかった。これにより、簡単な操作で最適な設置場所を割り出すことができるようになる。また、無線LANシステムを扱うシステムインテグレーターにとっても有効なツールになるとしている。携帯電話などの公衆ネットワークが統計的モデルから基地局の設置場所を割り出し可能なのに対し、屋内の無線ネットワークでは環境がユーザーごとに異なるため、統計的モデル化が困難だったという。
(2000/10/25)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]